2022.05.11
財務上の数字や指標から、隠れた
“経営的ネック”をあぶり出す
株式会社ベストウェル × 大阪総合グループ 大阪総合人財経営株式会社
兵庫県(ベストウェル)と、大阪府(大阪総合人財経営)をオンラインで結んだbixider経営支援プロジェクト第1回目に参加したのは、高齢者向け住宅等を兵庫県内で展開するベストウェルです。

代表取締役と医師を兼業する西川弘社長がbixider経営支援プロジェクトに参加された目的は、財務上の数字に関する発見や気づきを得ることはもちろん、現状の数字から課題を抽出し、来期を戦略的に乗りきっていくことにあります。

さらに、2022年秋開所予定の増床工事がすでに着工されるなど、介護・高齢者向け施設への社会的ニーズの高まりを受け、今後も新規施設の開設が見込まれている点から、経営を圧迫しない借入額など、財務上の数字を見きわめる眼力をつけたいとも話す西川社長。
そこで今回は以下のTASKに分け、財務上に羅列された数字から、ベストウェルの経営的ネックになりえる数字や指標を3つ抽出し、検証していくことに。

〈TASK1〉 経営的ボトルネックになりえる課題① 節税対策と借入返済額

〈TASK2〉 経営的ボトルネックになりえる課題② 自己資本比率の適正な割合

〈TASK3〉 経営的ボトルネックになりえる課題③ 1回転を下まわらない総資産回転率

果たして西川社長は、どのような気づきを得たのでしょうか。

今回活用したbixid経営会計ソフトは、こちら!

「単年(月次)経営計画シミュレーション」
※当画像はサンプルデータであり実際のベストウェルの数字ではありません。
企業経営のPDCAを支える「計画」をスピーディに作成する機能が「経営計画」です。

単年・月次で予算を作成する「単年月次計画」と、年次で予算を作成する「中期年次計画」を併用することによって、数値計画とそれに対する行動計画を作成できるこの会計ソフトは、複雑な経営計画を高精度に単純化するとともに、売上をベースに、固定費や変動費を昨対ベースで瞬時に作成できる点が魅力です。
また、売上:経費の比率が季節によって変動する場合も、季節指数で自動計算。慣れれば15分で作成できる6つの自動作成機能のほか、部門単位や店舗単位での作成も可能です。

重く感じていた経営の舵取り。その重さを軽くするために

ベストウェルは、兵庫県内で高齢者向けサービスを提供する1999年創業の介護事業に特化した企業です。西川社長に今プロジェクトで解決したい課題を聞いたところ、以下の3つを挙げてくれました。
●複数施設を運営している点から各施設の売上、経費、借入額を、ベストウェルの数字としてトータルで見られる力をつけ、課題を洗い出したい
●洗い出した課題を中長期経営計画のもと克服していきたい
●高齢者施設の需要増大による新規施設開設・増床に伴う適切な資金繰りや借入額を見きわめたい
さらに、週の2日を診療に充てている関係から、経営業務に費やす時間は帰宅後や日常業務の合間に限られてしまうため、今後は自身の働き方を見直し、経営に軸足を置きたいとも話す西川社長。

そんな西川社長に対しビサイダーは、「医師としても多忙をきわめ、複数事業所の運営を管理する舵取りはとても大変だと思います。そこで今回は“舵”の重さを軽くするために、財務上の気になる数字を確認しながら、ベストウェルさんの健康状態を診断していきましょう」と提案しました。

経営的ボトルネックになりえる課題① 節税対策と借入返済額

【ベストウェルの現状】
期末前にまとまった備品を購入して節税対策を行い、月の借入返済額は約250万円に
大阪総合人財経営 佐藤(以下ビサイダー)
期末前にまとめて備品を購入していますが、これは節税対策でしょうか?
西川社長
はい、節税対策です
ビサイダー
さらに、2020年10月期と2021年10月期 の現預金資産を見ると、額が前期より40%減になっていますね。私なりにその要因を探ったところ、40%減分が〈建設仮勘定〉に流れていますが、これは新規施設の開設によるものですか?
こうしたやりとりを経て、ビサイダーは節税対策と借入返済における課題を整理します。

●節税対策を先行させていることで、純資産が増えない傾向にある
●利益から純資産を積み増すか? あるいは節税対策か? どちらを優先させるか?
さらに、借入返済額についても整理していきます。
ビサイダー
会計データでは、月の借入返済額が約250万円になっていて、年で約3000万円になりますが、これは間違いないですか?
西川社長
はい。どの施設もほとんど満床状態が続いていますので、2022年秋の完成をめざし一施設の増床工事に春から着工します。それによって、返済額がさらに上積みすることになります
ベストウェルの借入返済額を確認したビサイダーは、次の点を課題に挙げます。

●節税対策は一見キャッシュアウトを起こさないが、自己資本を充実することにはつながらないという諸刃の剣の状態にあり、借入体質に陥っている
●今後、借入返済額の負担が増していけば経営が圧迫される危険性も
ビサイダー
まずは節税対策と借入返済額から、ベストウェルさんの数字を確認させていただきましたが、この2つから自己資本比率の問題も見えてきました。次に、数字や指標の関連性をイメージしながら、節税対策後にキャッシュを使った場合、どのような貸借対照表になるのかを見ていきましょう

経営的ボトルネックになりえる課題② 自己資本比率の適正な割合

【ベストウェルの現状】
自己資本比率は、前々期が約4%台、前期が約5%台、当期が約7%台と低い状態が継続
ビサイダー
ベストウェルさんの貸借対照表を見ると3期前が約4%台、前期が約5%台、当期が約7%台と、3期連続で自己資本比率が非常に低くなっています。実はこの数字がとても気になっていまして…
西川社長
低いというのはどのレベルで、どんな問題が起きえますか?
一般的に〈自己資本比率が高い = 借入金返済負担が低く、経営が安定している〉ことを意味するため、望ましい自己資本比率の割合は純資産の約30〜50%とされています。さらに、自己資本比率が高いほど、経営的打撃を受けた際にレジリエンス(自己回復力)も高くなるといわれています。

一方、自己資本比率が低い企業は〈借入金返済など負債が多く、資金繰りが厳しい〉ことを意味するため、銀行に融資を申し込んでも難色を示されることも。
ビサイダー
適正とされる自己資本比率と比べると、ベストウェルさんはかなり比率が低いので、資金繰りが厳しい状態が続くことになります
西川社長
これまではキャッシュアウト分を抑えていましたし、弊社は新規施設開設に伴う借入金が多いことから、キャッシュが厳しくなると資金繰りが厳しくなることは身にしみてわかっていました。自己資本比率と資金繰りの厳しさは連動しているんですね
ビサイダー
自己資本比率を高めれば、資金繰りの厳しさはかなり軽減できるはずです
西川社長
ということは節税対策か、納税後利益から純資産を積み増すか、どちらを優先させるというビジョンに基づき、キャッシュを確保すればいいんですね

経営的ボトルネックになりえる課題③ 1回転を下まわる総資産回転率

【ベストウェルの現状】
設備投資が先行し、総資産回転率が1回転を下まわっている
ビサイダー
自己資本比率の次は総資産回転率に着目したいと思います。総資産回転率を意識されたことはありますか?
西川社長
いえ、それはどのようなものですか?
ビサイダー
先ほどの自己資本比率で純資産が多いほど経営は安定するとご説明しましたが、ベストウェルさんの売上と資産から総資産回転率を算出すると1回転を下まわっています。これは会社が所有している総資産(総財産)を1年間事業に活用して、売上として戻ってきた額がいくらなのかという指標なのですが、1回転を下回っているということは総資産に対して売り上げが少ないのではないかと判断することができます。
西川社長
自己資本比率と総資産回転率は連動していて、この2つの指標を上げるために来期からは資産の積み増しを行い、中長期で“1”を上まわる数字にすることが大切なのですね
総資産回転率とは、安定的経営か否かの目安になる指標で、例えばA社(図左)の場合、純資産と売上が約1億円なので総資産回転率は1回転になり、健全経営を維持していることを意味します。
一方、純資産を上まわる負債を抱えているB社(図右)の場合、回転率が1回転を下まわるため経営効率の悪さを示すことに。
ビサイダー
1回転を下まわると、キャッシュが厳しくなり経営の舵取りが感覚的に重たく感じられるので、そうならないためにキャッシュを残しつつ、借入金を減らす = 回転率を上げることが来期の重要なポイントなります。まずは、財務上の数字や指標に隠された経営ネックを見つけ出し、安全かつ収益性の高い経営をめざしていきましょう
ミーティングの最後に、西川社長は笑顔で抱負についても話してくれました。
西川社長
施設の新規開設時にはどうしても融資が必要です。でも、経営を圧迫しかねない借入額はどれくらいなのかがわからない状態でしたので、今回のアドバイスはとても心強く感じました。さらに、弊社の管理部門のスタッフは全員能力が高いのですが、どちらかというと一点に秀でたタイプが多いので、明日から早速、今日学んだことをスタッフと共有し、課題克服の方策を練れるよう、管理部門内にエキスパートチームを編成したいと思います
次回のミーティングでは「来期の決算予測」「節税あり・なしの仮シミュレーション」「自己資本比率や総資産と売上のバランス」を検証する予定です。西川社長がどのような新たな気づきを得るのか、お楽しみに!

今回のPOINT!

・3期の決算から、財務上の課題を洗い出しましょう
・借入金が財務上にどのような影響をおよぼしているのでしょうか?
・自己資本比率と総資産回転率から、会社の健康状態を測りましょう
おかもとさん(YKプランニングのしゃちょう)コメント
これまで経営者が辿ってきた道を確認するうえで必要な「財務分析指標」。今回のケースでは「自己資本比率」と「総資産回転率」に着目をして今後の「節税対策」について課題提起を行いました。
過去の数字は変えられませんが、未来の数字はいくらでも変更可能です。次回は経営計画を通して“未来の財務分析指標”を見てみたいですね。
bixid「経営計画」の特徴
企業経営のPDCAを支える「P=計画」をスピーディーに作成する機能です。数値計画だけでなく行動計画も一緒に作成できるので、より具体的な計画の作成が可能となります。
機能の詳細はこちら
介護事業、グループホーム運営、サービス付き高齢者住宅 | 兵庫県神戸市
株式会社ベストウェル
兵庫県内に高齢者向けの介護施設を多数展開し、地域に密着した質の高い介護サービスを提供。企業理念は「誠実さと思いやり」「心と体への貢献」「従業員の幸福と社会への貢献」
代表取締役:西川 弘
本社所在地:兵庫県神戸市
創業:1999年
事業内容:介護事業・グループホーム運営・サービス付き高齢者住宅
プロジェクト参加企業さま
有限会社まるみや
大口ユーザーをもつ地域密着優良企業として、「食」を通した幅広い事業を展開。自社製造工場を持つ利点を生かし、老舗ながらも、新規サービスなどの事業拡大に意欲的に努めている。
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