経営者の「アーリーリタイア」注意するポイント
近年、早期退職を意味する「アーリーリタイア」や「FIRE」という言葉が注目されています。
経営者が自分のリタイアするタイミングを早い段階から考えておくことは、自社の未来を考えることにも繋がります。
今回は「アーリーリタイア」や「FIRE」がどのようなものなのか、そして経営者が考えるべきポイントはどこなのかについてご説明します。
昨今注目を集める「FIRE」
現在、欧米では「アーリーリタイア」の一種である「FIRE」という生き方が話題になっています。
「FIRE」は「Financial Independence Retire Early」の頭文字を取った略語で、欧米発祥のライフスタイルです。
「FIRE」とは、経済的に独立し、会社や仕事に縛られることなく、自由に人生を楽しむことを意味しています。
この「FIRE」を含む「アーリーリタイア」の考え方では、定年を待たずに仕事を辞め、それまでに形成した貯金や資産、退職金などで生計を立てていくことが基本とされています。
「アーリーリタイア」に近い言葉で「セミリタイア」というものもありますが、こちらは定年前に退職はするものの、自由に過ごす時間を確保しつつ一定の収入を得られるような仕事を続けるスタイルを指します。
「アーリーリタイア」では完全に仕事から離れる必要があるため、それまでに必要な資産を若いうちから形成し始める必要があるのが特徴です。
経営者が準備するべきポイント
では、経営者がアーリーリタイアを検討する場合、どのような準備が必要なのでしょうか。
一般的なサラリーマンとは異なり、経営者には「定年」という概念がありません。
しかし、リタイアに関してはサラリーマンよりも経営者のほうが真剣に考えるべきという見方もあります。
特に重要となるのは、会社と従業員に対する準備です。
「会社を清算する」以外の選択肢をとるのであれば、引き継ぎという問題が発生します。
身内に引き継ぐ場合のハードルは比較的低いといえますが、身内以外に引き継ぐ場合は後継者の人選や引き継ぎ後の経営についても考えておく必要があります。
特に、経営者自身も重要な実務を担当しているような中小企業では、早めに後継者の育成について考えておくと良いでしょう。
また、現時点で会社が抱えている課題についても正しく把握しておく必要があります。
リスクの多い事業を引き継ぐことは、自身にとっても後継者にとっても不安の大きいものです。
課題をしっかりと整理し、早いうちから改善策を考えていくことで、スムーズな事業承継をおこなうことが可能となるのです。
経営者こそ気をつけるべきポイント
ここまでアーリーリタイアについてお話してきましたが、経営者がアーリーリタイアを選択する場合、気をつけるべきポイントがあります。
それは、「必要以上に会社に口を出さない」ということです。
相談を持ちかけられた場合であれば問題ないですが、頼まれてもいないのにあれこれとアドバイスをしているのであれば、それはリタイアとは言えません。
リタイア後のプランとして、これまでの経験を活かして新しくビジネスを始めたり、その知識を必要とする企業の顧問になったりといった選択肢もあります。
これまでの会社とは一定の距離を保って付き合っていくことが、お互いのためであるという意識は持っておくと良いでしょう。
まとめ
今回はアーリーリタイアについてご紹介しました。
経営者が「リタイア」の時期を考えることは、会社の今後を左右するといっても過言ではありません。
替えがきかない経営者だからこそ、未来をしっかりと見据えた準備を始めてみてはいかがでしょうか。