中小企業の利益改善のヒント!「5:25の法則」とは
「新規顧客は増えているのに、なぜか利益が残らない」
この違和感の背景には、「新規を取り続ける状態」に原因があるのかもしれません。
それを考えるヒントになるのが、「5:25の法則」という考え方です。
本記事では、中小企業の利益を左右する「顧客維持」と「利益構造」の関係について、分かりやすく解説していきます。
利益が残らない原因は顧客離れにある?
利益が残らない理由を紐解くために、まずは売上の基本構造を見てみましょう。
売上は「顧客数・単価・頻度」の掛け合わせで決まります。
つまり、どこか一つだけでなく、全体のバランスで決まるということです。
売上 = 顧客数 × 客単価 × 購入頻度
さらに、顧客数は次のように分解できます。
顧客数 = 新規顧客 + 既存顧客
一方で、「継続率」「購入頻度」「客単価」といった既存顧客に関する施策は、後回しになりがちです。
しかし、既存顧客が離れてしまえば、せっかく新規獲得で増やした顧客数も減少してしまいます。
例えば、毎月10社を新規獲得しても、8社が解約していれば純増はわずか2社です。
これは、「穴の空いたバケツに水を注ぎ続けている状態」と言えるでしょう。
この状態では、どれだけ新規を増やしても、利益にはつながりにくくなります。
加えて、売上の増加と利益の増加は必ずしも一致しません。
利益は、以下の式で表されます。
利益 = 限界利益( 売上 - 変動費 )- 固定費
限界利益とは、売上から変動費を差し引いたものです。
ここでいう変動費とは、仕入れや広告費、営業コストなど、売上に応じて増減する費用を指します。
さらに、固定費は売上に関係なく発生するため、売上が伸びてもコスト構造が重いままだと、利益が思ったほど残らない可能性があります。
つまり、利益は「売上の増加」で決まるのではなく、「いかにコストを抑えて売上を作るのか」によって変わります。
そして、その利益構造を左右する要因の一つが「顧客維持」なのです。
利益向上のカギとなる「5:25の法則」とは
顧客維持と利益の関係性を示しているのが、「5:25の法則」です。
「5:25の法則」とは、顧客維持率を5%改善すると、利益が25%以上向上する可能性があるという、顧客維持の重要性を示したマーケティング理論です。
この理論は、1990年に『Harvard Business Review』に掲載された、フレデリック・ライクヘルド氏とW・アール・サッサー氏による顧客ロイヤルティの研究をきっかけに、広く知られるようになりました。
なぜ、顧客維持率をわずか5%改善するだけで、利益向上が期待できるのでしょうか。
その理由の一つに、新規顧客の獲得コストの大きさがあります。
一般的に、新規顧客の獲得には既存顧客維持の約5倍のコストがかかると言われています。
そのため、同じ売上を作る場合でも、「既存中心」か「新規中心」かによって、かかるコストは大きく変わってきます。
新規に依存している状態に比べると、既存顧客が軸になっているほうが、利益は残りやすくなります。
売上から引かれるコストが減れば、その分だけ利益として残る割合は大きくなります。
顧客維持率で利益はどう変わるのか
では、維持率が少し変わるだけで、どれほど差が出るのかを見てみます。
サブスクサービスなどで毎月の顧客維持率を見る場合は、一般的に次の式が使われます。
顧客維持率(%)=(月末顧客数 - 当月の新規顧客数)÷ 月初顧客数 × 100
簡単に言うと、「もともといた顧客がどれだけ残っているか」を示す指標です。
では、顧客維持率の違いによって、売上や利益にどのような差が生まれるのでしょうか。
顧客数100社・月額10万円のサービスを提供する企業を例に考えてみます。
毎月20社の新規顧客を獲得し、新規獲得コストは1社あたり10万円、既存の維持コストはその1/5にあたる2万円とします。.webp)
(※実際にはさまざまなコストが発生しますが、本例では顧客維持率による違いを分かりやすくするため、簡略化して比較しています。 )
こうして見ると、わずかな維持率の差でも、結果に大きな違いが生まれていることが分かります。
このように、既存顧客は少ない投資で継続的な売上と利益を生み出すことができます。
成功している企業は、新規獲得に依存するのではなく、既存顧客を軸に利益が積み上がる顧客構造を築いているのです。
利益改善のヒントは顧客構造の理解にある
売上を伸ばすうえで、新規顧客の獲得は欠かせません。
しかし、利益改善は、新規顧客の増加だけで実現できるものではないのかもしれません。
「5:25の法則」は、単なるマーケティング理論ではなく、「利益が残る会社」と「残らない会社」を分ける重要な考え方でもあります。
まずは、自社の顧客維持率を算出してみましょう。
あわせて、以下の点を確認することで、改善の方向性が明確になります。
・どの顧客が離脱しているのか
・どのタイミングで解約が発生しているのか
・継続している顧客に共通する特徴は何か
・新規獲得のコストが利益を圧迫していないか
これらを整理することで、優先的に取り組むべき顧客維持の施策が見えてきます。
顧客維持率という指標を通して自社の課題を正しく理解することが、持続的な成長を考えるうえで、一つの手がかりになるのではないでしょうか。


