【経営ウォッチ】無印良品の目指す「第二創業」
シンプルなデザインとその実用性で、数多くのファンから支持されている無印良品。
この「無印良品」を展開する良品計画は、2021年9月より新社長に堂前氏を迎え、新しい中長期計画を掲げました。
今回の経営ウォッチでは、「第二創業」をキーワードとした良品計画の経営戦略について詳しく見ていきましょう。
新社長のもとで目指す「第二創業」
新社長の掲げた中長期計画では、売上の向上や店舗数の拡大はもちろん、100年後のより良い未来に繋がるような「企業理念」が描かれています。
具体的には「脱プラスチック&リサイクル、労働環境に配慮した商品開発」や「倫理的な調達生産工程の保証」などを示し、取引先の人権デューデリジェンスにまで言及しています。
この中長期計画を公表した2021年7月の記者会見でも、堂前氏は「そもそも無印良品ができたときは、世の中のほとんどの人のために、良いものを手に取れる価格でというところからスタートした。そこにもう一度立ち戻りたい」という発言をしています。
原点に立ち返ることでエシカルな理想を実現しながら、2030年までに売上を現在の約6倍に、店舗数も現在の約2.5倍に拡大するという目標を設定したのです。
その理念の中では、自然や地域と共生していく「公益人本主義経営」や「コーオウンド経営」についても触れられており、さらなる注目を集めています。
「公益人本主義経営」と「コーオウンド経営」
「人本主義経営」とは、株主価値ではなく「従業員価値」によって運営され、利益も従業員にシェアされるという企業経営方式を指します。
この究極体が「コーオウンド経営」であり、従業員が会社を所有する状態を指します。
欧米では一般的な株式企業より収益性、成長性ともに高く評価されており、従業員のロイヤルティーも高いサステナブルな経営として話題になっています。
今回の中長期計画は株主総会の決議を経て宣言したものではないので、あくまでも「経営理念」の範疇にとどまっていますが、現代日本においてこの理念に言及した意義は大きいと言えます。
大手企業である良品計画が極めて理想主義的と言われる体制を目標に掲げ、従業員の幸福やエシカルな経営をどこまで追求できるのか、これからの展開に注目が集まることが必至でしょう。
これからの無印が目指すもの
これだけの取り組みを成し遂げるには、それを支える人材の育成も重要になります。
そこで良品計画は店長候補の採用を通年で行い、優秀な人材であればたとえ20代でも執行役員の席につけるようなキャリアパスを設定しました。
このキャリア設定は、先述した「コーオウンド経営」に見られるように、これからの企業の求心力を従業員に見出している事がよく分かる部分でもあります。
崇高な理念に追いつくように、まずは現場の従業員たちのモチベーションや求心力を育てていくことを重要視しているのです。
まとめ
今回は、無印良品を運営する良品計画についてご紹介しました。
経営方針にも「エシカル」や「サステナブル」が取り入れられる時代がきたことが、よく分かる事例です。
まずは従業員の幸福度を上げることから、エシカルな経営を始めてみてはいかがでしょうか。