2022.06.22
今期の事業拡大費用や人件費上昇分を、
早期にモニタリング
株式会社ベストウェル × 大阪総合人財経営株式会社
高齢者向け住宅等の事業を展開するベストウェルと、bixider(以下ビサイダー)を務める大阪総合人財経営 代表取締役 佐藤充氏を結ぶ第3回目のオンラインミーティングは、兵庫と大阪を結んで行われました。
ベストウェルの代表取締役であり医師も務める西川弘社長は、これまで数字に追いかけられる多忙な日々を過ごしてきましたが、自発的に数字を創ることで「余裕をもって、財務の全体像を俯瞰できるようになった」と話します。
そこで第3回目の今回は、各施設(事業所)と全体の2視点から、進行期(第24期)の決算予測の精度を上げるため、以下のTASKに則って行うことになりました。
〈TASK1〉事業所別に予算実績をモニタリング
〈TASK2〉実績を考慮しながら新規事業のヒアリング
前期、前々期と比較しながら、今期着地点を見通す
2022年10月期決算(第24期)を見通す作業にすでに取り組んでいるベストウェルは、bixidの「月次モニタリング」と「単年(月次)計画」を活用し11・12月の実績値と、1〜10月の予測値を持って今ミーティングに臨むことになりました。
大阪総合人財経営 佐藤(以下ビサイダー)
事前に予算と実績を比較してみたところ全体的にほぼ前年と同じ数字になっていることが確認できましたが、ところどころ対前年比101%、105%といった細かい数字も散見されました。これは理由がありますか?
西川社長
定期的に行っている経営会議で前期と前々期の数字を確認しつつ、さらに、空き部屋状況を見ながら予測値を細かく立てていったのですが、例えば、対前年比105%の売上が見込まれるA事業所にはアップ率に準じた給与の計算式を作り、人件費上昇分を細かく計上していきました
ビサイダー
そこまで細かく見通せている点は素晴らしいですね。社会的にエッセンシャルワーカーの給与や待遇の見直しが行われていますが、ベストウェルさんも固定人件費は上がる予定ですか?
西川社長
そうですね。今秋から固定人件費を全体的に数パーセントアップしています
こうした見込みに則り、ベストウェルの最大の支出項目である固定人件費の上昇率を含めた数字を「単年(月次)計画」に入力した結果、今期決算は若干ながらも前年対比プラスオンの見込みに。
西川社長
人件費だけでなく、物件ごとに異なる租税公課(固定資産税)や管理諸費等の数字の再確認ができ、本業利益(税引前利益)も前期と同じような動きになることが確認でき、想定の範囲内の着地点が見通せたことでホッとしています
今秋完成予定の施設増床分にかかる数字の整理も
社会的需要の高まりとともに、グループホームや介護付き有料ホーム等の施設を増やしながら、利益を積み増す方向にシフトしていきたいと考えているベストウェルでは、今春から「認知症対応型共同生活介護/グループホームくに林」の増床工事がスタート。今秋の完成をめざします。
ビサイダー
グループホームくに林の増床工事は自己資金で実行されるのですか?それとも借入れですか?
西川社長
補助金事業として工事を進めていますが、補助金は後から入ってくるので、それまでは短期の融資でつなぐ形になります
ビサイダー
なるほど。ちなみに構造は鉄筋ですか?木造ですか?
ビサイダー
とすると、業務用木造建築の法定耐用年数は22年ですので、それを踏まえて減価償却の年数を設定することになります
ビサイダー
そうです。減価償却はキャッシュフローを考えるうえでとても重要な項目です。増床部分に関する利益計画および資金計画を考えるうえで重要な内容なので確認させてもらいました。建物部分だけでなくその他の機械装置や備品関係も本来は細かく拾っていく必要があるのですけどね。
西川社長
増床部分の建物だけでなく、機械装置や備品関係なども新しく調達するのでそこはちゃんと把握ができる状況にあります
ビサイダー
減価償却の耐用年数は社長にとっては短いほうが多く経費に計上できるので納税的には有利になりますので、シミュレーションを行う際に改めて細かい内容を整理させてください。
スムーズな予算実績管理で、スピーディな課題対策も
「部門損益ダイジェスト」で事業所ごとの損益を確認し、それらを合算した全体決算の見込みを「損益ダイジェスト」で見通した結果、細かな部分で、今期の見通しがクリアになる成果も得られました。
●介護保険収入、介護保険外収入、委託事業収入等の計画数値により、売上高は対前年比プラスと判明
●支出割合の最も高い給与手当、役員報酬、従業員賞与、福利厚生費等の上昇分を早期に掌握
西川社長
今期の数字を微調整しながら予算実績管理を行っていけば、資金繰り計画も立てやすくなりますし、今期見通しの精度も上がりますね。これなら、幹部や施設長と数字を共有することで、数字から課題がみつかった場合は早急に対策を打つことができますね
—— 成長軌道に乗った健全な財務状況が、ひいてはお客様第一の高品質のサービス提供につながる。
ベストウェルが今日お客様に提供している上質なサービスは、ベストウェルの成長とともに、さらにグレードアップしていくことでしょう。
今回のPOINT!
・売上増に伴う人件費の値上がり分も想定して事業計画を策定しました
・建物の構造によって減価償却の耐用年数が異なることの意味を認識しました
利益計画や資金計画など将来のシミュレーションを行う際に「既存事業」と「新規事業」は分離して考えるべきというセオリーがあります。これは設備投資を行う場合に、その投資額を「既存事業」における利益から回収するのか?「新規事業」から新たに生み出す利益で回収するのか?というイメージを数値化するためにとても重要になります。その際の回収額の目安の一つが減価償却の金額です。設備投資と減価償却はセットで理解しましょう。
活用するbixidの機能
株式会社ベストウェル
兵庫県内に高齢者向けの介護施設を多数展開し、地域に密着した質の高い介護サービスを提供。企業理念は「誠実さと思いやり」「心と体への貢献」「従業員の幸福と社会への貢献」
代表取締役:西川 弘
本社所在地:兵庫県神戸市
創業:1999年
事業内容:介護事業・グループホーム運営・サービス付き高齢者住宅