今期だけでなく、
経営を中長期で見通すために
株式会社ベストウェル × 大阪総合人財経営株式会社
20220713ベストウェル
ベストウェルの代表取締役 西川弘氏と、ベストウェルのセカンドオピニオンを務めるbixider(以下ビサイダー)の大阪総合人財経営 代表取締役 佐藤充氏。両者を結ぶ第4回目のオンラインミーティングは、いつもの通り兵庫と大阪を結んで行われました。
前回は、人件費上昇分や施設増床分にかかる今期の数字の整理を行いましたが、今回は以下のTASKに則り、損益推移表から今期の経過累計をチェックすることに。
〈TASK1〉損益推移表から、科目ごとの経過累計を確認

〈TASK2〉中長期の視点に立った経営計画の利点を探る
これまでご紹介した通り、グループホームや認知症対応型共同生活介護、サービス付き高齢者向け住宅、居宅介護支援サービスをはじめ、グループ内に医療法人を擁するベストウェルは、施設・部署ごとに細分化した財務管理が必要になります。
事業所が多ければ、それだけ施設・科目・月別に数字を入力する手間を要しますが、その作業がスムーズに流れるようになることで、「早期に決算の着地点を見通せる」→ 「経営計画が立てやすくなる」→「数年後の事業を見通せる」といった利点を得られるとビサイダーは話します。
過去の数字を整理する決算業務のみならず、未来の数字を創造する楽しさを体感しつつある西川社長は、今回どんな“気づき”を得たのでしょうか。早速、ミーティングの模様をリポートしましょう。

今期の損益推移表に示された大きな数字について、まずは確認

ミーティングの冒頭、医師と経営者の顔をもち時間の合間を縫って財務管理に携わる西川社長に、ビサイダーの佐藤氏はあいさつを兼ねて問いかけます。
大阪総合人財経営 佐藤
大阪総合人財経営 佐藤(以下ビサイダー)
よろしくお願いします。1カ月はすぐ過ぎてしまいますが、何か変化はありましたか?
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
事業そのものに変化はないのですが、依然として介護事業ではコロナの感染対策に気が抜けませんし、3回目のワクチン接種が佳境を迎えているので、一日中バタバタしていますね
PCの画面上に11〜2月の4カ月分の実績値と、残り8カ月分の見込値が入力された今期決算着地(2022月10月)の損益推移表が提示され、気になる点についてビサイダーから質問が投げかけられていきます。
大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
増床工事が行われる〈グループホームくに林〉(以下「くに林」)単体の当期利益の全体的な数字を見ると、9月に入る予定の補助金は計画上では雑収入で処理しています。さらにこれを決算では圧縮記帳し、申告上では減算処理として法人税で調整していますが、この補助金以外にもお金の動きはありますか?
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
いま銀行さんと話が進んでいる最中ですが、補助金が入金されるまでの間のつなぎ資金として短期借入を予定しています。さらに〈くに林〉の設備資金や運転資金として長期で借入をする予定がほぼ決まっています
大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
シミュレーション上ではその借入情報は織り込んでいないので、貸借対照表上では6月以降にキャッシュの残高がマイナスになっています。今回予定しているそれらの借入分で補填するということですね?
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
はい。6月のキャッシュアウトに備えて借入を実施する予定でいます。9月の稼働を想定していますが、工事の進捗状況によってはスタートが遅れることがあるかもしれません
大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
キャッシュについては安心しましたが、借入の金利はどれくらいになりそうですか?
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
おそらく従来通りの1.5%前後ではないかと。ただ最近は金利が上昇していますので、きちんと確認しないといけませんね

科目ごとの経過累計も、ひとつずつしっかり確認

大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
11〜2月の4カ月分の実績値を見ると、直近2月の収入は11月、12月、1月と比較して落ちていますが、これは何か理由がありますか?
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
これは単純な理由で、2月は日数が28日しかないからです。介護施設に関する収入の計算は日数単位で行うので他の月と比較すると2月はどうしても7〜8%ほど収入が下がります
そのほかにも施設、科目、月別に細分化された4カ月分の実績データと決算まで残り8カ月分の計画値が入力された損益推移表をもとに、今期の決算着地の利益を見ながら、ビサイダーと西川社長の間で細かく確認がなされていくことに。それは例えば下記のような内容に。
水道光熱費の経過累計は計画値よりやや高めだが、これは計画通りなので問題なし

管理諸費の経過累計は計画値と若干のズレがあるため、この部分は修正が必要

通信料の経過累計は、職員の携帯を切り替えたため計画値よりやや高めで推移

広告宣伝費の経過累計は職員募集のチラシを作成したため、やや高めで推移

物品販売等収入の計画数字は未入力なので、新たな計画値の入力が必要

大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
今日は施設ごと、勘定科目ごとにひとつひとつ細かく確認していきましたが、お忙しい西川社長の場合、計画通りに推移しているかをモニタリングするコツとしましては、この経過累計とその差額に着目されると計画全体の進捗状況がつかみやすくなると思います
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
経過累計がプラスかマイナスか、科目ごとに追いかけていくのですね
大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
はい、そうです。bixidのシステムでは予算対実績の結果を直感的に把握してもらうために、計画値より良い場合は青色のグラフになり、計画値より悪い場合は赤色のグラフになります。例えば売上の場合は未達だと赤、経費の場合だと予算オーバーすると赤色、という感じになりますので、まずは赤色の部分で金額が大きいところを把握するとどこにズレが生じているかをすぐに捉えることができ、いち早く改善の手を打つことができます
モニタリングの結果、今期の着地は前期利益よりもプラスで推移する結果が示されることに。

その数字に安堵の表情を浮かべた西川社長ですが、実は懸念していたことがあったそう。
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
初めてのことなのですが、15部屋の施設の半分ほどの部屋が一定期間空室だったことで、今期は前期に比べると厳しいかなと予測していたんです。その不安があったのでできる限り支出を控えるよう心がけていたのですが、結果的には私が思った以上に計画に沿った決算着地(シミュレーション結果)が出たことに、まずはひと安心しました

今期の見通しをもとに、中長期の資金計画へ

今期の見通しが立ったことで、今後に懸ける思いを西川社長は語ります。
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
介護施設を造ろうと思って数年前に購入した遊休地があるので、その土地に健康関連施設を立ち上げたいとも考えていますし、数は多くないのですが、介護保険事業のグループホームと介護付き有料老人ホームの公募のチャンスがあればトライして、いざというときにすぐに動ける体制を作っておきたいなと思っていまして
大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
まとまった金額の融資の必要性が事前にわかっているベストウェルさんの場合、先手を打つためにも中長期の経営計画は絶対にあったほうがよいと思います。将来を見すえた経営姿勢は必ず銀行にも伝わりますので
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
銀行に限らず個人のお金の貸し借りでも、無計画な人にお金を貸したくないですし、きちんと返ってくる見込みのある人にお金って貸したいものですよね(笑)。そういう意味でも、中長期計画に取り組むことで、資金調達力を強めたいと思っていますので、お力添えをお願いします
大阪総合人財経営 佐藤
ビサイダー
現段階では、先ほど話した通り大局的に今期の会計データの進捗状況をタイムリーにチェックし、月々の数値が計画値とぶれていなければ問題ないと考えています。この感じで順調に推移すれば、決算は10月ですが、7・8月の早い段階である程度の正確な納税額が見えてくるので、節税に対する事前の議論ができるようになると思います。さらにそこから3年、5年スパンの売上計画に着手していきましょう
さらなる事業拡大に向けてさまざまな方策を練るベストウェルですが、今期決算の着地点を見出したことで足元が固まりつつあるいま、次の一手のために怠りない準備が必要となります。それは例えば、
「新しい事業や施設を立ち上げる際、その規模感はどれくらいになるか」

「新しい事業や施設を立ち上げる際、どの程度の箱ものが必要になるか」

「新しい事業や施設を立ち上げる際、どれくらいの資金が必要になるか」

「新しい事業や施設と現在の事業を合算すると、損益はどう変化するか」

これらの青写真をもとにした中長期の経営立案に意欲を示す西川社長は、最後の次のように話してくれました。
株式会社ベストウェル 西川社長
西川社長
先月は設備投資と減価償却の考え方について教えていただきましたが、可能な限り新規事業を立ち上げていきたいと思っています。大きな資金を要する新規事業はリスクが伴いますので、会計のプロにアドバイスをいただきながら、最善の方法で事業を広げていければと思っています。このプロジェクトに参加した当初は、単なる会計のやりくりを教えていただく感じだと考えていたのですが、経営に関する点でたくさんのことを学ばさせていただき、本当に感謝しています。これからもよろしくお願いします

今回のPOINT!

・新規事業のキャッシュフローから融資計画を確認
・細かな経費額を精査することで経営状況の明確化
・今後の新規事業への会計的なリスクヘッジを確認
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月次予算対実績の比較(今回は4か月目) → 残り8カ月予算の見直し(決算着地確認) → 中期計画策定のイメージ、といったオーソドックスなミーティングでした。ビサイドのメインコンテンツである「モニタリング」と「単年度計画」をフルに活用して、忙しい社長でも短時間で直感的に予算対実績把握するためのポイントが凝縮されていました。次回は西川社長が考える3~5年後のイメージを数字で見える化できるのが楽しみです。
活用するbixidの機能
株式会社ベストウェル
兵庫県内に高齢者向けの介護施設を多数展開し、地域に密着した質の高い介護サービスを提供。企業理念は「誠実さと思いやり」「心と体への貢献」「従業員の幸福と社会への貢献」
代表取締役:西川 弘
本社所在地:兵庫県神戸市
創業:1999年
事業内容:介護事業・グループホーム運営・サービス付き高齢者住宅