単年度計画はなぜ機能しないのか
こんにちは、YKプランニング代表取締役の岡本です。
計画という言葉を聞くと、「管理」や「チェック」というイメージが先に浮かぶこともあるかもしれません。つくらなければいけないもの、提出しなければいけないもの、守らなければいけないもの。そんな“義務のもの”として捉えてしまう場面もあるのではないでしょうか。
一方で、実際の経営の現場に目を向けてみると、単年度計画は少し違った役割を担っているようにも見えてきます。
今回は、単年度計画を「管理のための道具」としてではなく、「会話と判断の前提」として捉え直してみたいと思います。
計画づくりが大変に感じる理由
単年度計画をつくろうとすると、少し構えてしまう方もいるかもしれません。
数字をきちんと積み上げなければならない、根拠を説明できなければならない、外れたらどうしよう。そうした思いが先に立ち、手が止まってしまうことは少なくありません。
こうした背景には、「計画は当てるもの」「守るもの」という前提があります。間違ってはいけないものだと捉えた瞬間に、計画は一気に重たいものになるのです。
しかし、未来は不確実です。
市場環境も人の動きも、自社の状況も、年初の時点で完全に見通せるものではありません。その中で「正しい計画」をつくろうとすればするほど、かえって難しさは増していき、その結果、計画をつくること自体が目的になってしまったり、形式的な数字合わせにとどまってしまったりするのです。計画が大変に感じられる背景には、「計画=正解」という無意識の前提に縛られているからかもしれません。
計画が機能しないときの共通点
計画があっても、実際の経営にあまり使われていないケースは少なくありません。
年初に作成した計画が見返されることはほとんどなく、月次の数字も計画と結びついていないといった状態では、計画は存在していても、経営の中で機能しているとは言えません。
こうなる要因の一つとして、計画が「評価の基準」になりすぎている可能性があります。達成か未達かという判断だけに使われると、計画は結果にラベルを貼る存在になっていきます。その結果、計画を見ること自体に緊張感が生まれ、日々の意思決定から切り離されていくといった状態に陥ってしまいます。
計画があることで安心するどころか、むしろ身構えてしまうという状態では、計画は経営の支える存在にはなりにくいのです。
計画を「前提」として捉えて経営に活かす
計画を経営に活かすためには、計画の位置づけを「正解」ではなく「前提」として捉えるという考え方に変えてみましょう。
今年はどのような環境を想定しているのか。
どのような動きを考えているのか。
どのようなリスクやチャンスがありそうか。
そうした仮の見立てを言語化したものが計画だと考えると、計画は「当たるか外れるか」よりも、「何を前提に考えているか」を共有するためのものとして見えてきます。
このように捉えると、月次の数字を見る意味も少し変わってきます。計画との差を責めるのではなく、その前提は今も妥当なのか、どこにズレが生まれているのか、という問いが自然と生まれてきます。
計画は、何かを縛るものではなく、問いを揃えるための前提です。前提が共有されていれば、ズレが生じたときにも会話がしやすくなります。想定と違った、だからこそ次をどう考えるか、そうした流れが、少しずつ生まれてくるのかもしれません。
計画があると会話はどう変わるのか
計画があると、会話の出発点が変わります。「なぜこうなったのか」という説明から入るのではなく、「このズレをどう扱うか」という問いから入れるようになります。
計画がない状態では、月次の数字はどうしても「結果」として見られがちです。
良し悪しという比較がされるため評価寄りの会話になりやすく、「なぜこうなったのか」という説明が中心になり、どうしても過去に目が向きやすくなります。
一方で、計画があると、月次の数字は「途中経過」として捉えやすくなります。
「この前提は今も妥当なのか」「想定と違ったのはなぜか」という問いが自然に生まれ、会話の焦点が、過去の説明から、未来の判断へと少しずつ移っていきます。
また、「ズレ」の捉え方も変わります。
ズレは失敗ではなく、想定と違ったという事実そのものが、次の判断材料になります。そう捉えられるようになると、会話は緊張ではなく、検討の場へと変わっていきます。
計画は未来を縛るものではなく、会話のベクトルを揃えるための前提です。数字は評価のためではなく考えるための材料になる、そう捉えられた時に会話の質は大きく変わるのではないでしょうか。

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。

