2022.08.31
現時点の今期実績をモニタリングし、
今後の展開を見据えたTASKも設定
西日本食品工業株式会社 ✕ 税理士法人アイ・パートナーズ
西日本食品工業株式会社の長田社長と、税理士法人アイ・パートナーズの石渡氏・山田氏がタッグを組む「bixider経営支援プロジェクト」。その最終回となる第6回定例ミーティングが、2022年5月中旬、熊本と横浜を結ぶオンラインで実施されました。
半年にわたるプロジェクト企画は今回で終了となりますが、引き続きアイ・パートナーズの両氏(以下ビサイダー)は、長田社長のアドバイザーとしてサポートを継続することが決定! 今後も毎月のオンラインミーティングを通して、bixidを活用した財務管理や、セカンドオピニオンなどの経営支援を続けていくことになっています。
そこで今回は、今後の展開を見据えた以下2項のTASKを設定。現時点の実績を確認しながら、次回以降の取り組みを共有していくことになりました。
<TASK1> 直近の4月の実績を予算(計画比)ベースでモニタリングしながら、今期(2022年2月~2023年1月)の今後の見通しを再確認
<TASK2> 貸借対照表で当座資産・純資産・自己資本比率を確認。財務管理に関するアドバイスとともに、キャッシュフローを軸とした次回以降の取り組みについて共有
売上目標は未達ながらも、最終的な利益は着実に確保
アイ・パートナーズ 山田(以下ビサイダー)
でははじめに、現時点の今期実績をbixidで確認していきたいと思います。直近のデータとして、4月の実績を長田社長に入力いただきましたので、2・3月を含めた3ヵ月分の累計実績と併せて見ていくことにしましょう
まずビサイダーはbixidの損益ダイジェストを開き、4月分の実績と今期3ヵ月分(2・3・4月)の累計実績を計画比でモニタリング。その結果として、以下のような数値が示されました。
●4月の売上実績は、計画に対して約87%の達成率(約13%未達)
●現時点(2・3月を含めた今期3ヵ月分の累計)の売上実績は、計画に対して約94%の達成率(約6%未達)
●現時点の限界利益は、計画に対して約3%増加
●現時点での税引前利益は、計画に対して約115%を確保
ビサイダー
4月の売上に関しては、実績と計画の差異がやや大きくなりましたが、何か要因は思い当たりますか
長田社長
昨年4月は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で、ゴールデンウィークに向けた“巣ごもり特需”があったのですが、今年はそうしたニーズが薄まったのが大きいですね。今年4月の売上計画は、昨年4月の実績を元に立てていましたので、こうした需要の変化が差異の要因だと思っています
ビサイダー
前回、大口の取引が5月以降にズレ込むとお話しされていましたが、昨年4月の需要は特別だったという部分を含め、今期全体の計画として最終的な売上目標は達成できる状況とお考えですか
長田社長
昨年の約1.1倍の売上を見込んだ今期目標の達成は、正直なところ厳しいと感じています。顧客数が減ったわけではないので、まだまだ諦めてはいませんけれど、先の読めない社会情勢やサプライチェーンなどの外的要因を含めて、流れ的には厳しい状況かなと…
ビサイダー
そうですか。ただ、現時点で売上は未達ながらも、経費関連を見ると全体的に計画よりスリムに抑えられていますし、限界利益や税引前利益などの実績も計画以上に残しています。ある意味、最終的に粗利をしっかり確保できているのは、売上目標の達成以上に大きな成果だと思います。
もちろん売上を上げることも重要ですし、その目標に沿って予算計画も立てたわけですから、今後も外的要因や状況の変化を見極めながら、計画の修正などを含めて適宜対応していくことにしましょう
資産状況を確認しながら財務管理についてアドバイス
続いてビサイダーは、bixidの資産ダイジェスト(貸借対照表)で、現時点の当座資産・純資産・自己資本比率を確認。以下のような分析とアドバイスを示しました。
ビサイダー
現時点の自己資本比率は約45%と、前期首から約11%増加し、長田社長が目指す70%に向けて堅調に推移しています。
ちなみに、貸借対照表のバランスシートから資産と負債を外す《オフバランス》という手法を使って、現在の借入金の約半分を当座預金(負債純資産)から一括返済した場合、自己資本比率は約50%にまでアップするんです。これは対外的な評価を高める数字上のテクニックで、あくまでもご参考までですが…
長田社長
いや~、それは知りませんでした。ただ、自己資本比率がアップしても、総資産は減ってしまいますよね
ビサイダー
そうですね。当然ながら手元のキャッシュは減りますが、自己資本自体は変わりませんので、バランスシートがスリム化された分だけ、その比率がアップするわけです。
ただ、会社の安定経営を考えると、ある程度のキャッシュを手元に置いておくことも重要です。財務指標となる自己資本比率をどこまで追求するのか、どれぐらいキャッシュを確保しておけば安全なのか、そのあたりのバランスを見極めてご判断いただくことが、健全かつ理想的な財務体質を、中長期的に築いていくカギになると思います
さらにビサイダーは、借入金や返済状況の内訳(借入情報)をbixidのシステムに登録することを提案。今後の財務管理におけるアドバイスと併せて、次回以降の取り組みについて言及しました。
ビサイダー
各金融機関からの借入・返済状況は、社長ご自身も把握されていると思いますが、金融期間ごとに借入日・借入額・金利・返済額・返済期間などの情報をbixid上に登録していただくと、借入状況のグラフ推移表や一覧画面で、返済の明細を一括管理・確認することができます。これらのデータは経営計画のシミュレーションにも反映されますので、今後の財務管理もよりスムーズになるかと思います。
こうした点を含めて次回は、今期中にゼロを目指されている受取手形・支払手形について、売掛金や買掛金の回収・支払状況などを確認しつつ、長田社長が課題と感じられているキャッシュフローについても、資金繰りを含めて詳しく見ていくことにしましょう
長田社長
資金繰りやキャッシュフローに関しては、わからないことも多いので、ぜひいろいろとご教授ください。金融期間ごとの借入情報についても、さっそく登録してみたいと思います
半年にわたる経営支援プロジェクトを振り返って
以上、今回の定例ミーティングをもって、半年にわたる経営支援プロジェクトが無事完了! 毎月のミーティングに参加してきたスタッフ全員からも、今後の活躍を期待する声やエールが長田社長に送られ、互いに名残を惜しみつつ、明るい笑顔で言葉を交わし合いました。
長田社長
いま振り返ると、あっという間の半年でしたが、ビサイダーやスタッフの方々に支えられながら、じつに多くのことを学ばせていただきました。皆様からの助言や励ましがあったからこそ、コロナ禍という非常に厳しい状況にあっても、つねにポジティブな姿勢と自信をもって、会社の経営に取り組むことができました。
また、プロジェクトに参加したことで、遠く離れたビサイダーの先生方と出会い、今後も支援いただけるご縁ができたことを大変うれしく思っています。こうして素晴らしい機会を作ってくださった皆様に、あらためて感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
ビサイダー
こちらこそ、プロジェクトを通して長田社長と信頼関係を築き、今後もアドバイザーとしてご支援できることを、心からうれしく思っております。また、コロナ禍で経済状況が厳しさを増すなか、つねに前を向いて真摯に経営に取り組まれる社長の姿は、きっと多くの経営者の方に勇気を与えられたのではないかと確信しています。
ひとまず、今回でプロジェクト企画は終了しますが、来月からも社長とのオンラインミーティングは続けてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。近いうちに熊本の本社にも伺いたいと思いますので、工場などを見学させていただきながら、リアルにお会いできる日を楽しみにしております!
── 昨年末のキックオフから、毎月順調に回を重ねてきた定例ミーティングのリポート(記事配信)はこれがラストとなりますが、長田社長とビサイダーのチャレンジはまだまだ続きます。
ビサイダーという頼もしきパートナーを得て、プロジェクトで弾みを付けた長田社長のますますのご活躍と、西日本食品工業のさらなる成長に大きな期待を寄せて…。半年にわたる「bixider経営支援プロジェクト」を締めくくらせていただきます。
キックオフミーティングから半年間、私もオブザーバーという形で参加をさせて頂きましたが、 「前期決算の現状分析→今期月次予算の作成→予算と実績の比較→計画の修正」 という財務を活用した経営のPDCAサイクルを回すためのベースがビシッと整ったと思います。
今後は、期首から6か月目の半期修正、決算2~3か月前の決算予測など、常に先を見据えた財務の見える化が経営に安心感をもたらしてくれること間違いありません。
今後も西日本食品工業さんとアイ・パートナーズさんの益々のご活躍を期待しております。
活用するbixidの機能
西日本食品工業株式会社
「食で命を育み、子どもたちの明るい笑顔を世界に広げる」を企業理念に掲げる、1950年創業の老舗食品メーカー。主力商品の春雨は、中国に古くから伝わる製法にこだわり、その伝統の技と手作りの味を守り続けている。
代表取締役:長田 和也
本社所在地:熊本県熊本市
創業:1950年
事業内容:春雨や粉物などの食品製造・輸入・販売