2022.06.08
今期決算を振り返りつつ、
来期に向けた新たな一歩を踏み出す
西日本食品工業株式会社 ✕ 税理士法人アイ・パートナーズ
1950年創業の老舗食品メーカー・西日本食品工業株式会社の長田社長と、税理士法人アイ・パートナーズの山田氏・石渡氏(以下ビサイダー)がタッグを組む「bixider経営支援プロジェクト」。その第2回定例ミーティングが、2022年1月下旬、熊本と横浜を結ぶオンラインで実施されました。
今期(2021年度/2021年2月~2022年1月)の決算月を迎え、来期の売上予算や販売計画なども着々と進める長田社長。このタイミングで今回は、前回のミーティングでシミュレーションした今期決算着地点の再確認と、来期計画の策定に向けて、以下2項のTASKを軸に進めていくことになりました。
〈TASK1〉 前回の決算シミュレーションで目標設定した今期12・1月の売上(見込値)を、実績に基づいて確定し、2021年度決算の着地点をあらためて確認
〈TASK2〉 長田社長から提示された来期売上予算の数値をbixidに落とし込み、暫定的な着地点と来期計画の策定に向けた大枠を確認
会社の数字を完璧に把握し、商品や原材料、カテゴリーや得意先ごとの在庫・原価・売上などのデータも、Excelで緻密に管理する長田社長。そうした鋭い経営感覚と現場視点の詳細な管理データが、bixidのシミュレーションでも力を発揮し、今後のプロジェクト展開にも大きな弾みをつけました。
今回活用したbixidの機能
単年(月次)経営計画シミュレーション
※当画像はサンプルデータです。
企業経営のPDCAを支える「計画」をスピーディに作成する機能が「経営計画」です。
単年・月次で予算を作成する「単年月次計画」と、年次で予算を作成する「中期年次計画」を併用することによって、数値計画とそれに対する行動計画を作成できるこの会計ソフトは、複雑な経営計画を高精度に単純化するとともに、売上をベースに、固定費や変動費を昨対ベースで瞬時に作成できる点が魅力です。
また、売上:経費の比率が季節によって変動する場合も、季節指数で自動計算。慣れれば15分で作成できる6つの自動作成機能のほか、部門単位や店舗単位での作成も可能です。
売上実績を加味して、今期決算の着地点を再確認
昨年末(2021年12月初旬)に行われた前回のミーティングでは、今期11月までの実績値と12月・1月の目標計画をもとに、bixidのシミュレーションで2021年度の決算予測を実施しました。
アイ・パートナーズ 山田(以下ビサイダー)
前回のシミュレーションから1ヵ月以上が経過し、その間に12・1月の売上もほぼ確定しましたので、今回はそれらの実績値を加味して、今期決算の着地点をあらためて確認していきたいと思います
今回のミーティングにあたって長田社長が提示した12月の売上実績は、目標値より若干のプラスに。1月の売上についても、「最終的な数字はまだ出ていないが、ほぼ目標達成できる見込み(長田社長)」と、売上については計画通りの数値に落ち着きました。
一方、これらの売上実績を加味したシミュレーションでは、今期の税引前利益が長田社長の見込みを超える予想以上の結果に。これについて長田社長は「私の計算では、これより1000万円以上少ないと見込んでいましたので、この数字はちょっと誤差が大きいかな…」とコメント。
そこでビサイダーは、12・1月に特筆すべき経費がないことを確認したうえで、前回bixidに落とし込んだ諸経費や科目連動、減価償却や棚卸の状況などを、長田社長と一つずつ再チェック。細かい調整を加えた結果、その誤差はやや縮まったものの、まだ数字に若干のズレが残るため、この件については実際の決算数値が出てから照合・分析していくことになりました。
ビサイダー
いま数字のズレを詰めていっても、現時点では確定していない部分もありますので、今期の決算利益の答え合わせは、最終的に実際の決算数値が出た時点で見ていくことにしましょう。長田社長もある程度、安全策とった余裕のある数字で予算を見ておられますし、予算と実績を比較してモニタリングしていけば、より精度の高いデータや安心材料も得られると思います
来期計画に向けた売上予算の大枠をシミュレーション
続いてTASK2では、まず長田社長から来期(2022年度)の売上予算とともに、売上目標に向けた具体的な方策や、新たな取り組みなどが提示されました(下記参照)。
●来期の売上は今期の約1.1倍の着地を目指す
●長田社長がExcelで管理している商品別(約200品目)の原価・粗利管理表から、来期の粗利目標を算出。原価(原材料費・運賃など)の高騰を考慮して、粗利率の高い商品を重点品目として厚めに予算を組み、各得意先へ実績を加味して振り分けていく
●長田社長自身がトップセールスとして既存得意先の代表者とコンタクトをとり、さらなる取引拡大や顧客接点の強化を図る
●営業部署と管理表などの数字を共有して販売計画を立て、新規得意先の獲得や販売チャネルの拡大にも力を入れる
●前期から開発を進めてきた新商品を市場投入し、売上と販売シェアの拡大を目指す
これを受けてビサイダーは、来期売上予算の数値をbixidに落とし込み、長田社長が設定した粗利目標(利益率)をもとに、原価高騰を踏まえて変動費の比率などを調整。重点的な固定費なども前年(今期)のデータに調整を加え、大枠の着地点を暫定的に導きました。
その結果、経常利益については長田社長の想定値と若干のズレが生じましたが、現時点では細かい経費まで詰めていないため、売上予算の大枠としては問題ないとビサイダーは判断。この方向性で来期計画を進めながら、経費などの詳細については次回のミーティングで確認していくことになりました。
ビサイダー
社長が予算作成の参考にされているExcelの各資料(商品別の管理表など)を共有・確認させていただき、私どもで細かい部分に調整を加えていけば、経常利益も社長がイメージされている数字に近づくと思います。
また、共有させていただいた管理表をもとに、社長からご要望のあった商品別・カテゴリー別のKPI設定やグラフ化もできますので、それ以外にも重点的にチェック・モニタリングしたい項目があれば、ぜひご相談ください
長田社長・ビサイダーともに明るい方向性を見出す
そして、ミーティングの最後に今回のTASKを振り返って、長田社長とビサイダーの間でこのような会話が交わされました。
ビサイダー
今期決算のシミュレーションでは、長田社長の想定を上回り、利益を削る方向での調整となりましたが、この点についてはどう思われましたか
長田社長
想定以上の利益が出るに越したことはないので、メンタル的にも安心感が得られましたね。なによりも、こうして会社の数字を一緒に見ていただけるのは、頼もしい仲間がいるという心強さもあって、大変ありがたいと感じています
ビサイダー
こちらこそ、長田社長が管理されている貴重なExcel資料をご提供いただき、本当にありがとうございます。現場視点で作成された詳細な資料は、bixidの運用や今後のミーティングでも大いに活用できますし、会計データからのアプローチとはまた違ったご提案もできると確信しています
長田社長
私も山田先生に全幅の信頼と期待を寄せて資料をご提供していますし、税理士さんのプロの視点からフルに活用して、新たな提案やアドバイスを頂戴できればうれしいです。今後はキャッシュフローについても詳しく教えていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします
ビサイダー
早速のリクエスト、ありがとうございます。キャッシュフローの件、承知いたしました! 来期は社長ご自身でのトップセールスや、新商品の販売も予定されているとのことですので、そのあたりのアドバイスも含めて、全力で支援させていただきます!
こうして、明るい方向性を示す展開となった今回のミーティングでは、長田社長にとってはもちろん、ビサイダーにとっても大きな収穫があったようです。前回に増して弾みをつけ、今後の展開にも期待がかかる「bixider経営支援プロジェクト」。次回もどうぞお楽しみに!
今回のPOINT!
(ビサイダー 山田氏)
・今期の決算については、シミュレーションと実際の決算数値を照合して分析しましょう
・予算策定は商品別などでKPIを設定して、長田社長がモニタリングしやすい状況を目指しましょう
財務会計や税務会計では1円の誤差に関してシビアになりがちですが、将来を予測したり経営者の頭の中を整理するための“管理会計”では時には100万円単位で大局を把握することも重要となります。
今回は、旧年度と新年度の狭間でのミーティングとなりましたが、過去よりも未来を考える時間は長田社長にとっても有意義なものになったのではないでしょうか。
次回も生き生きとした長田社長とビサイダーのやり取りに注目したいです。
活用するbixidの機能
西日本食品工業株式会社
「食で命を育み、子どもたちの明るい笑顔を世界に広げる」を企業理念に掲げる、1950年創業の老舗食品メーカー。主力商品の春雨は、中国に古くから伝わる製法にこだわり、その伝統の技と手作りの味を守り続けている。
代表取締役:長田 和也
本社所在地:熊本県熊本市
創業:1950年
事業内容:春雨や粉物などの食品製造・輸入・販売