今期計画の重点項目とbixidの
活用ポイントをチェック
西日本食品工業株式会社 ✕ 税理士法人アイ・パートナーズ
20220629西日本食品工業
2022年2月中旬、西日本食品工業株式会社の長田社長と、税理士法人アイ・パートナーズの石渡氏・山田氏(以下ビサイダー)がチームを組む「bixider経営支援プロジェクト」の第3回定例ミーティングが、熊本~横浜の遠距離を結ぶオンラインで実施されました。
いよいよ新年度(2022年2月~2023年1月)に入り、今期の売上予算や販売計画などの策定に向けて、日々詰めの調整を進める長田社長。そこで今回のミーティングでは、以下2項のTASKを通して、今期計画における重点項目やbixidの活用ポイントなどを、さまざまな視点から掘り下げて見ていくことにしました。
〈TASK1〉長田社長から提供された約200品目の商品別管理表や試算表をもとに、今期計画における重点項目や、会計処理上の改善点などを確認・共有

〈TASK2〉TASK1で確認・共有した内容を、bixidのKPI設定や連動項目などに反映させる方向で進める

現場のデータもbixidに紐付けて、予算と実績をモニタリング

前回のミーティングでは、長田社長が提示した今期売上予算の大枠をbixidでシミュレーションし、来期計画の策定に向けた方向性を確認しました。
その後、ビサイダーは長田社長から提供されたExcelの商品別管理表(約200品目の売上・原価・粗利などの資料)をもとに、春雨や粉物などの主力商品を売上順にピックアップ。それらの管理データから、今期計画におけるbixidの運用や、KPI設定などに落とし込めるポイントを抽出していくことにしました。
まず、ビサイダーは商品別管理表の商品・項目について、不明点などを長田社長に質問しながら、以下の内容を確認しました。
【原価の中にある「ロス」の数字とは?】
春雨や粉物は製造工程で数グラムのロスが出る(粉が空中に舞うなど)ことを加味し、グラム単位でパッケージする際に、2~3グラムのロス分を上乗せしている
【昨年より商品の原価が上がっている主な要因は?】
輸送運賃・動力費などの値上がりもあるが、原材料費の高騰が主な要因となっている
【春雨商品のみに含まれている外注費とは?】
春雨は袋詰めが手作業となるため、出来高制で外注(工場で内職)している
20220629西日本食品工業
以上の点を確認したうえで、ビサイダーは今期計画で重点的に見ていきたいポイントを長田社長にヒアリング。その内容を加味しつつ、今期売上予算を策定するにあたって、以下の方向性で進めていくことを共有しました。
●bixid上で主要クライアント&主力商品のデータを紐付けて、予算と実績を毎月モニタリング
●会計データにはない「販売単価」や「販売数量」などの数値も、bixidのKPI設定で計画の進捗状況をモニタリング
●併せて、今期は原価の高騰を踏まえ、毎月の粗利額と粗利率も重点的にモニタリング
●月ごとの売上予算は、前年度に準じた季節変動値に合わせて作成。とくに、毎年売上が伸びるゴールデンウィーク前(4月)と年末(12月)は大きく見込む
●現状の月次試算表では、当月分の人件費・動力費などの経費を、翌月(実際に支払った時点)に計上する「現金主義」で会計処理されているが、今後は取引が成立した当月に計上する「発生主義」で会計処理し、月単位の損益を正確に把握する
アイ・パートナーズ 石渡
アイ・パートナーズ 石渡(以下ビサイダー)
長田社長は、商品別・カテゴリー別・クライアント別などの細かいデータや、日々の在庫などもExcelで緻密に管理されていますし、商品原価の中に“ロス”まで見込んでおられますので、そうした現場視点のデータもbixidに反映させることで、より精度の高い指標やアプローチを、幅広い視点から導くことができると思います

売上達成に向けた行動管理(KPI)を導入し、営業力を強化

続いてビサイダーは、営業活動で売上を達成するための「行動管理(KPI)」の設定を提案しました。
アイ・パートナーズ 石渡
ビサイダー
売上の結果は数字を見ればわかりますが、『どう行動したから達成できたのか』『どう行動しなかったから達成できなかったのか』『どう行動しても達成できるのか・できないのか』…など、数字と行動を的確にリンクさせて判断するためには、何を・どう紐付けてKPIを設定するかがカギとなってきます。
このKPIがうまく運用できれば、最終的に『どう行動すればいいのか』『行動をどう変えればいいのか』という次なるアクションが見えてきますし、人材を評価して還元するうえでも有効な指標となるはずです
この提案について長田社長は「まさにその点が課題だった」とコメントし、現在の営業体制や評価について以下の説明を加えました。
●4名の営業部員が、全国各地のクライアントをエリア別に担当(関東以北エリア1名、中部・岡山・関西エリア1名、九州・四国・中国エリア2名)
●営業各人が前年度の実績をもとに売上目標を設定。デイリー単位で進捗を社内システムに入力し、日々の数値を共有・管理
●営業各人の活動・行動を管理するKPI設定については、ほとんど手つかずの状態
●営業の評価については、重点商品の売上達成に応じて報奨金を支給しているが、基本的には固定給の制度を採用
西日本食品工業株式会社 長田社長
長田社長
当社では営業4名で億単位の売上を上げていますが、長年取引のあるクライアントがリピートしてくださるケースが多く、会社の歴史に支えられてきた部分が大きいと思っています。
ただ、これからの時代は老舗の看板に頼っていても、さらなる成長は見込めません。今期からは私自身も主要クライアントにトップセールスをしたり、営業各人も新規顧客の開拓に力を入れたりと、営業活動を強化していく予定です。
それに併せて、日々の行動計画の指標となるKPI設定を今期のテーマに掲げ、その成果を月単位で確認していきたいと考えていましたので、ぜひこの機会にご指導いただければうれしいです
これを受けてビサイダーは「今後も営業ミーティングや現場の情報などを共有させていただきながら、日々の行動が最終的な数字なり結果につながっていくプロセスを分析・検証し、最適解を導くKPIの設定・運用に向けて一緒に取り組んでいきましょう」と応えました。

今期から、社内環境を整備する「5S」の徹底も推進

さらに長田社長は、今期2月からの新たな取り組みとして、社内環境を整備する「5S」の徹底を推進していることを明かしました。
主に製造業務の基本活動とされる「5S」とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の頭文字をとった言葉で、具体的には次のような意味となります。
20220629西日本食品工業
西日本食品工業株式会社 長田社長
長田社長
5Sの活動は以前から進めていましたが、今期からその取り組みをルール化し、業務効率や安全性のさらなる向上と、社員が働きやすい職場環境を作っていきたいと考え、本格的に導入することにしました。会社の数字や経理とは、あまり関係ないことかもしれませんけれど…
アイ・パートナーズ 石渡
ビサイダー
いやいや、やはりこれは重要ですよ! こうした取り組みは、数字とは一見関係がないようで、じつは経営に関わるすべてと密接につながっている。今回お話ししたbixidのKPIや、人材の評価といった部分にも間違いなく連動してくるはずです。
同じように、長田社長からいただいた現場視点のデータや情報も、bixidに反映させることで新たなアプローチが見えてきますし、すべてが連動して結果につながっていくんだと、私自身も今回のTASKを通して実感させられました
西日本食品工業株式会社 長田社長
長田社長
そう聞くと、ちょっと期待がもてますね(笑)。私としても現場のデータを最大限に生かしていただき、大変うれしく思っています。次回のミーティングも楽しみにしていますので、引き続きどうぞよろしくお願いします!
今回は数字を確認するシミュレーションのTASKはありませんでしたが、さまざまな視点から今期計画を見通す、内容の濃いミーティングとなりました。また、ビサイダーのアドバイスとともに、bixidを活用した新たなアプローチの可能性を共有し、長田社長も今年度への大きな手応えをつかんだようです。
こうして、長田社長とビサイダーの絶妙なチームワークで順調に回を重ねる「bixider経営支援プロジェクト」。第4回目の来月はどのような展開となるのでしょうか── ぜひご注目ください!

今回のPOINT!

(ビサイダー 石渡氏)
・今期2月からは「発生主義」で会計処理し、月単位で売上と費用を正確に把握していきましょう
・今期は売上を達成するための行動管理(KPI設定)を進めていきましょう
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今回は数字よりもリアルな営業の現場を垣間見る回になりました。個人の生活に密着した「決して単価の高くない食料品」を扱う企業ならではの地道かつ愚直な営業スタイルと、これまで培ってきた信用をさらに進化させるため長田社長自らのトップセールスへの姿勢はリーダーとして見習うべきところがたくさんありました。数字の話だけでなく社長の考えをじっくり聞くことができたとても良いミーティングでした。
活用するbixidの機能
西日本食品工業株式会社
「食で命を育み、子どもたちの明るい笑顔を世界に広げる」を企業理念に掲げる、1950年創業の老舗食品メーカー。主力商品の春雨は、中国に古くから伝わる製法にこだわり、その伝統の技と手作りの味を守り続けている。
代表取締役:長田 和也
本社所在地:熊本県熊本市
創業:1950年
事業内容:春雨や粉物などの食品製造・輸入・販売