なぜ中小企業に経営計画が必要なのか?
こんにちは。YKプランニング管理本部長の丸山です。
中小企業では、経営計画(単年度、中期)を作成している会社はとても少ないです。
借入金(融資)の申込みや補助金等の申請以外で経営計画を作った経験がある会社は少ないという統計もあり、中小企業にとっての経営計画は「あれば良いけれど、なくても困らないもの」と思われているのが現状です。
ですが、会社の進むべき目標となる経営計画は、中小企業にとっても非常に重要だと私は考えています。今回はその要因をお話しいたします。
モチベーション維持のための経営計画
例えば誰かに「毎日、毎週、毎月、毎年コツコツと●●を継続してください!」と漠然と言われたら、人は努力をし続けられるでしょうか。私は目標がなければ継続できる自信がありません。数日などの短期だと継続できるかもしれませんが、期間が長くなれば長くなるほど難しいですよね。
ですが、目標さえあれば、あとどのくらい頑張れば良いのかを測れるため、なんとかモチベーションを維持して継続できるかもしれません。ということは、「目標」はモチベーション維持のために重要な要素であるという発想に至ります。
法人は組織ですから、集団を同じベクトルに向ける必要があります。ですが、集団に属している個人間では、モチベーション差が必ずあります。この差をできる限り埋めることで、集団を同じベクトルに向けることができます。そのためには「目標」となる経営計画が必要なのです。つまり経営計画は、集団が目標達成に向けてコツコツ継続していくためのモチベーション維持の道具になると私は考えています。
事業を継続するために必要なこと
会社が事業を継続していくためには、コツコツと事業利益を積み上げて資金残高を増やしていくことが必要です。これこそ理想であり、誰しも望んでいることですね。「わかっているけど理想通りに進まない」という声が聞こえてきそうです。そうですね、ほとんどの会社は理想通りに順調に進むことはないかもしれません。ただ、大事なことは、経営者であれば、理想は誰でも理解しているということであり、逆にいうと現実も理解しているということです。
現実というのは、資金残高がショートすれば会社は倒産するということです。これも誰でも分かっていることですね。そして、資金残高がショートしないためには、事業利益をコツコツと積み上げる必要があるということも分かっています。そうしないと、会社自体が事業を継続できません。会社は継続企業を前提としていますから、継続こそ理想へ近づくための源とも言えるものだと思うのです。
では会社が継続するために必要な要素って?となるわけですが、やはり目標設定が一番大事だと思います。つまり、会社の目標数値である経営計画に魂のこもった数値を落とし込むということで初めて、会社全体がモチベーション維持をしつつ、コツコツ継続するための準備が整うものだと私は考えています。「魂のこもった経営計画」が掲げられている会社とそうでない会社の違いは、結局のところ継続力の差だと思っています。
魂のこもった経営計画
中小企業の場合でいう「魂のこもった経営計画」とは経営者が自ら未来の目標を決めて、その目標達成のための課題を明確にし、思考錯誤しながら悩んだあげく、その結果を数値に落とし込んでいくことだと思います。
ここで重要なのは、課題が含まれていることと、思考錯誤しながら悩んだ結果が数値に反映されていなければならないということです。単に数値をならべたものならば、作成しただけで終わってしまいます。課題を解決するために議論を重ねて導いた数値ではないため、会社で一番モチベーションが高い経営者ですら、経営計画がモチベーション維持の道具になりづらくなってしまいます。
また、経営計画は当然結果がすべて思い通りにいかず、ギャップが生じることになります。ギャップが生じれば増減の要因分析をすることになり、数値を分析することで経営数値の理解がどんどん深まってきます。そして、理解するから課題に気づきやすくなり経営意識が変わっていくという良い循環になります。この改善プロセスの中で、具体的な新しいアクションプランが積みあがっていくことになるわけです。これは会社を継続するための重要な要素であり絶対に欠かせないものです。
ちなみに、経営計画を作成した会社のギャップとそうでない会社のギャップは大きく異なります。許容範囲のギャップなのか、手が付けられないギャップなのかと言い換えてもいいかもしれません。有事になった時にはじめて改善策を考えても手遅れの可能性があります。平時だからこそ素直にギャップを受け入れ、課題意識を持ち改善につなげる体制が必要なのです。
大事なことは「継続すること」です。
会社はこのような一連のプロセスを継続していかなければならないのです。
会社の継続する力は、言い換えると経営者自身の継続する力と同じです。
もし、経営者自身が会社の未来を見据えた全社的な目標設定をしていなければ、感覚で経営しているということになります。スポットで改善の取組みを行ったとしても、継続できるかは定かではありません。行き当たりばったり経営は、それほど中期的には会社を危うくする要因を秘めています。
ですから、目先だけのスパンではなく、最低でも1年後を見据えて意思決定を行っていくために『経営計画』が必要であると考えます。
継続なくして成功なんてありえません。
成功している会社は必ず継続するための道具を持っています。
あなたの会社は目標達成に向けてコツコツ継続していくための「道具」を持っていますか?
大学卒業後、金融機関のリテール営業からEY新日本有限責任監査法人での金融機関監査とIPO支援経験を積む。独立し税理士事務所を開業後、YKプランニング入社。現在は経営管理本部で予算管理とバックオフィス業務を統括。幅広い財務会計と金融の知識と経験を活かし、組織の成功に貢献するべく管理体制を強化中。
趣味はゴルフ・YouTubeで興味がない分野の動画をあえて見ること。