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なぜ「簡易キャッシュVS要返済額」思考が必要か?

2021年 4月 1日
会計・財務 ビジネス用語

こんにちは、YKプランニング 管理本部長の丸山です。
今回は「簡易キャッシュVS年間要返済額(借入金)」の重要性についてお話しします。

なぜここが重要なのかというと、「簡易キャッシュ>年間要返済額」の状態であれば、究極は会社の普通預金残高が減らないからです。ひとまず安心!ということですね。
「当たり前でしょ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実はこれを「当たり前でしょ!」とすぐに理解できるのは、会計専門家・コンサル・財務担当者・金融機関くらいで、中小企業経営者の皆様は知らない方も多いのではないのでしょうか?

「簡易キャッシュ」と「年間要返済額」って?

おもしろくない話になるのですが、前提としてこの知識を知らないと話が進みません。簡単に説明しますので、お付き合いください。

簡易キャッシュとは何なのか?どうやって計算するのか?について、まずお話しします。
これは、会社が本業で生み出した1年間のお金を指します。計算は「最終利益+減価償却費」で十分です。いろんな計算方法があるのですが、今回は他のものは考えなくて大丈夫です。なぜ「減価償却費」を足すのかというと、キャッシュが出ていかない費用だからです。 

次に年間要返済額です。これはとても簡単です。借入金一覧表を作成して1年間の借入金の返済額を集計した金額のことです。
※借入金一覧がない方は、bixid(ビサイド)をご活用ください。簡単に作成できて、しかも無料です。

借入金は約定通りに返済が必要となります。その要返済額に対して、会社が生み出す簡易キャッシュでカバーできるのか?ということを表現したのが「簡易キャッシュVS年間要返済額」ということになります。
できることならば、中小企業経営者の皆様にはぜひ理解して欲しいキーワードです。

現在私はYKプランニングの職員ですが、仮に私が会計事務所で勤務しているならば、顧問先(クライアント)に対して必ず説明しますし、理解してもらえるまで何度も念押しすると思います。これからその理由を誰でも分かるように、私なりにご説明します。


金融機関は会社の返済能力をチェックしている

重要だという理由の1つ目は、金融機関担当者は例外なくあなたの会社の返済能力を確認しているからです。特に「簡易キャッシュVS年間要返済額」は、融資先の返済能力をざっくり把握するには1分あれば十分です。あなたの会社にお金を貸せるかどうか、逆に言うときちんと返済できるかどうかを一発で把握できるわけですね。初めて接触する金融機関であれば、なおさら見られる部分でしょう。

仮に「簡易キャッシュ>年間要返済額」の状況を想定してみましょう!
金融機関担当者は、あなたの会社について返済能力は問題なさそうと思うでしょうし、追加で資金を融資したくなるかもしれませんね。
一方で、「簡易キャッシュ<年間要返済額」の状況であればどうでしょう。1年間で生み出す会社のキャッシュだけでは年間返済額をカバーできないため、預金残高をチェックします。そして、預金残高が少なければ融資は厳しそうだという判断になるわけです。

もちろん金融機関担当者も「簡易キャッシュVS年間要返済額」だけを確認しているわけではありません。他の要素もしっかり確認しますが、手っ取り早く資金返済能力を見極められる点で重要だと思います。

経営計画を策定する上での重要なポイントとなる

前述では金融機関という外部目線での重要性をお話ししました。次は、会社内部にとっても重要である理由についてお話しします。

将来の経営計画を策定する上では「粗利VS経費」は重要なポイントになります。
粗利と経費がガチンコで勝負して、粗利が経費に勝てば会社は黒字、粗利が経費に負ければ会社は赤字となります。これは将来の計画を立てる上で、最も重要な要素です。会社の経費はすべて粗利でカバーできるかにかかっていますから、経営者であれば「粗利VS経費」の概念は絶対に理解しておくべきです。

ですが、これはトーナメント戦で言えば、1回戦といえるでしょう。仮に「粗利VS経費」のバトルに勝利しても、1回戦突破になっただけです。2回戦目の相手が登場します。 

それが「簡易キャッシュVS年間要返済額」という勝負です。 

簡易キャッシュが年間要返済額に勝利しなければ、会社を継続していけるようなしっかりとした経営計画が仕上がったとはいえません。なぜなら、「簡易キャッシュ<年間要返済額」の状況は預金残高の減少をもたらすからです。もちろん初期投資を行って戦略的に負け戦に仕上げる経営計画を作成することもあるでしょうが、これは例外です。

よくわからないまま経営計画を作成して、少額だけど黒字が出ているからOK!と、1回戦に勝つだけで安心してはいけないのです。
重要なことは2回戦にも勝つことです。当然ですが金融機関担当者もこの2回戦の結果を観戦していますよ。

あなたの会社は2回戦目に勝利するために、しっかり対策を打てているでしょうか?1回戦目に勝ったからといって余裕ぶっこいていませんか?


現状分析は目標設定の起点となる

ここまで「簡易キャッシュVS年間要返済額」の勝負についてみてきました。
では、もしも「簡易キャッシュ<借入金年間要返済額」の状況になってしまった場合について考えてみましょう。

年間要返済額は固定のキャッシュアウトです。金融機関に返済額の減免や一定期間の返済額据置の依頼をして、認められた場合にのみ変動するケースがありますが、通常はどうすることもできません。年間要返済額という相手に対して「あなたは強いから対戦相手チェンジ!」というわけにはいかないということですね。 

では、どうすればいいのでしょうか?
その唯一の方法は、そうです、あなた自身が強くならなければいけません。
勝負に勝つためにはどうすればいいのか?分析することこそが重要だと私は思います。 

つまり「簡易キャッシュVS年間要返済額」という勝負をして敗北したとしても、現状を知ることができます。負ける理由は何なのか?筋肉を増やすように収益(売上)をアップさせるべきか?それとも贅肉を絞るように経費の削減をすべきか?
これが現状分析ですね。

 究極のところ、自分自身が強くならなければいけない、それだけなのです。
そのためにできることは、課題解決のための目標設定をして達成できるまで立ち向かうことです。 

もしあなたが2回戦「簡易キャッシュVS年間要返済額」というキーワードを始めて聞いたのであれば、さっそく会社の数値を確認してみましょう!
あなたの会社は2回戦まで勝利できていますか?それとも、どこかで敗北でしょうか?

丸山 桂
丸山 桂
株式会社YKプランニング 経営管理本部長 公認会計士

大学卒業後、金融機関のリテール営業からEY新日本有限責任監査法人での金融機関監査とIPO支援経験を積む。独立し税理士事務所を開業後、YKプランニング入社。現在は経営管理本部で予算管理とバックオフィス業務を統括。幅広い財務会計と金融の知識と経験を活かし、組織の成功に貢献するべく管理体制を強化中。
趣味はゴルフ・YouTubeで興味がない分野の動画をあえて見ること。