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ティール組織とは?その意味や事例

2021年 5月 3日
組織強化 トレンド

2018年頃より注目されている組織論に「ティール組織」というものがあります。みなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ティール組織とは、マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革プロジェクトに携わったフレデリック・ラルー氏が、独立後2年半にわたって世界中の組織を調査し、2014年に出版した「Reinventing Organizations」内で提唱したものです。彼はその書籍の中で組織の段階を5つに色分けしており、ティール組織はその最終段階にあたります。

ティール組織とは、ひと言で表せば「上司・部下といった関係がなく、指示系統もないため個々のメンバーが自分たちのルールや仕組みを理解して独自の工夫で進化を続ける組織」というものです。

ティール組織に至るまでの5段階の色とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

【第1段階 Red組織】個人の力で支配的にマネジメント

Red(レッド)組織のメタファーは、オオカミの群れです。特定個人の力で支配的にマネジメントされ、力に従属することでメンバーは安心を得ることができます。組織をどのように生存させるかという短期的思考の傾向があり、個人の力に依存するため、再現性がない組織にもなりかねません。

【第2段階 Amber組織】役割を厳格に全う

Amber(アンバー/琥珀)組織のメタファーは、軍隊です。厳格な階級に基づくヒエラルキー型のピラミッド構造をとり、トップダウンによる命令系統が明確で、メンバーは命令に忠実に従い業務を実行します。階級的ヒエラルキーに基づく役割分担によって、特定個人への依存を減少させ、多人数を統率することが可能になります。長期的な目線を持った組織に進化していますが、変化や競争よりもヒエラルキーが優先され、状況変化に柔軟に対応できない組織になる可能性があります。

【第3段階 Orange組織】ヒエラルキーは存在するが成果次第で昇進が可能

Orange(オレンジ)組織のメタファーは、機械です。Amber組織のような厳格な階級ではなく、ヒエラルキーを持ちつつも成果を挙げたメンバーが出世することができるので、メンバーが猛烈に働くようになります。長期的な目標達成に視点を置き、数値管理によるマネジメントが徹底されているので、変化と競争に生き残ることが必須となります。成果を挙げれば出世が約束され、とにかく機械のように働き続けることが求められます。

【第4段階 Green組織】主体性が発揮しやすく多様性が認められる

Green(グリーン)組織のメタファーは、家族です。社長や従業員といったヒエラルキーは残しつつ、メンバーの主体性を発揮しやすく、多様性が尊重されやすくなります。ただし、社長の権限がどのように組織内に分配されるのかといったルールがないため、合意形成に時間を要したり、合意が得られないと社長に委ねることとなったり、意思決定に時間がかかる場合もあります。1~3段階の組織よりも個々のメンバーが尊重され、風通しの良い組織運営ができます。

【第5段階 Teal組織】組織をひとつの生命体としてとらえる

Teal(ティール/青緑)組織のメタファーは、生命体です。組織内にヒエラルキーは存在せず、指揮命令系統もありません。組織が株主や社長のものではなくひとつの生命体であり、メンバーは生命体である「進化する組織の目的」を実現するために、独自ルールで個々が業務に取り組みます。メンバーの裁量が大きいことから新たなアイデアや施策が生まれたり、パラダイムシフトが起こるきっかけとなったり、さらなる組織の進化につながっていきます。

成功例

それでは実際に、ティール組織として成功している例を見てみましょう。

ザ・モーニング・スター・カンパニー(世界最大のトマト加工会社)では、全社員がマネージャーであり、部長や課長といった役職や昇進はありません。各自が自分のミッションを設定したのち、行動計画を作成して合意書に明記します。その合意書は全メンバーで共有して他の社員が内容や達成度を評価します。主体性を強化することによって、組織全体の生産性向上につながっています。


まとめ

このようにティール組織成功のカギは「各メンバーの自立」です。指示がないと動けないメンバーやチャレンジすることが苦手なメンバーがいると難しくなります。また、軌道修正をする立場の人がいないため、事業の成功も失敗もメンバーに委ねられることとなります。

経営の神様と言われた松下幸之助も「自主責任経営」の考えを重視していました。自らの力を最大限発揮し、各自の責任において仕事を遂行することが会社の発展につながると考えていたようです。

いきなりTeal組織を導入することは難しいかも知れませんが、まずはOrange組織やGreen組織をめざしてみてはいかがでしょうか。