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ティール組織とは?その意味や事例

2024年 6月20日
業務改善 人材育成 ビジネス用語

2018年頃より注目されている組織論に「ティール組織」というものがあります。みなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ティール組織とは、マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革プロジェクトに携わったフレデリック・ラルー氏が、独立後2年半にわたって世界中の組織を調査し、2014年に出版した「Reinventing Organizations」内で提唱したものです。この組織モデルは、伝統的な階層構造を超え、より自律的で柔軟な運営を目指しています。彼はその書籍の中で組織の段階を5つに色分けしており、ティール組織はその最終段階にあたります。
ティール組織とは、ひと言で表せば「上司・部下といった関係がなく、指示系統もないため個々のメンバーが自分たちのルールや仕組みを理解して独自の工夫で進化を続ける組織」というものです。


ティール組織に至るまでの5段階

・第1段階 Red組織
特定個人の力で支配的にマネジメントされ、力に従属することでメンバーは安心を得ることができます。組織をどのように生存させるかという短期的思考の傾向があり、個人の力に依存するため、再現性がない組織にもなりかねません。

・第2段階 Amber組織
厳格な階級に基づくヒエラルキー型のピラミッド構造をとり、トップダウンによる命令系統が明確で、メンバーは命令に忠実に従い業務を実行します。階級的ヒエラルキーに基づく役割分担によって、特定個人への依存を減少させ、多人数を統率することが可能になります。長期的な目線を持った組織に進化していますが、変化や競争よりもヒエラルキーが優先され、状況変化に柔軟に対応できない組織になる可能性があります。

・第3段階 Orange組織
Amber組織のような厳格な階級ではなく、ヒエラルキーを持ちつつも成果を挙げたメンバーが出世することができるので、メンバーが猛烈に働くようになります。長期的な目標達成に視点を置き、数値管理によるマネジメントが徹底されているので、変化と競争に生き残ることが必須となります。成果を挙げれば出世が約束され、とにかく機械のように働き続けることが求められます。

・第4段階 Green組織
社長や従業員といったヒエラルキーは残しつつ、メンバーの主体性を発揮しやすく、多様性が尊重されやすくなります。ただし、社長の権限がどのように組織内に分配されるのかといったルールがないため、合意形成に時間を要したり、合意が得られないと社長に委ねることとなったり、意思決定に時間がかかる場合もあります。1~3段階の組織よりも個々のメンバーが尊重され、風通しの良い組織運営ができます。

・第5段階 Teal組織
組織内にヒエラルキーは存在せず、指揮命令系統もありません。組織が株主や社長のものではなくひとつの生命体であり、メンバーは生命体である「進化する組織の目的」を実現するために、独自ルールで個々が業務に取り組みます。メンバーの裁量が大きいことから新たなアイデアや施策が生まれたり、パラダイムシフトが起こるきっかけとなったり、さらなる組織の進化につながっていきます。


ティール組織のメリットとデメリット

ティール組織を導入した場合、どのようなメリットが得られるでしょうか?
上司・部下といった関係がない、指示系統もないと聞くと、少し不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、ティール組織のメリットとデメリットをご紹介します。
・メリット
ティール組織においては個人の裁量が大きいため、現場での迅速な意思決定が可能です。自律性を重視されているため従業員のモチベーションのアップにもつながります。また、組織がフラットであるため意見が活発に交わされ、イノベーションが促進されるだけでなく、「進化する組織の目的」を実現するために、変化する市場や環境に対して柔軟に対応できます。

・デメリット
ティール組織の最大のデメリットは導入に時間がかかるということです。ティール組織に至るまでには5つの段階があり、伝統的な組織であればあるほどティール組織への移行には時間と労力がかかります。ティール組織の原則をメンバーが理解し、セルフマネジメントできるようになるには、少しずつ組織改革を進めていく必要があるでしょう。


ティール組織を取り入れる日本企業・海外企業の事例

それでは実際に、ティール組織として成功している例を見てみましょう。

伊那食品工業株式会社
長野県に本社を置く食品メーカーで、「いい会社をつくりましょう」を社是とし、家族のような組織を目指し経営をおこなっています。人事評価では成果主義ではなく、年功序列制を採用しています。同社のウェブサイトではこのことについて「お互いに、競争しあうのではなく、協力できる組織にする、だからこそ人間本来の姿、年少者が年長者を敬う自然の形が正しいと信じています」と記されています。

未来工業株式会社
岐阜県に本社を置く電設資材・管工機材メーカーで、「常に考える」を企業理念としています。同社は社員ひとりひとりの自主性を大切にしたユニークな経営をおこなっています。ウェブサイトでは社風や働き方を紹介する7つのエピソードが紹介されています。「制服なし」「全員、正社員」「ホウレンソウを強制しない」「残業原則ゼロ」「おそらく日本一、休日が多い上場企業」「5年に一度、全額会社負担で海外旅行」「業務改善などの提案を出すと1件500円もらえる」など、従業員の創造性と働きやすさを重視した制度を導入しています。

ザ・モーニング・スター・カンパニー
アメリカにある世界最大のトマト加工会社です。全社員がマネージャーであり、部長や課長といった役職や昇進はありません。各自が自分のミッションを設定したのち、行動計画を作成して合意書に明記します。その合意書は全メンバーで共有して他の社員が内容や達成度を評価します。主体性を強化することによって、組織全体の生産性向上につながっています。


中小企業でティール組織を導入するには

中小企業でティール組織を導入してみようと考えた場合、以下のことに取り組んでみてはいかがでしょうか。

1.コミュニケーションの改善
・定期的な全社員ミーティングなどを開催し、オープンな意見交換の場を設ける
・社内SNSやチャットツールを導入し、リアルタイムでの情報共有を促進する

2.セルフマネジメントの試行
・特定のプロジェクトでセルフマネジメントを試し、小規模なチームで自主的に業務を進める機会を提供する
・セルフマネジメントのトレーニングを実施し、従業員が自己管理スキルを身につけるサポートをする

3.柔軟な働き方の導入
・リモートワークやフレックスタイム制度を導入し、従業員が働く時間や場所を柔軟に選べるようにする
・メンタルヘルスやウェルビーイングを支援するプログラムを提供し、従業員の健康を守る

4.組織目的の共有と進化
・組織のビジョンやミッションを再定義し、全員が共感できる方向性を設定する
・定期的な戦略ミーティングを通じて、組織の目的や方向性を柔軟に見直す


まとめ

このようにティール組織成功のカギは「各メンバーの自立」です。指示がないと動けないメンバーやチャレンジすることが苦手なメンバーがいると難しくなります。また、軌道修正をする立場の人がいないため、事業の成功も失敗もメンバーに委ねられることとなります。

経営の神様と言われた松下幸之助も「自主責任経営」の考えを重視していました。自らの力を最大限発揮し、各自の責任において仕事を遂行することが会社の発展につながると考えていたようです。

いきなりTeal組織を導入することは難しいかも知れませんが、まずはOrange組織やGreen組織をめざしてみてはいかがでしょうか。

株式会社YKプランニング
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マーケティング部