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なぜ金融機関の自己査定を理解するべきなのか?

2021/5/6
資金繰り 経営分析

こんにちは。YKプランニング管理本部長で公認会計士の丸山です。

本日は、「自己査定を理解することの重要性」についてお話しします。
なぜこんな話をするかというと、金融機関がどのような目線で自社に融資しているかを知ることは、結果として自社の経営体質を改善することにつながるからです。

相手を知り己を知ることは非常に重要です。

後述しますが、自己査定を理解することは銀行融資対策としても一定の成果を上げることができるだけではなく、会社にとって大きなメリットがあります。


自己査定(じこさてい)とは?

会社の資金調達手段として真っ先にあがるのは、金融機関(銀行、信用金庫など)からの借入でしょう。会社の立場としては、金利や期限などにおいて、できるだけ良い条件で資金を調達したいものです。

では逆の立場の金融機関はどうでしょうか?
融資する立場の金融機関は、融資先が倒産して資金が回収できなくなると困りますよね。

会社の経営状況はうまく行っているか?
借入金の返済資金を確保できる能力があるか?
を定期的にチェックすることになるでしょう。これってお金を貸す側からすれば当たり前の行動ですよね。この定期的なチェックが「自己査定」だとイメージすれば理解いただきやすいかと思います。

これまで会社経営を行っていて「やばい!この売掛金が回収できないかも?」という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
実は金融機関が自己査定を行っているのは、上記の売掛金と同じようなケースを回避するためだと想像すればいいのです。「やばい!!!この貸付金が回収できないかも?」という状況を回避するという感じですね。

ただし決定的に違うことがあります。気づきましたか?
それは「やばい!!!」にはびっくりマークが3つあるということです。
金融機関の場合は、「この売掛金が、、、」というレベルではなくて、膨大な融資先にとんでもない金額の貸付金を融資しているがゆえに、金額の桁がすごいということですね。

簡単に言ってしまえば、金融機関の自己査定は、金融機関の債権(貸付金)の額がとんでもない金額なので、ざっくりではなく詳細に貸付先企業への債権(貸付金)の状況を把握し、結果としてどの程度の金額が回収できそうなのか、言い換えればどれくらいの金額が保全されているのかを把握していく作業だということです。
そして、最終的に金融機関が貸付先企業の債権の中から将来回収不能となりそうな金額を見積もって、「引当金(ひきあてきん)」の額を算出しようとしています。

会社経営をなさっていれば、聞いたことはあるはずです。「貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)」という言葉、そうですあれですよ、あれ。この引当金は将来に予想される費用の見積額を、あえて当期の費用にするという会計特有の処理です。

先述した通り、金融機関は膨大な債権額(貸付金)を保有していますから、貸倒引当金の額も半端じゃない、ということになります。
あなたの会社への貸付金も、会社の評価に応じて多かれ少なかれ引当金が積まれているということですね。

金融機関の格付と債務者区分とは?

さて金融機関が自己査定を行っていることは分かったとしても、そのプロセスが知りたいところです。

実は金融機関はあなたの会社を点数評価することから始めます。
それは決算情報による財務数値をもとにした点数もあれば、経営者の資質や事業展開や成長性など、数値に落とし込みにくい要因も考慮されます。学校の通知表が、定期テストの結果と授業態度・提出物などで作成されるようなものですね。

金融機関が各貸付先企業を総合的に鑑みて点数をつけ、順位付けすることを「格付」と呼びます。当然あなたの会社も必ず何かしらの「格付」が付与されていて、ちゃんとあなたの会社の通知表があるんですよ。

そして、格付だけで終わらない点がややこしいのですが、今度はこの格付の判定によって会社の「債務者区分」というクラス分けをします。

この「債務者区分」は①正常先、②要注意先(その他要注意先、要管理先)、③破綻懸念先、④実質破綻先、⑤破綻先という区分に分かれてきます。

日頃会話で登場しない言葉ばかりで理解しづらいかもしれませんが、「格付」と「債務者区分」は表裏一体の関係であって、「格付」という成績順位が決定すれば、自動的に「債務者区分」という学校のクラス分けがなされるようなものなんですね。成績優秀者のクラスもあれば、成績下位者のクラスがあることを想像すればよいでしょう。


銀行目線で客観視することはメリットがある

ここまでいろんな用語を説明してきたのは、当然知っておくメリットがあるからこそ話をしています。
それは、融資において優遇されるためにはどうすれば良いかわかるという点です。

格付によって融資の条件が異なります。融資額も違いますし、金利、返済期限という条件面に至るまで影響があります。つまり、優良な格付先の企業は条件面で優遇されますし、そうでない会社は金利も高く条件面で損をするということです。

例えば金利0.5%の格付先企業と金利2%の格付先企業では金利1.5%の差があります。その差を1億の融資で考えてみると、1年で150万円もの違いが出てきます。運転資金5年で借りたのであれば、複数年の金利負担の影響は大きいです。

もっと言うなら格付により、「破綻懸念先」という債務者区分以下のクラスに判定されれば、基本的にはお金を貸してくれません。

格付からの債務者区分判定という一連のプロセスを銀行目線で客観視することは、「どうすれば自社が優秀クラスに入れるか」においてのポイントを明確にすることができます。

すぐに優秀クラスへ入ることは難しいかもしれません。ですが、格付への意識を持ち、きちんと企業目標(経営計画)を設定して、その達成に向けた行動を繰り返せば、格付が上がる可能性は増していきます。格付が上がると優遇された条件で融資を受けることができ、金利負担も少なくなるでしょう。

さらに、企業目標(経営計画)の達成に向けた行動を繰り返すことは、経営体質の改善につながります。行動に取り組んだ結果、売上・利益・キャッシュが獲得できるようになることは、融資における優遇よりも遥かに大きなメリットになるのではないでしょうか。


まとめ

重要なことは金融機関の「格付」や「債務者区分」に対する考え方を知り、自社を客観視することです。そうすることで自社の状況把握につながり、さらには改善行動の動機や起点にもなります。

何か企業目標を設定するためには動機が必要です。
ぜひ「自己査定」「格付」「債務者区分」の理解をきっかけに、経営体質の改善に取り組んで欲しいと思っています。

相手を知り己を知ることは意義のあることです。