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クラウドファンディングのメリット・デメリットとは

2024年 9月19日
会計・財務 ビジネス用語

「クラウドファンディング」について、みなさんはどのくらいご存知でしょうか?

クラウドファンディングは、日本においても急速に成長している資金調達手法です。
矢野経済研究所の調査によると、国内のクラウドファンディングの市場規模は社会情勢などの影響により変動はあるものの2017年から2021年度で約1,500~1,800億円を超える範囲で推移しています。

また、2023年には国立科学博物館がおこなったクラウドファンディングで5万6000人余りからおよそ9億2000万円が集まったことが話題となりました。

今回は、そんなクラウドファンディングのメリットやデメリット、やり方についてお伝えしていきます。


クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、群衆という意味を持つクラウド(crowd)と資金調達という意味のファンディング(funding)から成り立つ造語です。一般的には、インターネットなどを介して、第三者に出資の協力を広く呼びかけるスタイルの資金調達方法を指します。

このクラウドファンディングにはいくつかの種類があり、資金提供者に対するリターンの種類によって大きく3つに分けられ、それぞれ「購入型」「寄付型」「投資型」などと呼ばれています。

その中でも中小企業の資金調達方法として注目しておきたいのは、「購入型」のクラウドファンディングです。

「購入型」のクラウドファンディングでは、商品やサービスなどを実際に購入してもらう形のリターンを設定することで資金調達を図ることができます。この方法では、そのサービスや商品自体の広報を兼ねることもできるため、新規サービスの立ち上げや新商品の開発時に利用する企業が多く見られます。


資金調達面から見るクラウドファンディングのメリット

それでは、「資金調達」という視点から、クラウドファンディングに取り組むメリットを見てみましょう。

まず、最も大きなメリットとして、従来どおりの方法では融資を受けることが難しかった案件でも、多くの支援者の共感を呼ぶことさえできれば事業をスタートできるという点があります。

これまで通りの資金調達手段である金融機関等を利用する場合、「前例がない」「成功が不確実である」などの理由で融資を断られてしまうこともあります。

しかし、クラウドファンディングでは、どれだけ前例がなくても、成功が不確実でも、支援者の興味を引き、共感を呼べるような魅力がある商品やサービスであれば、資金の調達が可能になります。新しいアイディアが消費者にどのくらい受け入れられるのかを図る指標としても活用できるでしょう。

また、リターンの設定を現金以外に設定できるというメリットもあります。
金融機関等からの融資は、もちろん現金で返済する事が前提となっています。一方クラウドファンディングでは、いただいた支援を現金でリターンするという案件はほとんど見当たらず、「サービスや商品そのもの」であったり、サイトなどに氏名を記載する「権利」であったり、お礼の気持を表す「手紙」であったりと様々な形でリターンすることができます。

サービスや商品自体を購入したいという支援者はもちろんですが、企業や新しい挑戦を応援したいという方からも支援を受けることができるため、実際に事業が軌道に乗ったあともファンとして応援してもらえる可能性が高くなるといった効果を見込むこともできます。


資金調達面から見るクラウドファンディングのデメリット

クラウドファンディングは中小企業にとって新たな資金調達手段として魅力的ですが、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。

まず、クラウドファンディングはプロジェクトが成功しない限り資金を得ることができないというリスクがあり、目標金額に達しなければ、すべての努力が無駄になる可能性があります。これは特に、中小企業が限られたリソースでプロジェクトを進める際に大きなプレッシャーとなります。

次に、成功した場合でも、リターンの履行が大きな負担となることがあります。支援者に提供する報酬や製品が予想以上にコストや時間を要することがあり、結果的に資金が不足するリスクもあります。特に、初めてクラウドファンディングを利用する企業にとって、リターンのコストを過小評価することが多いため、計画段階で慎重に見積もりをおこなう必要があります。

このように、クラウドファンディングには資金調達の魅力がある一方で、計画的なリスク管理が求められる点を意識して活用することが重要です。


気をつけておきたいポイント

これまでメリットやデメリットを解説してきましたが、クラウドファンディングでは事前に気をつけておきたいポイントもあります。

1つ目は、「すぐに資金が集まるとは限らない」という点です。
銀行など金融機関からの融資を受ける場合、審査さえ通ってしまえばだいたい1ヶ月ほどで資金が手元に入ります。しかしクラウドファンディングの場合、目標としている金額に到達しないこともあり得るため、必要となる資金の全額を調達しようとするのは大変リスクが高いものになります。

必要額の一部をクラウドファンディングで調達する、時間に余裕のあるプロジェクトのみ利用するなど、できる限りリスクを軽減できるように導入方法を検討する必要があるでしょう。

2つ目は、「アイディアの盗用やコピーに注意する」という点です。
クラウドファンディングの性質上、資金調達のために新しいサービスや商品のアイディアを広く一般に公開する必要があるため、少なからずそのアイディアが他社に盗まれてしまうという可能性もあります。

事前に特許の出願を検討する、実際に盗用を見つけたらクラウドファンディングの運営会社にすぐに相談するなど、こちらもリスク回避のためのシミュレーションをしておくと安心でしょう。


クラウドファンディングのやり方・すべきこと

中小企業がクラウドファンディングを実施するにあたり、まずすべきことは「明確なプロジェクトの目標設定」です。

自社がどのような目的で資金を必要としているのか、その資金でどのような価値を提供できるのかを明確にしましょう。このステップは、単に資金調達のためだけでなく、企業としてのビジョンやミッションを支援者に伝えるためにも重要です。

次に、ターゲットとする支援者層をしっかりと把握することが大切です。どのような人々がプロジェクトに興味を持ち、支援してくれる可能性が高いかをリサーチし、その層に向けたメッセージングを練り上げましょう。支援者との信頼関係を築くためには、彼らのニーズや期待に応える形でプロジェクトを構築することが求められます。

また、クラウドファンディングの成功には、事前の準備と計画が不可欠です。資金調達のゴールやリターンの内容、プロモーションの計画など、すべての要素を戦略的に組み立てることが必要です。

クラウドファンディングは単なる資金集めの手段ではなく、企業の成長や顧客との新しい接点を作るための新たな可能性発見の機会となり得ます。そのため、最初の一歩として、しっかりとした目標設定とターゲット分析をおこない、プロジェクト全体を見渡す計画を立てることが重要です。


まとめ

このように、資金調達においてメリットが大きいクラウドファンディングですが、従来の方法にはなかったリスクもはらんでいることがお分かりいただけたと思います。

実際に利用する場合は、事前に準備できる部分はしっかりとリスク対策をして、新しい資金調達手段としてのクラウドファンディングを最大限に活用できるようにしていきましょう。

株式会社YKプランニング
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マーケティング部