DX推進における中小企業の課題
DX推進が広く浸透してきた昨今、大企業に比べると人材も資金も不足している中小企業にとっては、「何をどうすればいいのか分からない」というところも多いのではないでしょうか。
今回はそんな中小企業にスポットを当て、DX推進の課題とその対策を見ていきます。
DXとは
まず、DXについておさらいしましょう。DX(デジタルトランスフォーメーション)を簡潔にまとめると、「ITを通じてビジネスモデルや組織を変革すること」を指します。
つまり、「ITの導入による仕事の効率改善」がその目的ではなく、「この競争社会を勝ち抜いていくためにデジタルを活用していくこと」が最終的な目的とされます。
昨今の急激な時代の変化に伴い、DXの流れに乗り遅れることは企業の存続そのものに関わる問題だとも言われています。
自社内の効率化だけでなく、現在の事業やお客様が得ている価値をデジタルの活用によってさらに広げていくことこそが、DX推進では重要となるのです。
DXをすすめる上での課題
このように、これからの時代で勝ち残っていくためには必須となるDXですが、中小企業で導入する際には次のような課題が考えられます。
1.人材の偏りと不足
まず、もっとも大きな課題と言えるのが人材面です。
DX導入を進めていく上ではIT人材の確保は欠かせません。しかし、経済産業省の予測データによると、IT人材自体がそもそも不足しているのが現状です。また自社内で育成するとしても、そのコストやスピードの面から即戦力とするにはハードルが高いと言えます。
さらに中小企業の場合、特定の業務が人に属している事が多く、システムによってはブラックボックス化していることもあります。そのため、業務内容の改善や共有の難しさ、退職等で担当者が不在になった場合のリスクも課題として捉えておく必要があるのです。
2.経営層と従業員の意識差
続いての課題は、経営層と従業員との間に見られる意識の差です。
日常的に世の中の変化にアンテナを張っている経営層とは違い、従業員の意識は日々の業務を進めることに集中していることがほとんどです。
そのため「新しいことの導入には時間を割けない」「日常業務を変えること自体に抵抗がある」という考えに至る事が多く、そのことがDX導入のハードルとなる場合があります。
3.予算の確保
最後に課題となるのが、予算面です。
DX導入を実際に行うとなると、初期費用だけでなく、既存システムからの移行などもコスト換算する必要があります。
また、導入後のランニングコストも計上する必要があるため、短期で回収できない額の予算を立てることが難しい中小企業にはたいへん大きなハードルになるといえます。
中小企業はどのように対策すればいいのか
それでは中小企業でDX導入を推進していく場合、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
1.身近な業務のIT化
まず手始めとして、従業員の身近な業務のIT化をおすすめします。
いきなり大規模なシステム改革を行ってしまうと、従来のやり方に慣れている従業員の抵抗が大きくなる可能性があります。
情報共有や管理、売上や受注の管理等、従業員にとって身近でなおかつ効果の見えやすいものからIT化を進めていくことにより、社内の抵抗感を少なくしつつ、先々のDX推進に対するハードルも下げていくことが期待できるのです。
2.アウトソーシングを活用する
次に、アウトソーシングをうまく活用することも検討しましょう。
社内のリソースだけを使って解決を目指すと、コスト面でもスキル面でも企業側の負担が大きくなることが予想されます。
「デザイン」「プログラミング」「インフラ整備」等、基本となる部分は専門家に協力してもらいつつ進めていくと、より効率的にDX導入を叶えることができるでしょう。
3.補助金、助成金を活用する
最後にコスト面の課題には、補助金や助成金の活用を視野にいれてみましょう。
「IT導入補助金2021」「中小企業デジタル化応援隊事業」のように、デジタル化を推進するための公的な支援が近年増えてきています。
自社の目的に合わせた適切な情報を集めることで、コスト面での負担を極力抑える形でのDX導入が可能となるのです。
まとめ
今回は、中小企業におけるDX導入の課題とその対策をお伝えしました。
コロナ禍によりますます重要視されるようになったDXですが、まずは自社内のリソースや課題をしっかりと把握することが必要です。溢れる情報に流されることなく準備を整え、新しい事業展開に向けて上手にDXを活用していきましょう。
