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「同一賃金」制度

2021年 6月17日
人材育成 ビジネス用語

2021年4月1日より「同一労働・同一賃金」制度が中小企業にも適用されています。報道などで盛んに取り上げられていたため、制度の導入については耳にしたことのある人も多いでしょう。

では、実際に中小企業ではどのように導入していけば良いのでしょうか?
今回は、「同一労働・同一賃金」制度を導入する際のポイントや注意点についてご説明します。

「同一労働・同一賃金」制度とは

「同一労働・同一賃金」とは、働き方改革の一環で改正されたパートタイム労働法の中で定められている制度です。すでに大企業では2020年4月から適用が始まっており、2021年4月からは中小企業にも適用されることとなりました。

この制度は、同一企業内の正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差をなくすことを目的としています。雇用形態や就業形態に左右されることなく納得できる待遇を受けられるようにすることで、労働者が働き方を柔軟に選択できるようにするための制度です。

同じ内容の仕事に対しては雇用形態に関わらず同じ水準の賃金を支払うという考え方が基本となるので、賃金に差を設ける合理的な理由がある場合には、企業は従業員に説明を求められた際にその理由を説明することが義務付けられています。

また、休憩室や食堂などの福利厚生施設の利用や、業績への貢献度に応じて支払うボーナスなども、仕事内容や業績への貢献度が同じであれば、同じ条件で提供・支給する必要があります。


制度の導入でどう変わる?

それでは、「同一労働・同一賃金」制度を導入すると、具体的にどのような点が変わるのかを見ていきましょう。

まず第一に、労働者の賃金格差が是正されます。
現在の日本企業の多くで使われている制度は、正社員が一般的な働き方だった時代に作られたもので、正社員に有利な内容となっています。非正規社員はあくまでも正社員を補助するような位置づけであると考えられており、正社員より低賃金で雇用する企業がほとんどです。

厚生労働省の調査では、日本の非正規社員には正社員の5~6割程度の賃金しか支払われていないことが明らかになっています。「同一労働・同一賃金」制度の導入により、このような格差が是正されることになるのです。

次に、これまで正社員にしか支払われてなかった、交通費やボーナスなどの手当も非正規社員にも同等に支払う必要があります。
賃金だけでなく福利厚生制度も、合理的な理由なく正社員しか利用できないものがあってはいけません。

休憩室や更衣室、食堂などの施設を利用する権限や、慶弔休暇や有給休暇、病気休職など休暇に関わる制度についても同様です。さらに、業務に当たる上で必要なスキルを身に付ける研修などの教育機会も、職務内容が同一であれば正社員と非正規社員に同じように与えなければならないのです。

中小企業が気をつけるポイント

それでは、中小企業が「同一労働・同一賃金」制度を導入する際にはどのようなことに気をつけていけば良いのでしょうか。

企業が「同一労働・同一賃金」制度を導入する上で最も問題となるのは、人件費などのコストが増加する可能性です。

まずは社内に制度の対象となる非正規社員がどれくらいいるのかを確認し、待遇面で正社員との不合理な差がないかを確認します。不合理な差が見付かった場合は是正しなければなりませんが、正社員と同等の賃金や手当を付与したり、福利厚生制度の対象社員を増やしたりすることは、単純にコストがかかります。

しかし正社員と非正規社員の差をなくすために正社員の待遇を下げたのでは、正社員のモチベーションが下がるなどのデメリットが生じるため、こちらも得策とは言えません。コストの増加は避けられない問題ですが、その分生産性を向上させるための取り組みも並行して行う必要があります。

また、待遇の差に合理的な理由がある場合、是正の必要はありませんが、先述の通り労働者から理由を問われた際には説明する義務が企業側に生じます。
労働者からの求めに応じてきちんと説明ができるよう、準備を整えておきましょう。


まとめ

以上、「同一労働・同一賃金」制度についてご説明いたしました。

日本の労働者における非正規社員の割合は年々増加しており、今後企業が成長していくには非正規社員の活躍は必要不可欠です。
今回の法改正をきっかけに労働環境や人事評価制度を見直し、全ての労働者が高いモチベーションを持って働くことができる企業を目指しましょう。