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【経営ウォッチ】ワークマン流の「しない経営」

2021年 7月19日
組織強化 トレンド

作業服・作業用品の専門店として日本最大手である、ワークマン。

主に建設作業や工場作業向けということもあり、ニッチなジャンルで売り上げを伸ばしてきたワークマンですが、近年はアウトドアウエアをメインに扱う「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」や、女性向けウエアの「#ワークマン女子」の大ヒットを経て、店舗数がユニクロを超えるなど飛躍的な成長を遂げています。
今回の【経営ウォッチ】では、そんなワークマン流の「しない経営」について学んでいきます。


ワークマン流「しない経営」とは

2020年10月、ワークマンの専務取締役である土屋哲雄氏が、『ワークマン式「しない経営」──4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社刊)という書籍を出版しました。

土屋氏は商社の第一線で30年以上活躍したのち、ワークマンに入社したという経歴の持ち主であり、ワークマンの急成長の立役者と言える人物です。商社では常に時代の流れを読むスピード感を求められ、それに応えてきた土屋氏ですが、一方でそんな彼が新しく入社したワークマンは創業以来ずっと「作業服」というニッチな分野を深く掘り下げてきた企業です。

この一見正反対の面を見せる土屋氏とワークマンが出会ったことが、ワークマンの飛躍的な成長をもたらしたわけですが、そこには土屋氏流の「しない経営」の存在がありました。

土屋氏がワークマンで実践しているのは、頑張らない、残業しない、ノルマを課さない、極力出社しない、社内行事をしない、接客をしない、という6つの「しない経営」です。

多くの企業で当たり前とされているのが「目標を定めて、それを達成するためのノルマを決定し、期限までに目標を達成する」という経営方法ですが、土屋氏はワークマンにおいてその当たり前をすべて「しない経営」として展開しました。

「しない経営」は、社員の側から見ると「不必要に干渉をされない」ということであり、結果として時間を有効に使うことができ、ストレスなく楽しく働くことができるのです。社員のストレスを取り除き、短期目標だけに囚われず時間を味方につけた経営を重視することで、ワークマンは10期連続最高益を果たしました。


マーケティングにも新たな視点を

土屋氏はワークマンに入社後、「WORKMAN Plus」という新業態を立ち上げました。それに伴い、今度はマーケティングにも新たな視点を取り入れます。それが、「アンバサダーマーケティング」です。

このマーケティング手法では、もともとワークマンとその商品への愛着を持っているアンバサダーにワークマンの素材を提供することで、アンバサダーの展開するコンテンツへのアクセスを増やします。

アンバサダーのコンテンツへのアクセスが増えればアンバサダー側の収入増に貢献できる一方で、結果としてワークマンやワークマンの商品が世間により多く露出するという、双方がWin-Winの関係を築いたのです。


データ経営で新業態へ

「しない経営」とアンバサダーマーケティングで「WORKMAN Plus」を世に羽ばたかせた土屋氏ですが、そこに至るまでには、社員全員に対する「データ経営」の教育がありました。
土屋氏のいう「データ経営」は、エクセルを使ったデータを単に利益計算するために使うのではなく、やり方を修正したり、チャレンジした結果がどのようなものであったかを数字で検証したりするために活用するというものです。ここで、ただ数字を追いかけるのではなく、そこに至る因果関係を理解することを土屋氏は重視しています。

なぜ売れなかったのか、その理由を考える時、現場に興味がない人間ではデータから「不人気だったから」という理由までしか読み取ることができません。なぜ不人気になってしまったのか?というその深い理由を理解できるのは、現場をきちんと把握している人間です。

そこでワークマンでは、分析チームのリーダーに「現場を知っている」スタッフを抜擢しました。そうすることでデータの分析力を上げ、業績を伸ばしてきたのです。


まとめ

「WORKMAN Plus」の成功を経て、「カコクな365(日常)をステキに変える」をコンセプトにした、レディース向けの「#ワークマン女子」をショッピングモールから展開し、2021年中には「#ワークマン女子」路面店を5店舗オープン予定とまさに飛ぶ鳥を落とす勢いのワークマン。

その伸びを支えたのは、たたき上げの商社マンが持ち込んだ、「しない経営」と「データ経営」でした。

「やらなければならないことを決める」ことこそが経営であると思いがちな現状で、「しないことを決める」という斬新な手法を取り入れたこと。得られたデータを使って自ら仮説を立て、分析・検証することを現場ありきで考える「データ経営」を取り入れたこと。この二つの手法を社員が受け入れたことが、ワークマンの飛躍につながっているというわけですね。