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安全性分析とは?主要な指標とやり方を解説

2024年 5月 9日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、財務分析の4つの柱「収益性」「安全性」「資金力」「効率性」の中から「安全性」について深掘りしていきます。


安全性分析とは?何がわかるのか?

財務分析における「安全性」とは、企業が財務的なリスクに対処し、継続的に運営をおこなう能力のことを指します。
具体的には、企業が短期的な債務弁済の要件を満たし、長期的な財務安定性を保持する能力を測定することに焦点を当てます。安全性の高い企業は、不測の事態や市場の変動に柔軟に対応できる強固な財務基盤を持っています。


なぜ安全性分析が重要なのか

安全性の分析は、企業が直面する財務リスクを理解し、それに対処するための準備に役立ちます。特に経済状況が不安定な時期や、企業が積極的な事業拡大を目指す場合には、安全性の高さが企業存続の鍵となります。

安全性を確保することは、企業の信用度向上、資金調達の容易さ、そして最終的には持続可能な成長へとつながります。


安全性を測る主要な3つの指標

ここでは安全性を測る指標として以下の3つについて解説していきます。

①流動比率
流動比率は、企業が直面する短期的な返済義務を満たす能力を示します。短期間内に支払う必要がある負債(買掛金や短期借入金など)に対して、企業がどれだけ迅速に資金を用意できるかを測定する指標です。

②自己資本比率
自己資本比率は、資金構成と財務の安定性を示します。この比率が高いほど、企業は自己資本によって運営されていて外部借入に依存していないこととなり、安全性が高いことを意味します。

③固定長期適合率
固定長期適合率は、企業が長期的な視点で資産と負債をどのように管理しているかを示します。この指標では、長期の調達源泉である自己資本と固定負債の合計額に対して、固定資産がどの程度の割合を占めているかを見ることができます。企業が長期的な財務計画を適切に管理しているかを評価します。


各指標の計算方法と数値の見方

企業の安全性を測るうえで重要な指標には具体的な目安があります。
これらの目安を理解することで、企業の財務状態がどの程度健全かをより深く把握することができます。

①流動比率 = (流動資産 ÷ 流動負債)× 100
一般的な目安として、流動性比率は150%~200%が健全とされています。これは、短期的な負債に対し、1.5~2倍の短期的な資産の所持を意味します。
一方で、流動比率が目安を下回っている場合、企業は短期的な資金繰りに課題があることがわかり、即時の改善措置が必要になります。

②自己資本比率 = (自己資本 ÷ 総資産) × 100
自己資本比率に関しては、業界や企業の規模によって異なりますが、一般的には30%以上が望ましいとされています。これは、総資産の30%以上を自己資本で賄える企業は、財務的に安定しており、自己資金による運営ができていると考えられるためです。
一方で、自己資本比率が低い場合は、外部依存度が高く財務的なリスクが増大している可能性があるため、自己資本の増強を目指すべきです。また、この数値がマイナスの場合を債務超過といいます。

③固定長期適合率 = {固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) }× 100
固定長期適合率の健全な目安は100%以下です。これは、固定資産が長期の調達源泉である自己資本と固定負債によって完全に賄われている状態を指し、企業が長期的な財務計画を適切に管理していることを示します。
固定長期適合率が100%を超えている場合は、固定資産の購入が短期借入金で賄われている可能性があり、長期的な財務計画の見直しが求められます。


企業における安全性分析の活用例

安全性分析の結果から得られた洞察は、企業の経営戦略の策定に直接活用できます。

以下では、特に流動比率、自己資本比率、固定長期適合率の指標を基に、具体的な経営戦略を展開する方法について解説します。
①流動比率に基づく戦略
流動比率が業界平均や目安値に達していない場合、短期的な負債の管理と資金繰りの改善に焦点を当てる必要があります。具体的な戦略としては、売掛金の回収期間を短縮する、在庫管理を改善して余剰在庫を減らす、または短期的な借入れの見直しなどが考えられます。これにより、企業は短期的な財務リスクを低減し、流動性の改善を図ることができます。

②自己資本比率に基づく戦略
自己資本比率が低いことは、企業が外部借入に依存していることを示しています。これを改善するためには、内部留保の増強や新たな株式発行を通じて自己資本を増やすことが考えられます。また、非効率な資産の売却や事業構造の再構築をおこない、資産効率の向上を図ることも有効です。これにより長期的な財務安定性を確保し、取引先や金融機関などの利害関係者からの信頼を高めることができます。

③固定長期適合率に基づく戦略
固定長期適合率が100%以上である場合、固定資産に対する長期的な資金調達の見直しが必要です。固定資産の棚卸しを実施し、不要な資産の売却や投資に見合う金額の早期回収を実行しましょう。また、短期借入金と長期借入金のバランスを見直すことも重要です。長期的な視点で資金調達と資産運用のバランスを取ることで、企業は持続可能な成長基盤を築くことができます。

安全性分析の結果を基にしたこれらの戦略は、市場での競争力を維持し、長期的な成功に向けて前進するための基盤となります。経営戦略を策定する際には、これらの指標を定期的に監視し、変化する市場環境や企業の成長段階に応じて柔軟に戦略を調整することが重要です。


まとめ

安全性の高い企業は、財務的なリスクに対して強く、経済の不確実性に柔軟に対応できる強みを持っています。

安全性を高めることは、企業の持続可能な成長と長期的な安定性を確保するために不可欠です。安全性分析を定期的におこない、その結果に基づいて経営戦略を調整することで、より強固な財務基盤を築きましょう。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。