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財務分析‐安全性編‐目指せアスリートボディ

2021年 7月22日
経営管理 会計・財務 bixid活用

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。

前回のブログでは会社の財務分析として「顔」の表情を見るための「収益性」について解説していきましたが、今回は4回シリーズの第2回目、上半身の健康診断について解説していきます。
上半身が理想的な形になるスポーツとして、例えば水泳やボクシングなどがあります。
無駄な贅肉がなくとてもきれいな逆三角形の肩と胸、きれいに割れた腹筋に、絞り込まれた腰回りなど、“THEアスリート”といったボディが印象的です。
これは強い精神力と日々のトレーニングがあってのもので、一朝一夕にはいかないものであることは皆が知るところです。

ところで、会社の財務分析でもこれと同じように「THE・アスリート」のようなボディを持っている会社が存在しているのをご存じでしょうか?

それを見る指標として3つの財務分析指標をご紹介します。

「THE・アスリート」のようなボディになっているのか?
はたまた贅肉たっぷりのボヨンボヨンボディなのか?
実はやせ細ってて今にも倒れそうなガリガリ君なのか?
など、このブログを読んでご自身の会社の上半身の健康診断を行ってみましょう。


会社の“上半身”である安全性とは?

どんな会社でも“上半身”はがっちりしているに越したことはありません。

この上半身の健康状態を見るデータは貸借対照表に記載されています。
まずは以下のように貸借対照表を人間の上半身に見立てるとこのようなイメージになります。

肩・胸の具合を見る「流動比率」

まずは、上半身の上部に当たる肩や胸の状態を見るための分析指標「流動比率」です。

これは、左側の流動資産と右側の流動負債とのバランスを見るものですが、言葉のニュアンス的に“資産”と“負債”どっちが多い方が良さそうか、直感的に捉えてみてください。

そうです左側の資産が多い方が良さそうな感じがしますよね。この「流動比率」とは右側の流動負債を100%とした場合、左側の流動資産が何%あるか?を表したものです。

100%より多い場合は「資産が負債よりも多いので安全性が高い」ということになりますし、逆に100%より少ない場合は「資産が負債よりも少ないので安全性が低い」ということになります。
流動負債とは、「遠くない未来に支払いをしなければいけないもの」を意味しており、その支払いを賄うための現金や預金などは流動資産に記載されています。

安心できる理想の割合は200%です。つまり、流動負債の2倍以上の流動資産を持つ会社がアスリートのような肩や胸をしているといったイメージになります。

たまに1000%を超える流動比率をもつ会社がありますが、ここまでくると水泳やボクシングのアスリートを超えて、ハリウッド俳優のドウェイン・ジョンソンやジェイソン・ステイサム(一昔前でいえば、シルヴェスター・スターローンやアーノルド・シュワルツェネッガー)の上半身を彷彿とさせるような数値のイメージになります。


体幹を見る「自己資本比率」

ここ10年で、海外で活躍するプロの野球選手やサッカー選手が飛躍的に増えてきている理由の一つに、ブレない体幹を作り上げていることが挙げられています。

欧米人より一回り小さい日本人選手が、当たり負けやパワー負けしない武器として体幹を鍛えることはとても重要ですが、会社の財務分析にもこの体幹の強さを示す「自己資本比率」という指標があります。
左側の総資産(流動資産+固定資産)を100%とした場合に、純資産(自己資本)が何%くらいあるのかを示したものです。自己資本とはその名の通り「自分自身の資本」という意味で、会計的には「資本金」とか「剰余金」といわれています。いわゆる“元手”ですね。

さらに自己資本の反対語に他人資本という表現があります。これは、「他人資本=借金=負債」と理解すると分かり易いと思います。

自己資本比率の目安数値は「30%以上」です。30%を超えていると体幹がしっかりしているといったイメージです。逆に10%以下だと当たり負けして転んでしまいそうな感じです。

しかもこの「自己資本比率」で怖いのはマイナス%が存在するということです。図で示すと次のようになります。
赤字を出し続けて自分の元手を食いつぶしてしまうと、このような状態になってしまい、体幹がないどころか、背骨自体がスカスカの状態で、ちょこっと背中を押しただけで腰から崩れ落ちてしまいそうな状態を表しています。

この状態のことを「債務超過状態」といい、すぐに外科手術をしなければいけない状況だと理解してください。

会社経営も理想の体幹を作り上げるために、目標を決め地道にトレーニングを行いましょう。


腰回りを見る「固定長期適合率」

3つ目は上半身と下半身を繋ぐ腰回りをイメージする指標として「固定長期適合率」を見ていきましょう。
右側の「固定負債」と「純資産」は安定した「他人&自己資本」という意味合いになります。それをベースに、建物や機械装置、車や備品などのいわゆる長期にわたって使用する「固定資産」をどのように調達しているかのバランスを見るための経営指標です。

財務分析界隈では多少マニアックな指標ですが、安定性をイメージするにはぴったりの経営指標です。

この指標の目安は100%以下ですが、業種によって多少異なります。

多くの機械装置や車両・重機などを必要とする建設業や、工場などの大掛かりな設備が必要な製造業は100%を超える場合が多いので、この指標は同業他社(ライバル会社)の数値と比べることをお勧めします。

マイホームを購入する際の自己資金と住宅ローン(他人資本)で考えてみましょう。
例えば自己資金1,000万円と住宅ローン3,000万円を合わせると4,000万円(=100%)になります。「固定長期適合率」が100%を超えているということは、4,000万円(=100%)の安定した元手で5,000万円のマイホームを購入したのと同じ状態であるということです。普通はそういう購入ってしませんよね。

自社の「固定長期適合率」は果たしてどうなっているか気になりませんか?気になる方は今すぐ電卓と貸借対照表を用意しましょう。


まとめ

全4回シリーズの第2回目「安全性」は体の上半身をイメージして解説してまいりました。

「THE・アスリート」を目指すにはハードルが高いかもしれませんが、できる限り健康で美しい体でいたいですよね。
体も会社も、健康は常日頃からの意識とチェックが重要です。

財務分析‐資金力編‐お金は会社の血液