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今話題の「脱ハンコ」、その必要性を探る

2021年 7月30日
起業 トレンド

日本では古来から現代にいたるまで、「大切な書類にはハンコを押す」という行為を大切にしてきました。

日本には、1873年に制定された「印鑑登録制度」があります。これは、中国の官印制度を見習って制定されたもので、公に登録した印鑑を本人確認のために使用できる制度です。

また、「商法中署名に関すべき場合に関する法律」(現在は廃止)には、「商法中署名すべき場合に於いては記名捺印をもって署名に代えることができる」という規定もあり、信用取引の場面では、ハンコは本人確認のために重要な役割を果たしてきました。この名残から、現代の企業内でも承認の意思を示す意味で書類に上司のハンコが必要な場面が多く存在します。

しかし他国では、一部を除いて日本と同じような印鑑文化がある国はなく、直筆の署名(サイン)がその代わりになっていることがほとんどです。

このように日本独自ともいえるハンコ文化ですが、近年「脱ハンコ」を進める動きが強まってきています。

なぜ「脱ハンコ」が掲げられているのでしょうか?今回は、ハンコ文化に存在する課題や、脱ハンコによるメリットなどを考察していきます。

ハンコ文化の課題

近年になって脱ハンコが掲げられたということはすなわち、現代社会においてはハンコ文化に問題点があるということです。ハンコ文化の抱える課題としては以下のような点が挙げられます。

▼生産性を低下させている
押印自体には「承認の意思を残す」という意味合いしかないにも関わらず、1回の押印には押印前の根回し、押印のための書類回覧やその待ち時間、押印後の書類管理など、押印ありきの業務が多く発生します。このことで、本来の業務の生産性を低下させているという現状があります。

▼ペーパーレス化を妨げている
ハンコ文化は紙媒体の書類ありきの文化です。紙媒体の書類が多くなれば、ただ管理しておくだけでもスペースを取りますし、印刷などのコストもかかってしまいます。

▼リモートワーク導入の障害になっている
コロナ禍でリモートワーク導入を図ったものの、今一つ進まない。その一つの原因として書類への押印のために出社が必要であるというハンコ文化の弊害が考えられます。実際、2020年2月にアドビ株式会社が行ったインターネット調査によれば、6割以上の人が「ハンコの押印や紙書類へのサイン・確認などのために、リモートワーク中に出社した経験がある」と回答しています。

このように、ハンコ文化はいくつか重要な課題を抱えていることが明らかになっています。


脱ハンコによるメリットとは

それでは、「脱ハンコ」によるメリットにはどのようなものが挙げられるでしょうか。これについては、前項で挙げたハンコ文化の課題点がそのまま改善されると考えてよいでしょう。

つまり、脱ハンコを実現すると、
1.押印に伴う一連の作業がなくなることで生産性が向上する
2.書類のペーパーレス化を加速させ、印刷・輸送・保管のコストを減らすことができる
3.押印のための出社が不要になり、リモートワーク導入が更に進む
というメリットが生まれるのです。


脱ハンコに向けた行政の動き

脱ハンコには多くのメリットがあると気づいていただけたでしょうか。しかし、まだまだハンコ文化が根付いている現状で、先陣を切っていくのは難しいと尻込みしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

そこで気になるのが行政の動きです。行政が脱ハンコに向けて舵を切ったとなれば、あとに続こうという流れもできやすくなりますよね。実はここにきて、ハンコ文化が根強く残っている行政内でも脱ハンコに向けた機運が高まってきています。

これまで脱ハンコへの取り組みは行政よりもIT系の大手企業が先行していましたが、2020年9月16日に発足した菅政権では、脱ハンコやペーパーレス化の推進についての議論が盛んに行われるようになりました。

2020年9月24日には、河野太郎行政改革担当大臣から全省庁に対して、原則的に行政手続きにハンコを使用しないよう要請が出されました。その後10月には民間企業でも脱ハンコへ取り組みやすくする目的で、「電子帳簿保存法」の改正も始まっています。この法律は、事前に国に申請して認められた電子化ツールを導入する場合には、キャッシュレス決済の利用明細データを領収書として認めるというものです。

これにより請求書も電子データで決済が可能になり、データを請求書の原本として保存することが法律的に認められるようになりました。

さらに2021年4月6日には、衆院でデジタル社会形成関係整備法案が可決されました。一連の動きからもわかるように、政府は今後押印が必要な手続きのうち99%超を廃止する方針でいるのです。


まとめ

今回は、日本独自のハンコ文化の課題点や、脱ハンコのメリット、脱ハンコに関する行政の動きを見てきました。

IT化が進み、働き方改革が行政主体で進められてきたことと併せて、コロナ禍でリモートワークがぐっと身近なものになっています。ペーパーレス化・リモートワークの推進双方に欠かせないのが、脱ハンコなのです。

行政側もこの1年足らずで脱ハンコに向けての動きを加速しています。官民一体となって脱ハンコへの取り組みを続けることが求められています。