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「給与デジタル払い」メリット・デメリットとは

2021年 9月20日
会計・財務 トレンド

キャッシュレス化促進の一環として、「給与デジタル払い」の制度化が検討されていることをご存知でしょうか?厚生労働省は2021年度中に給与デジタル払いの制度化を目指しており、現在は実現に向けて様々な議論が行われています。

今回は、給与デジタル払いのメリットやデメリットについて解説いたします。

「給与デジタル払い」とは

給与デジタル払いとは、給与を従来のような現金や銀行振込ではなく、電子マネーや資金移動業者と呼ばれるスマートフォン決済サービスなどの残高として支払うものです。

日本は諸外国に比べて、デジタル化が遅れているとされています。そこで政府は、2021年9月に新たな省庁としてデジタル庁を創設し、マイナンバーカードやキャッシュレス決済などの普及に今後さらに力を入れていく方針を打ち出しました。

その一環とも言えるのが、給与デジタル払いの制度化です。この制度には、企業から労働者への給与支払いの際、銀行などの金融機関を介さずに最初からデジタルマネーとして支払うことで、キャッシュレス決済の利用を促進する狙いがあります。


若い世代ほど賛成?デジタル払いのメリット

では、給与デジタル払いが実現するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

まず、給与を銀行へ振込む際にかかる手数料の削減がメリットとして挙げられます。現在主流である銀行振込では、銀行へ支払う手数料が発生します。この手数料は企業側が負担すると労働基準法で定められているため、すべて企業側のコストとなります。

1件あたりの手数料は数百円程度でも、給与支払いの度に従業員の人数分支出されるため、企業にとっては決して小さいとは言えないコストです。この手数料を削減することは、給与支払いに銀行振込を利用する限り、困難といえるでしょう。

しかし給与デジタル払いが可能になれば、この手数料を削減することができます。手数料を気にする必要がなくなると、日払いや週払いなどの短期間ごとの支払い、少額での支払いにも対応しやすくなります。これにより、従業員のニーズに合わせた柔軟な支払いができるようになれば、従業員の満足度の向上や人材の確保などにも繋がると考えられます。

続いて、銀行口座を開設することのできない外国人へ給与を支払う手段としても期待されています。外国人が日本で銀行口座を開設するには、様々な制限があります。在留期間によっては口座を開設できなかったり、開設できる銀行口座の数に制限があったりする場合もあるのが現状です。給与が銀行振込で支払われる場合、企業によっては振込先として特定の銀行を指定する場合がありますが、外国人にとってはとても高いハードルとなる可能性があります。

そこで役立つのが給与デジタル払いです。デジタル払いであれば、普段から利用している電子マネーや決済サービスを支払い先に指定できるため、新たに口座を開設する必要がありません。給与デジタル払いの実現は、外国人の雇用の創出にも繋がるのです。

ここまでに見てきた企業側のメリットに加え、従業員側にもメリットがあります。例えば個人のキャッシュフローに合わせて短期間ごとや少額ずつの給与受取りが可能になったり、銀行口座から普段利用している決済サービスへ残高を移行する手間が省けたりするなどのメリットが考えられるでしょう。

しかし、日本トレンドリサーチが男女1,000人を対象に行った調査では、給与デジタル払いに賛成だという人は全体の22.1%にとどまりました。これを年代別に見ると、30代以下の若い世代では34.3%が賛成している一方で、60代以上で賛成しているのは17.3%に留まっており、若い世代ほどデジタル払い制度を受け入れていることが分かります。

賛成する理由としては「現金をデジタルマネー化する手間が省ける」「現金に触れたくない」などが挙がっていますが、「スマートフォン決済サービスを利用していない」「公共料金の支払いなどで現金も必要である」などの理由で反対する声も目立ちます。

企業側にとっては様々なメリットのあるデジタル払いですが、従業員側から見ると人によってはメリットを感じられない場合もあります。導入の際には経営側だけでなく従業員にとってもメリットがあるかどうかを検討する必要がありそうです。

コスト面は?デジタル払いのデメリット

多くのメリットがある給与デジタル払いですが、一方で様々な問題も存在します。続いては、デジタル払い制度のデメリットについて見ていきましょう。

制度化するにあたって最も懸念されているのが、デジタルマネーの安全性です。ハッキングや情報流出の被害に遭ってしまった時の補償や、資金移動業者が経営破綻した際の対応については、現在議論が進められている最中です。

また、銀行などの金融機関が破綻した場合には、預金保険制度の適用により預金者の元本は保護され、預金者への払い戻しもスムーズに行われる仕組みが整っています。それに比べると、資金移動業者が破綻した場合の補償制度は不十分であり、給与という生活の基盤となる資金を担保するには多くの課題があるのです。

また、デジタル払いを行うためのシステム導入にかかるコストも、企業にとっては大きなデメリットであると言えます。前述の通り、デジタル払いには銀行振込の手数料を削減できるというメリットがありますが、システムを導入する際に削減できる額を上回るコストがかかってしまえば、本末転倒です。削減できるコストと導入にかかるコストのバランスを見極めることが重要であると言えます。


まとめ

以上、給与デジタル払いについてご説明いたしました。

給与デジタル払いには、実現に向けて様々な議論が行われている状況です。制度が整うまでの間に、自社で導入するべきなのか、導入するのであればどのように進めていくべきかなどを検討しておきましょう。