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「資金繰り」と「キャッシュフロー」の違いとは?

2021年 9月23日
会計・財務 ビジネス用語

世の中には同じような意味を持つ言葉が複数存在しています。

当たり前のように使っているものでも、意味を調べると実は微妙に意味合いが違っていたり、シーンやニュアンスによって使い分けないといけなかったりします。

とりわけ財務・会計に関する用語にはこの類のものが多いです。

今回は、その違いをいまさら人に聞くこともできなければ、誰かに指摘されることもない「同じような言葉なのに本当の意味はよく知らない用語」についてランキング形式で触れてみたいと思います。


第3位!「資産」と「財産」

どちらも自分の持ち物、というニュアンスで「資産を持っています」とか「財産がいくらあります」などの表現を使います。どちらも経済的に価値のあるものという意味では同じです。現金や株券、土地や建物のように「モノ」として存在するものはイメージしやすいですが、口約束での売掛金や未収金、形として存在しない特許権や営業権などの無形の「権利」も含まれます。

ところが、会計学に一歩足を踏み入れると「財産」という表現がぱったり消え、上記で述べた「モノ」や「権利」は全て「資産」と表現されるようになります。

会計学上ではすべての取引を「資産」「負債」「純資産(資本)」「収益」「費用」の5の要素に分類して考えます。その会計学上で、現金や預貯金だけではなく、有形のモノや無形の権利をひっくるめて「資産」と定義されています。

つまり、一般的に使う用語としては「資産」も「財産」も意味は同じですが、会計学上においては「財産」という表現はほとんど使わず、「資産」という表現を使っているということですね。

例えば決算書を見ながら話す会話としては、「うちの会社の財産は1億円です」というよりは「うちの会社の資産は1億円です」のほうが、会計のことをちゃんとわかっている社長だ、という見られ方になります。

・会社の財産=一般人がいう表現
・会社の資産=会計学を理解して発言している表現
といった感じでしょうか。


第2位!「経費」「費用」「原価」「損金」

4つとも基本的にはほぼ同じ意味をあらわす言葉ですが、それぞれに微妙に意味合いが異なったり、シーンによっては使い方を間違えると「この人、実はわかってないな」と、思われてしまう言葉です。

まず最初の「経費」ですが、これは一般的な用語として「支払うもの・支払ったもの」という意味の言葉で、この4つの言葉の中では一番広いニュアンスをもっています。
「経費が〇〇円かかった」という感じで、「お金がかかる」ことを「経費がかかる」と言ったり、「必要経費」とか「無駄な経費」などといった感じで、お金を支払うということの代名詞として「経費」という言葉を使うことが一般的です。

2つ目の「費用」は、「経費」と同じような代名詞的に使うこともありますが、これは前述の「資産」と同じで、会計学上の5要素に分類されている言葉になります。
例えば会社の経営会議の中で
「今月は100万円の経費がかかりました」と報告するのではなく
「今月は100万円の費用が発生しました」と報告をすると、
会計を勉強した人だなという見られ方になります。

3つ目の「原価」は、「費用」に含まれる言葉で、端的に言うと「仕入」に該当するものをさす言葉です。語源の「もとね=元値=元価=げんか」の意味と同じで、何の元かというと「売上額」です。
例えば600円で仕入れた商品を1,000円で販売したときの、この600円のことを「原価」とか「仕入原価」といいます。販売数を増やすために行う施策にかかった費用のことを総称して「販売原価」と呼んだり、メーカーが製品製造ために製造過程で発生した費用を集めて「製造原価」と呼んだりしています。これらに共通して言えることは「売上と対になっている費用」であり、いわゆる「もとね=もともとの値段」をさすときに「原価」ということばを使うと理解しましょう。

最後の「損金」は会計学上ではなく、税法上(法人税法)で使う用語です。経営上は“費用”のつもりで支払ったものでも、税法上は“損金”にならないものがあります。
例えば、
「この飲食代って、会社の経費で落とせますか?」だと一般人的な質問になりますが
税法を勉強した人だと「この飲食代は、損金経理できません」とった返事になります。


第1位!!「資金繰り」と「キャッシュフロー」

「資金繰り」も「キャッシュフロー」もお金に関することで、お金の動きを表す言葉であることは何となく理解できますが、明確に違いを理解して使い分けている方が意外と少ない言葉です。

結論から言いますと
「資金繰り」=未来のこと
「キャッシュフロー」=過去のこと
として扱われているのが一般的です。

私がこれまでに会話をしてきた中で、この「過去」と「未来」を混同してそれぞれの言葉を使っている方がかなりの数おられました。例えば、「昨年の資金繰りを教えてください」とか「3か月先までのキャッシュフローを作成してください」など。

実際にはどちらも通じるし、気にしなければ聞き流せるものですが、正確には「昨年のキャッシュフロー計算書を見せてください」と「3か月先までの資金繰り表を作成してください」が正しい使い方になります。

さらに、「資金繰り」と「資金繰り表」、「キャッシュフロー」と「キャッシュフロー計算書」も、前者は「現象・状態」で後者は「物・名詞」のようなニュアンスがある中で「資金繰りを出してください」とか「キャッシュフローを見せてください」など意味は伝わらないこともないのですが、何となくわかっているようでわかっていないような会話をしているケースがしばしばあります。

「資金繰りの実績」や「将来のキャッシュフロー」など、よくよく考えると矛盾している言葉なのですが、言われなければ気にならないし、最終的には意味が通じればよいとは思います。

だたし、この「資金繰り」と「キャッシュフロー」は会社経営にとって、とても重要なことですので、しっかり違いを理解して意識して使い分けができるようになることをお勧めします。


まとめ

今回は、「同じような言葉なのに本当の意味はよく知らない用語」をランキング形式で解説していきましたが、次回はこの第1位の「資金繰り」と「キャッシュフロー」について、それぞれのポイントを深堀して解説していきたいと思います。どうぞお楽しみに!

丸山 桂
丸山 桂
株式会社YKプランニング 経営管理本部長 公認会計士

大学卒業後、金融機関のリテール営業からEY新日本有限責任監査法人での金融機関監査とIPO支援経験を積む。独立し税理士事務所を開業後、YKプランニング入社。現在は経営管理本部で予算管理とバックオフィス業務を統括。幅広い財務会計と金融の知識と経験を活かし、組織の成功に貢献するべく管理体制を強化中。
趣味はゴルフ・YouTubeで興味がない分野の動画をあえて見ること。