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事業戦略のためのVRIO分析とは

2021年10月 1日
経営管理

自社の課題や特徴を把握するためのフレームワークのひとつに、「VRIO分析」があります。この分析は内部環境を客観的に評価することができるため、経営戦略を練る際には欠かせないものといえます。

今回は、VRIO分析の概要と合わせて、このフレームワークによる分析例をご紹介します。


VRIO分析とは

VRIO分析は、1991年にジェイ・B・バーニーによって、提唱されました。このフレームワークは企業の「経営資源」に着目し、4つの視点から評価を行うという手法を取ります。

ここで使用する4つの視点は以下のとおりです。

①Value:経済的価値
②Rarity:希少性
③Imitability:模倣困難性
④Organization:組織

VRIO分析はこの4つの視点の頭文字から命名されており、それぞれについてYes/Noで回答する方式が取られます。より詳細に状況を把握したい場合には、5段階評価を回答方法に採用する場合もあります。

VRIO分析の考え方

VRIO分析に使用する4つの経営資源は、それぞれ業界内の競争における優位性を示します。例えば希少性の高いもの、模倣可能性の低いものはブルーオーシャンで勝負をかける事が可能ですし、組織力があれば企業として安定した経営を行うことができるでしょう。つまり、VRIO分析を通して自社の内部状況を的確に把握することで、今後の戦略に繋げられるのです。

では、VRIO分析を具体的に見ていきましょう。VRIO分析では、各項目について一つずつ順に確認していきます。

◇経済的価値(Value)
はじめに確認するのは、「経済的価値」です。これは金銭面のリソースだけではなく、マンパワーや不動産、備品なども全て含めて考えることが重要です。すべてのリソースを洗い出した上で、ピンチのときに対応可能なのか、チャンスが来たときに向かい打てるのかという観点で判断します。

◇希少性(Rarity)
次に確認するのは「希少性」です。業界における自社の事業や商品、サービスの希少性は高いのかどうかを考察します。この点は競合他社との共通点が少ないことが重要となります。

◇模倣可能性(Imitability)
続いて確認する項目は、「模倣可能性」です。自社の事業等がたとえ業界内で希少性を持っていたとしても、模倣しやすいものであった場合、その希少性はすぐに消失してしまう可能性があります。対象のビジネスモデルをあとから他社が模倣しようとした際、どのくらいコストや時間がかかるのか、この観点で判断するのが「模倣可能性」です。

◇組織(Organization)
最後に確認するのが「組織」です。ここまでの3項目がクリアできていたとしても、作業が属人化しているなど組織として上手く運営できていない場合は安定した経営には結びつきません。長期間にわたり安定した経営を行うためには、組織の力が欠かせないのです。

VRIO分析は、以上のような順で分析を行いながら、どの項目でストップがかかるのかを見極めていきます。ストップがかかった項目をさらに丁寧に分析していくことが、その後の経営戦略における改善ポイントの洗い出しに繋がるのです。

事例紹介

最後に、ユニクロを運営するファーストリテイリングをサンプルとして、VRIO分析を使ってみましょう。

ユニクロにおける4つの項目は、以下のように設定できます。

◇経済的価値
ユニクロの売りは「低価格で質が高い衣類」です。また、生産から販売までをすべて自社で行う「SPA方式」を採用しているファーストリテイリングでは生産数の調整も自社判断のみで行えることから、リスクマネジメントの面でも評価が高くなります。

◇希少性
この観点でも登場するのが「SPA方式」です。競合他社では生産や物流においてパートナー企業とのやり取りが必須となりますが、その点を自社で全てまかなえるという点が希少性に繋がります。

◇模倣可能性
ユニクロで採用されている「SPA方式」は未だに他のアパレルブランドには真似されていません。金銭的にも人員的にもコストのかかるこのビジネスモデルを模倣するのは、大変ハードルの高いものだと言えるでしょう。

◇組織
ファーストリテイリングは、その組織力でも評価の高い企業です。デザイン部門から販売部門までの連携がしっかりと取れており、またそれぞれに的確な教育を施している点がこの組織力を支えているのです。

このように安定した経営を行っている企業は、「V・R・I・O」それぞれの項目がバランス良く整っています。VRIO分析の練習も兼ねて、有名企業に当てはめて考えてみるとより深い理解を得ることができるでしょう。


まとめ

以上、VRIO分析についてご紹介しました。

自社の環境を正しく把握し、整えていくことは安定した会社経営の肝となります。闇雲にブルーオーシャンを探すのではなく、まずは自社の資源の把握から始めてみましょう。