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【経営ウォッチ】新たな価値を提供する「寺田倉庫」

2021年10月18日
業務改善 営業/マーケティング

「倉庫」と聞いて一般にイメージされるのはいわゆる物置のようなものではないでしょうか。近年では倉庫風の商品陳列を行う雑貨店などもあるため、そちらをイメージする方もいらっしゃるかもしれません。
そんなただの物置的イメージを覆すような倉庫を創造し続けているのが、「寺田倉庫」です。今回の経営ウォッチでは、長い歴史を持ちながら厭わずに変化を続けてきた寺田倉庫のビジネス像に迫ります。


「保管すること」を軸にした事業展開

1950年に創業した寺田倉庫は、倉庫会社として70年の歴史を誇ります。これまでは美術品やワインをはじめとする保管事業で業界を牽引してきました。

同社の転換点とも言えるのが、2012年にスタートした「minikura(ミニクラ)」。
ミニクラは、月々わずか250円から箱単位で荷物を預けられるクラウドストレージサービスです。長い社歴の中で同社が培ってきた保管技術とITを掛け合わせることで、「持ち物のクラウド化」を初めて実現させました。

ミニクラではアイテム自体を最適な環境で預かるという「保管すること」を軸としつつ、預けられた箱を開けて中のアイテムを撮影し、そのアイテム情報にPCやスマートフォンなどからアクセスできるようにしています。

導入当時、トランクルームの貸主は部屋を貸すものという考えが一般的でした。そのため、部屋の中に何が保管されているのかを貸主が把握することはありませんでしたし、利用者の側も預けている物の管理がずさんになることが多く見受けられました。

そのような状況下で生み出されたミニクラのウェブ上で倉庫に預けている品物を管理するというサービスは、画期的な内容でした。

変化を厭わない姿勢

ミニクラを皮切りに、寺田倉庫は革新的なオンラインサービスを次々に生み出していきます。1作品単位で美術品を預けられる美術品の個品管理サービス、ワインを1本単位で預けられるワイン専門ストレージ、建築模型の保管サービスなど、他社とは一線を画す事業を立ち上げ続けてきました。

イノベーティブな事業を生み出した寺田倉庫ですが、その背景には同社に根付く姿勢がありました。

次々と生まれるアイディアを形にし続ける中では、新たな人間を社内に入れることも厭わなかったという寺田倉庫。その変化を厭わない姿勢が如実に表れているのが、同社に息づく「朝令暮改を恥じるな」というメッセージです。そこには「社会やライフスタイルは時代によって変わりゆくものだから先入観は捨て、柔軟にやりたいことをやるべき」という意味が込められているといいます。

日々変化することを厭わない会社の姿勢が、社員のチャレンジやイノベーションに繋がっているのです。


文化創出からビジネスを生み出す

寺田倉庫は今、同社の拠点でもある天王洲の街をベースにさまざまなイベントを開催し、文化の創造にも取り組んでいます。

これまでのようにイベントを開催するためのスペースを提供するだけでなく、自らもそのスペースを利用するコンテンツを手掛けるようになった同社の新しい事業の一つが「文化創造事業」です。寺田倉庫が提供するスペースで、寺田倉庫が手掛けたイベントやフェス、マルシェなどが多数開催されています。

例えば、現在開催中(2021年12月5日まで)の「バンクシーって誰?展」は、天王洲の寺田倉庫G1ビルが会場になっています。さらに、会場提供だけで終わらず、周辺に点在するカフェやホテルなど同社の別施設でも関連企画を行い、特別メニューなどを提供しています。展覧会を訪れたファンに、展覧会だけでなく天王洲の街全体をアピールすることができるイベントになっているのです。

従業員だけでなく、顧客や地域の人々と協力し合いながら作り上げるイベントは天王洲に新たな人を呼び込み、新たな文化を創造し始めています。


まとめ

単なる保管業務に留まらず、同社の拠点でもある天王洲の都市開発やイベントの開催、ITを活用したサービスなどイノベーティブな事業を次々に発信している寺田倉庫。

物流事業で培ってきた「保管すること」を軸に、新事業を展開し続けるスピード感の背景には、変化することを厭わない同社の姿勢があったのです。