経産省の地方企業デジタル化を支援する仕組み
経産省は2021年7月、「高度デジタル人材」と「地域中小企業」とをマッチングさせる「ふるさとCo-LEADプログラム」の実施を発表しました。このプログラムは、地域におけるデジタル技術の活用を活性化することを主な目的としているといいます。
今回は、このプログラムの内容とその背景について紹介していきます。
「ふるさとCo-LEADプログラム」とは
「ふるさとCo-LEADプログラム」は、出会いと関係の場の創出やビジネスモデル案の提案などを通じて、大都市圏以外にある中小企業のデジタル化を支援する仕組みを作り上げていくプログラムです。
経産省では2020年度に高度デジタル人材チームを地方に派遣し、フィールドワークを通じて地方企業とのマッチングをし、地域課題の解決に向けたプロトタイプの構築などの取り組みを実施しました。
今回のプログラムはこの実績を活かしたもので、今年度は地域中小企業と高度デジタル人材の「出会いの場」創出を中心に、地域中小企業のデジタル化を支援する仕組みを構築していく計画を立てています。
「ふるさとCo-LEADプログラム」始動の背景
このプログラムが始動した背景には、現代日本における「高度デジタル人材の偏り」があります。
コロナウイルスの拡大により企業のデジタル化が急がれる一方、デジタル化に対応できる人材は東京や大阪、愛知など大都市圏に集中しているのが現状です。地方企業、特に中小企業は高度デジタル人材と接する機会がほとんどなく、たとえデジタル化を考えていても「相談相手がいない、見えない」という悩みがあります。
一方、高度デジタル人材の中には、近年の働き方改革の影響を受け「副業・兼業」といった新しい働き方を求める人も増えてきています。
今回のプロジェクトは、それぞれのニーズを満たし、地方のDX化を推進していくことが期待されているのです。
「ふるさとCo-LEADプログラム」で何ができるのか
では、このプログラムでは具体的にどのようなことができるのでしょうか。プログラム自体の具体的な取り組みは、次の3つです。
①出会いと関係構築の場を創出する
全国105地域にある「地方版IoT推進ラボ」から3地域を選出し、「ミートアップイベント」を開催します。この取り組みでは、地域側は「地域の魅力」「地域産業の課題」「フィールドワークツアーの提案」、デジタル人材側は「自身のスキルなどのPR」をそれぞれプレゼンします。お互いの情報を事前にしっかり共有することでミスマッチが減り、その後の意見交換がより活発になることが期待できるのです。
②地域中小企業の「新たなビジネスモデル案」を作成する
地域中小企業が、マッチングした高度デジタル人材にサポートを受けながら、デジタル技術を活かしたビジネスモデルを作成します。
③高度デジタル人材の実績等を見える化する
地方版IoT推進ラボをはじめとした地域のコミュニティ主導で「高度デジタル化人材につながる仕組みづくり」を提案していきます。
今年度のプログラムでは、①と②に関わる地域は限定されていますが、並行して進められる③はどの地域の企業にもメリットのある取り組みとなります。まずは選出された3地域のモデル事業を参考にしながら、今後自社はどのようにデジタル人材とつながっていくのかを検討してみるといいでしょう。
まとめ
今回は経産省のすすめる「ふるさとCo-LEADプログラム」についてお伝えしました。
デジタル化人材の不足は、以前から叫ばれている課題でもあります。国が主導となった支援も増えてきていますので、より良い人材との縁を活かせるよう、まずは情報収集からはじめてみてください。