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電子取引による電子データ保存が義務化

2021年11月18日
会計・財務 トレンド

こんにちは。税理士の藤井です。

今回は、令和4年1月から義務化される電子取引による電子データ保存について解説します。

個人事業者や法人の場合、取引で発生した一定の書類を紙により保存することが税務上義務付けられています。商売をされている人は、よくご存知でしょう。

では、この保存が義務付けられている書類にはどのようなものがあるのでしょうか。国税庁のホームページでは、個人事業者の「記帳や帳簿等保存・青色申告」について下記の通り記載されています。

――――――――――――――
1年間に生じた所得を正しく計算して申告するためには、日々の取引の状況を記帳し、帳簿や書類を一定期間保存する必要があります。

<青色申告の場合>
青色申告者は、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳を行わなければなりませんが、簡易帳簿で記帳してもよいことになっています。標準的な簡易帳簿の種類は次のとおりです。
1 現金出納帳
2 売掛帳
3 買掛帳
4 経費帳
5 固定資産台帳

※前々年分所得が300万円以下の方は、5年
――――――――――――――

上記にある通り、税務上保存すべき書類には、見積書や送り状など幅広いものがあります。

なお、「その他の書類」の保存期間5年、法人の場合は7年となります。また、法人の場合は、欠損金が発生した場合、翌期以降10年間の損益通算が可能となるので、帳簿書類も最大10年間の保存義務があります。

保存の方法ですが、現在税務上では、紙での保存が義務付けられています。例えば、インターネットで物品を購入しクレジットカード決済した場合、そのウェブ上から請求書や領収書などを印刷し、紙で保存しなければなりません。

ところが、令和4年1月からは、電子取引により発生した電子データは、紙に出力して保存するのではなく、電子データでの保存が義務付けられました。いちいち紙で出力する手間が省けるため、とても便利になりました。

しかし、一方で電子データの保存が義務付けられていますから、税務上の要件に従った電子データを保存しなければなりません。令和4年1月からは、電子取引による電子データについて、紙で出力して保存するのだから電子データの保存をしない、というわけにはいきません。さらにデータ保存方法についての要件もありますので、それに従った保存が必要です。


電子データ保存を具体的に説明

ではここから、具体的な説明に入ります。

まず初めに、電子取引、電子データとはなんでしょうか。
電子取引とは、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。

電子データとは、取引情報で、メールに請求書等が添付された場合のその添付データ(PDFファイルなど)、ウェブサイト上で取引した場合に表示される領収書等を指します。

次に、データ保存の要件ですが、これは下記4つの要件があります。

1.電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備え付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限る)
2.見読可能装置の備え付け等
3.検索機能の確保
4.次のいずれかの措置を行う
一,タイムスタンプが付された後の授受
二, 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す ※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。
三, データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
四, 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け

特に、「3.検索機能の確保」は、運用面で重要です。取引年月日、取引先、金額での検索機能を確保しなければなりません。


こんな場合はどうすれば?

これまでの説明だけでは、なかなか具体的な保存方法がイメージできないと思います。令和4年1月からどのように電子データを保存したらよいのでしょうか。

最後に、具体的なイメージが持てるよう、国税庁が提供している「電子帳簿保存法Q&A」から、下記の一問一答を抜粋したのでご参考ください。

<問12>
妻と2人で事業を営んでいる個人事業主です。取引の相手方から電子メールにPDFの請求書が添付されて送付されてきました。一般的なパソコンを使用しており、プリンタも持っていますが、特別な請求書等保存ソフトは使用していません。どのように保存しておけばよいですか。

【回答】
例えば、以下のような方法で保存すれば要件を満たしていることとなります。

1 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示する。
例)2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書 ⇒「20221031_㈱国税商事_110,000」

2 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。

3 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を作成し備え付ける。

※ 税務調査の際に、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には、上記のデータについて提出してください。
※ 判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が 1,000 万円以下であり、上記のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、上記1の設定は不要です。

【解説】
令和3年度の税制改正により電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、電磁的記録を出力した書面等を保存する措置は廃止され、その電磁的記録(データ)を保存しなければならないこととされました。請求書データ等の保存にあたっては、一定の要件に従った保存が必要ですが、上記の方法により保存することで要件を満たすこととなると考えられます。


まとめ

いかがでしたか。少しは電子データの保存方法に関する具体的なイメージが持てたでしょうか。

令和4年1月からは、電子取引を行った場合にその取引データを紙で出力し保存しても、青色申告の要件である書類の保存を満たさないことになります。電子データそのものの保存が義務付けられました。

個人事業者にせよ、法人にせよ、限られた人だけで日常の取引を管理されている場合は、比較的運用が円滑に進められると思います。

逆に、組織が大きく、従業員の多くの方が日常の取引を行う場合は、組織としての保存方法を決め運用しなければなりませんので、しっかりとした準備が必要でしょう。

いずれにせよ、時代の流れに沿った改正だと思いますので、効率的な保存方法・運用をしていくことが大切です。