法人営業における「KPIの設定」
こんにちは。YKプランニング営業本部長の宗近です。
営業マンであれば、売上目標や営業ノルマを持っていることは大半だと思いますが、その目標やノルマを達成するために測るべき指標が設定されていることが重要になります。
その測るべき指標を定量的に設定し、達成度を示すことがKPI(Key Performance Indicator)です。日本語では「重要業績評価指標」と翻訳されます。
KPIは企業経営や製造現場などさまざまな場面で活用されています。
今回はB to Bの法人営業に関するKPIについての注意点や設定方法、PDCAについて言及していきます。KPIについて詳しく知りたい方は、「KPIマネジメント」の資料をダウンロードしてみてください。
【KPIを設定する上での注意点】
■設定すべきKPIは会社や組織によって異なる
KPIは会社や組織によって異なります。
例えば、同じ会社であっても販売する商材や単価、営業のリードタイムによってKPIは自ずと異なってきますので、安易に他社や自社の他部門で先行してKPIに取り組んでいる事例をそのまま活用していくことはおすすめできません。
営業セクションといっても、企業はそれぞれユニークな組織構造を持っているものなので、自社の営業プロセスを見つめ直し、自社に合ったKPIを柔軟に設定していくことが求められます。
■数値化できるプロセスをKPIとする
営業マンの「やる気」や提案する資料の良し悪しなど、さまざまなことが起因して目標へ到達することになります。設定されるKPIは数値化できることがその後のPDCAのためにも必要不可欠となります。
■コントロールできる指標を設定する
当然のことと言えますが、実際に営業活動を行う営業マンがコントロールできないような指標をKPIに設定しても効果はありません。
■KPIの設定項目数は絞る
営業活動において、数値化できるプロセスは多岐に渡りますが、あまりにも目標とすべき項目が多いと、営業マンは混乱します。
【KPIの設定方法】
■KGIの設定
適切なKPIを設定するために、まずは目指すべき「目標の設定」が必要になります。
KPIはあくまでも最終目標を達成するための中間的な指標となります。
KGI(Key Goal Indicator)とは最終的に達成したい目標のことで、「重要目標達成指標」と翻訳されます。KGIを設定する上で最も重要となるのが、設定されることで目標が明確になることです。
目標が明確になり、現状と目標とのギャップを把握できることで、そのギャップを埋めるために組織が一丸となって前進することができるようになります。
KGIを設定する上では、売上高や営業利益、成約数などわかりやすい数字にすることをおすすめします。また、目標は現実から乖離しない数値に設定することが重要です。
■営業プロセスの分析
KPIを設定するためには、自社の営業プロセスを見直し、数値化可能なものを洗い出します。具体的には、アプローチ件数、アポイントの件数、資料請求やWEBからのお問合せ件数、訪問した件数、商談化した件数、成約件数、成約率、顧客単価、受注までの期間、解約件数、解約率、クレーム数など、多岐に渡ります。
■設定すべきKPIの選定
KPIの設定には「SMART」と呼ばれる以下の5点に留意して項目を選定してください。
代表的な設定例を以下に掲示します。
例えば、KGIが売上高1,000万円としてKPIを設定してみます。
アプローチ件数:1,000社
アポイント件数:30社
成約件数:10社
顧客単価:100万円
上記では、1,000万円の売上高を達成するために、必要な最小限のプロセスをKPIとして設定しています。
【PDCAが重要】
一度設定したKPIは一定期間ごとに「振り返りの場」が必要となります。
特にKPI設定の初期には、前例がなく、仮説でKPIを設定していることも多いため、設定項目だけでなく、その数値の妥当性についても検証していく必要があります。
改めて、上で記載した設定例をみていきます。
(例)KGIが売上高1,000万円の場合のKPI設定。
アプローチ件数:1,000社
アポイント件数:30社(アポイント獲得率3%)
成約件数:10社(成約率33%)
顧客単価:100万円
例えば、1年の結果が以下となった場合を振り返っていきます。
売上高:1,200万円(目標達成率120%)
アプローチ件数:1,500社
→想定よりもアプローチができた!新規で採用したアポイント獲得メンバーが
想定よりも早く戦力になってくれた。
アポイント件数:50社(アポイント獲得率3%)
→アプローチ数が増加した結果件数増。アポイント獲得率は想定通り。
成約件数:12社(成約率24%)
→アポイント件数増により目標クリア。ただし当初想定していた成約率33.3%には
届いていない。原因を確認すると、アポイント獲得数が急激に増えたため、
営業メンバーの訪問活動が追い付いておらず、クロージングに時間が割けていなかった。
顧客単価:100万円
上記の例では、売上目標を20%も上回る結果となりましたが、KPIごとに振り返ると成約件数を生み出すための営業メンバーの工数に課題があることがわかってきます。
これを踏まえた上で、次回KPI設定時にはクロージング人員を増強した上で成約率を初期値の33%とするのか、人員は増強せずに成約率を24%とするのか、クロージングを訪問からメールやコールセンターによる案内に切り替え、クロージング人員の稼働調整によって33%を達成するかなどを検討します。
適切なKPIが設定できていても、それを活かした改善施策を打つことができていなければ、KPI設定の効果は十分に享受できません。良い結果、悪い結果に関わらず定期的にKPIを見直すことが重要です。
【まとめ】
今回はKPI設定における注意点やその方法、PDCAについて言及しました。
KPIを設定しただけで満足することなく、実際に測定と改善を繰り返すことが営業成績を上げるためには重要です。