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今更聞けない「補助簿」

2023年 2月24日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない簿記・会計の用語として「補助簿」についてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

会社の帳簿って法律上、保存期間が定められていると思うんだけど、何をどれだけ保存しておかないといけないの?
原則、税法では7年、会社法では10年と定められています。ですが、細かいことは抜きにして、とりあえず「10年間保存」しておけば心配はいりません。しかし、“何を”保存しておかないといけないかは、わかりづらいですよね。
そうなんだよ。損益計算書や貸借対照表とか、いわゆる決算書を取っておかないといけないのは分かるんだけど、それ以外には何が必要なの?
会社の帳簿には「主要簿」と「補助簿」という大きく2つの種類に分けることができます。どちらも「10年間保存」しておけば安心です。前回は「主要簿」について解説いたしました 。今回は「補助簿」について解説していきますね。

前回のブログ:今更聞けない「主要簿」


補助簿とは?

補助簿はその名の通り、主要簿を補助するために作成する帳簿のことです。

主要簿と違って法律上作成が義務付けられているものではありませんが、主要簿だけでは目の行き届かない大切な内容を記録するために用意されています。正確な経営管理をおこなうためには欠かせないアイテムです。

主要簿同様、①取引日付②取引金額③取引相手④取引内容などを記入します。
補助簿は「補助記入帳」と「補助元帳」の2種類に分類されます。


補助記入帳とは?

補助記入帳は、主要簿である仕訳帳を作成するための手前側で補助的な役割を担っています。
といった感じの流れになります。

・現金出納帳
補助記入帳の代表的な帳簿です。一日ごとに現金の出入りを記録する帳簿です。
現金売上がある小売業や飲食業などでは作成必須の帳簿です。一日ごとにレジや金庫の現金の残高を記録することは経営の基本です。
いわゆる「今日一日の現金を〆る」という表現は、この現金出納帳に記入することを指します。

・小口現金出納帳
消耗品の購入や旅費の精算などを支店単位や部署単位でおこなう際に、用意される現金のことを小口現金といいます。その支払い内容を記載するための補助記入帳が小口現金出納帳です。本社の経理部とはロケーションが離れているところで現金を扱う際に使用する補助記入帳です。

・預金出納帳
普通預金や当座預金など各金融機関の口座ごとに入出金を管理するために作成する帳簿です。通帳とほぼ同じものを記載することになりますが、昨今ではネットバンキングの普及などでタイムリーに把握できるので作成するケースは少なくなっています。

・売上帳
販売数量や販売単価、売上方法(現金売り・掛け売り・手形売り)などを販売先別に記録する帳簿です。このあとに解説する補助元帳である売掛金元帳(得意先元帳)のベースにもなる補助記入帳です。

・仕入帳
購入数量や購入単価、仕入れ方法(現金払い・掛け払い・手形払い)などを仕入先別に記録する帳簿です。このあとに解説する補助元帳である買掛金元帳(仕入先元帳)のベースにもなる補助記入帳です。

・受取手形記入帳
受取手形を管理するための補助記入帳です。日付や金額、手形の種類、手形の番号、振出人、支払人、満期日、裏書先などを記入します。満期後の顛末を記載する欄もあります。

・支払手形記入帳
支払手形を管理するための補助記入帳です。記入する内容は受取手形記入帳とほぼ同じです。支払手形は決済できないと不渡りとなり、会社の信用問題に多大なる影響を及ぼしてしまいます。代金の支払いに手形を振り出している場合には作成必須の補助記入帳です。


補助元帳とは?

補助元帳は、主要簿である総勘定元帳を補うための帳簿です。特に重要な勘定科目の内訳など経営に必要な情報を管理するための帳簿です。
上記の図からもわかる通り、補助元帳はその名前に”元帳”とあるので、総勘定元帳から作成されるものと思われがちです。しかし、そうではなく、仕訳帳や補助記入帳から作成されます。

・売掛金元帳(得意先元帳)
売掛金元帳は別名「得意先元帳」とも呼ばれます。得意先(販売先)ごとの売掛金残高を管理するための補助元帳です。売掛金の回収漏れは資金繰りにダメージを与えます。貸し倒れに遭遇しないための与信管理に使用されるとても重要な帳簿です。

・買掛金元帳(仕入先元帳)
買掛金元帳は別名「仕入先元帳」とも呼ばれます。仕入先(購入先)ごとの買掛金残高を管理するための補助元帳です。こちらは支払手形記入帳同様、支払いが遅延してしまうと会社の信用問題に影響します。いつまでに、どの仕入先に、いくらの支払いが残っているのかを管理するための重要な帳簿です。

・商品有高帳(在庫管理表)
商品有高帳は、商品の種類別に「入庫した日、単価、数量、金額」と「出庫した日、数量、単価、金額」を記載することで現時点での在庫有高を管理するための帳簿です。この帳簿と合わせて実地棚卸をすることで、商品の紛失や盗難、記帳漏れや記帳間違いなどの差異を管理することが可能となる重要な帳簿です。商品の取り扱い規模が大きくなる場合には、バーコードやICタグでデジタル管理されるべきものとなります。


補助簿は主要簿を助けるための栄養素

会社の決算書はしばしば人間の健康診断書であると例えられます。

決算書が健康診断書であるならば、それを構成している主要簿たる総勘定元帳は骨や筋肉や臓器であり、仕訳帳は血液であり細胞でありDNAです。
そして、それらを補う補助簿は、たんぱく質やビタミンなどの栄養素の役割と似ています。栄養バランスが崩れると、健康な体を維持できません。補助簿も同じで健康な企業体を維持するための詳細情報だととらえると、その重要性を理解しやすいのではないでしょうか。
補助簿の作成方法は経理部や会計事務所に任せれば十分ですが、それらがどのような役割でどれくらい重要なものであるのかをこれを機会に再確認していただければ幸いです。

今回は「補助簿」について解説していきました。
まだまだ他にもたくさんの会計用語が存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので、ぜひほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。