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今更聞けない「決算予測」

2023年 8月24日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない会計のこと「決算予測」についてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

最近、決算予測の話をよく聞くんだ。うちもやってみたいんだけど、やり方を教えてくれないかな?
そうですね。まずは、過去の試算表を使って売上や経費の分析をおこないます。そして、それを元に決算までの残りの予測を立てます。
決算予測は決算の何カ月前くらいにやるのがベストなのかな?
決算の3~4カ月前がベストですね。そして、残り2カ月、1カ月と修正を加えながら精度を上げていくことが大切です。
なるほど。今月は9カ月目なので、今まさに決算予測をおこなうタイミングってことかな?
そうですね。ちょうど今月分の試算表が上がってきましたので、これに基づいて残り3カ月の決算予測を一緒にしてみましょう。


決算予測の5つの重要性

①経営戦略策定
未来の売上や利益を予測することで、製造・販売方針や資金の投下先など、戦略的な経営判断が可能になります。これにより、企業は市場の変動に素早く対応し、競争力を維持することができるようになります。

②リスク管理
将来的な収益の減少などのリスクを早期に発見することで、必要な措置を講じる時間を確保し、企業の危機を未然に防ぐことが可能となります。

③資金調達
特に、中小企業の場合には金融機関に対して未来のビジョンと財務計画を明確に示すことで、資金の提供条件を有利に進めることができるでしょう。

④ 経営者と従業員間の方針統一
共有された目標に向かって努力することは、全体の業績向上に寄与するとともに、組織の一体感を高める効果もあります。

⑤外部環境への対応
市場や競合他社、政策などの変化に対して迅速に対応する戦略を立てることができるため、中小企業にとって、特に生き残りに直結する重要な課題を解決します。

総じて、決算予測は、中小企業の経営において多岐にわたる重要な役割を果たすものであり、戦略策定、リスク管理、資金調達、方針統一、外部環境への対応などの観点から、企業の持続的な成長と安定経営に寄与します。


決算予測の方法

決算予測の方法にはいくつかの重要なステップがあります。
まず、過去データの分析が基本となります。これには企業の過去の財務データから傾向を抽出し、未来の収益や費用の動向を分析する作業が含まれます。統計的手法を用いて過去データを解析することで、将来の財務状況についての客観的な予測が可能になるのです。

次に、市場分析も決算予測の方法の一つです。
企業が事業展開する市場の動向、競合他社の状況、顧客の需要などを分析し、これらの要素を売上や費用の予測に反映します。市場の現状と未来の方向性を正確に把握することで、より現実に即した予測が可能となります。

最後に、シナリオ分析があります。
これは、経済状況や政策変動など外部要因によって生じうる異なるシナリオを作成し、それぞれのシナリオに対する経済的影響を評価する方法です。この分析によって、予測における不確実性を減らし、異なる未来の可能性に対してどのように対応すればよいかを検討することができます。
これらの方法を組み合わせることで、決算予測はより精緻で現実的なものとなります。過去データの分析によって客観的な基盤を築き、市場分析での市場の理解によって実態に即した予測をおこない、さらにシナリオ分析によって未来の不確実性に対処するという流れが一般的です。このプロセスを通して、企業はより効果的な経営戦略の策定と実施が可能となります。


効果的な決算予測のポイント

効果的な決算予測をおこなうためには、まず、正確なデータ収集と分析が欠かせません。
企業の過去の財務データや市場情報を精緻に分析することで、予測の精度を向上させることができます。データは常に最新かつ正確であるべきであり、古いまたは誤ったデータに基づく予測は誤った経営判断につながる可能性があるため注意が必要です。

次に、柔軟な思考が求められます。
市場や経済状況は常に変動しており、凝り固まった考え方では効果的な予測が難しくなる場合があります。シナリオ分析などを用いて、さまざまな未来の可能性を検討することで、未来の不確実性に対応できる戦略を立てることができるでしょう。

さらに、関係者とのコミュニケーションも重要なポイントです。
従業員、部門ごとの責任者、外部の専門家と連携し、多角的な視点からの情報と意見を取り入れることで、予測の精度とリアリティが高まります。

また、予測は一度おこなったら終わりではなく、継続的な見直しと更新が必要です。
市場の変動や経済の動向、企業内の変化など、さまざまな要素が絶えず変化する中で、予測を定期的に見直し、必要に応じて調整することが重要です。

最後に、効果的な決算予測のためには専門的な知識とスキルが求められることが多いため、必要であれば外部の専門家の協力も検討すると良いでしょう。
専門家の視点と分析力を取り入れることで、より洗練された予測が可能になります。
これらのポイントを意識し、バランスよく取り入れることで、企業の経営戦略に貢献する精緻な決算予測をおこなうことができるでしょう。


まとめ

決算予測は、中小企業の経営戦略策定やリスク管理、資金調達において重要な役割を果たします。効果的な予測をおこなうためには、過去データの分析、市場分析、シナリオ分析などの多岐にわたる方法を組み合わせる必要があります。

そして、正確なデータ収集、柔軟な思考、継続的な見直し、関係者とのコミュニケーションなどが効果的な決算予測の鍵となります。これらの要素をバランスよく取り入れることで、企業は未来に対する洞察を深め、戦略的な経営判断を下すための重要な基盤を築くことができるでしょう。

まだまだ他にもたくさんの会計に関する今更聞けないことが存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので、ぜひほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。