今更聞けない「月次決算」
こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない簿記・会計の用語として「月次決算」についてご説明します。
とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。
「月次決算」の内容とは?
毎月試算表を作成することを「月次決算」と呼んでいます。しかし、決算というだけあって、そこには“特定の作業(=決算処理)”が存在します。
これらの月次決算における決算処理内容は、年1回の本決算でもおこなう決算処理とほぼ同じです。すなわち、それらの処理を毎月おこなうので「月次決算」と呼ばれています。
ただし、この月次決算は、正確性も大切ですが、それよりも仕上がりスピードを重視します。
そのため、精緻に計算した金額ではなく、概算の金額で計上したり、金額の大きなものや経営上重要な項目だけをピックアップしてこれらの処理をおこない、翌月中のできる限り早い段階(10日前後)で仕上げることが重要です。
年1回の決算よりも「月次決算」をおこなうほうがラク?
一見すると、本決算で1回おこなうことを毎月(全12回)おこなうことは非効率に思えがちです。しかし、実は毎月決算処理をおこなったほうが効率が良いと言われています。
本決算のみで決算処理をおこなっている現場では、大抵の場合、1年分の資料をひっくり返して大慌てで過去を遡る作業をおこなっています。
特に、仮受金や仮払金などの仮勘定と呼ばれるものは、その都度確認して月次単位で確定させておけば大した話ではありません。ですが、1年分溜まっていると、それはとてもとても面倒くさい作業となります。
ほかにも、1年分まとめて会計処理の間違いを探したり、数カ月前の集計ミスを見つけたりした場合、その修正は、とても面倒くさく非効率な作業となってしまいます。
冷静に考えれば、毎月チェックをおこない、それなりの精度で月次決算をおこなっている方が、結果的には効率が良く、会計処理の正確性も高く保つことができることは簡単に想像できますよね。
月次決算を行う最大の目的とは?!
ところが、損益計算書と貸借対照表を月次でタイムリーに作成する意義や目的が理解できていないと「年1回の作成でいいじゃん・・・」となってしまいます。
ましてや、日々の業務に追われて税金の申告のためだけに決算書を作成しているのであれば、
→手間もコストもかけたくないので年1回まとめて作成する
→経営の結果がいつまでたっても把握できない
→将来が見えずに戦略が立てられない
→気がついたら大変な財務状態になってしまっている
という負のスパイラルに陥ってしまいます。
そのようにならないためにも、コストをかけてでもやるべき「月次決算の目的」を再確認しましょう。
そもそも、損益計算書と貸借対照表は税金の申告のための資料ではなく、会社の健康状態を表すものです。決算書は経営者の経営の意思決定の結果が記されている成績表です。
その成績表である損益計算書と貸借対照表を、年1回しか見ない経営者と年12回見ている経営者とでは、どちらがより安全な経営をおこなうことができるでしょうか?
リアルタイムで業績を把握・管理することで、月次計画、年次計画の予測が可能となります。
さらにスピーディーな試算表が仕上がってくることで計画(予算)と実績の予実管理、いわゆるモニタリングをおこなえるようになります。
これにより決算着地、利益予測、納税予測だけでなく、金融機関からの借り入れ交渉などにも役立ち、将来の経営に寄与します。
以上のように、最初の手間と知識とコストは少々かかりますが、仕組みを作って一歩を踏み出してしまえば、月次決算は決して難しいものではありません。
やる気と目的さえあれば誰にでもできることです。
既に「月次決算」をおこなっているが、その精度や作成のスピードが気になる方は、「月次決算」を正しくおこなえる税理士・会計事務所に確認・相談してみましょう。
今回は「月次決算」について解説しました。
まだまだ他にもたくさんの会計用語が存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので、ぜひほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。
1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。