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今更聞けない「管理会計」と「財務会計」の違い

2023年 9月21日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない会計のこと「管理会計」と「財務会計」の違いについてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

ちょっと気になっているんだけど、「管理会計」と「財務会計」って具体的に何が違うんですか?
簡単に言うと、管理会計とは主に社内で使う情報を提供するためのもので、財務会計とは外部の利害関係者に企業の財務状況を明示するためのものです。
それぞれの内容が更新される頻度ってどれくらいですか?
管理会計の情報は非常にフレキシブルで、経営者の必要に応じて随時更新されます。一方、財務会計は法的な規制に基づき通常1年ごと、上場企業になると四半期ごとに報告が公開されます。
規制や監査はどうなっているんですか?
管理会計は主に社内で使用するものなので、外部監査の必要は基本的にありません。ですが、財務会計には上場企業の場合、外部からの監査が必要です。これは投資家や債権者が安心して情報を利用できるようにするためです。
管理会計は経営者用、財務会計は外部の利害関係者用っていう感じですね。
その通りです。それぞれの目的がわかると理解しやすいですよね。


管理会計(Managerial Accounting)とは

管理会計は、会計数値を経営者や管理者が「社内」で活用するためのものです。

経営者や管理者は経営の舵取りをどのように進めていくのかが重要となります。その時の意思決定をサポートしてくれるのが管理会計です。ここでは、管理会計の目的や内容、そして意義について詳しく解説したいと思います。
①目的
管理会計の主な目的は、経営者やその他の社内関係者がより効率的な運営と意思決定をおこなえるように、財務的なデータや業績指標を提供することです。これには、コストの詳細な分析、予算作成、将来の財務予測、利益中心の評価などが含まれます。これらの情報を使って戦略立てて予算を作成し、目標値を調整することができます。

②対象者
管理会計の情報は、主に企業や組織内部の人々、特に経営者、部門責任者、プロジェクトマネージャーなどに提供されます。これらの内部ステークホルダーは、管理会計の情報を用いて日々の運営や戦略的な方針決定をおこないます。

③報告期間
管理会計は、比較的短いスパンでの報告が一般的です。これには日次、週次、月次の報告が含まれる場合があります。短期間での報告が多いのは、経営者が迅速な意思決定をおこない、調整を加える必要があるためです。

④報告の形式
管理会計の報告には、一般に認められた標準形式が存在しないことが多いです。各企業や組織が特有の状況やニーズに応じて、報告書の形式や内容を自由に調整できます。これにより、管理会計は非常に柔軟で、特定の戦略的目標や問題点に対する解決策を提供することができます。

⑤内容
管理会計の内容は多岐にわたりますが、一般的には以下のような情報が含まれます。
・予算と実績の対比分析
・コスト構造とコスト削減のための分析
・部門やプロジェクトの業績評価
・価格設定戦略
・トレンド分析
・将来の財務状況の予測

⑥規制と監査
一般的に、管理会計は外部の監査や規制には従わないことが多いです。これは、主な対象者が組織内部に限られており、外部ステークホルダーに公開する必要がないためです。しかし、内部監査の対象となる場合もあり、その場合は一定の品質と信頼性が求められます。

以上のことから、管理会計は、企業や組織が持続的な成功を収めるために不可欠な要素となっていることがおわかりいただけると思います。


財務会計(Financial Accounting)とは

財務会計は、会社外部の関係者への企業の財務状況や業績を報告するためのものです。

そのため、他社と比較する必要があるためルールに基づいて過去の取引を集計する必要があります。ここでは、財務会計の目的や内容、そして意義について詳しく解説したいと思います。
①目的
財務会計の主な目的は、企業の財務状況や業績を反映する情報を、外部のステークホルダーに公開することです。この情報は、企業の経済的健全性や将来の見通しを評価するのに役立ちます。

②対象者
財務会計が提供する情報の主な対象は、企業や組織の外部です。これには、金融機関、投資家、債権者、規制機関、そして一般の消費者などが含まれます。これらのステークホルダーは、企業の財務報告をもとに、融資や投資の判断、企業の評価、規制対応などの意思決定をおこないます。

③報告期間
財務会計の報告は、上場企業の場合は四半期ごと(四半期報告書)と年次(年次報告書)の2つの主要な期間に分けておこなわれます。これにより、外部のステークホルダーは定期的に企業の財務状況や業績を評価することができます。一般的な中小企業の場合でも年次で作成する必要があります。

④報告の形式
財務会計の報告は、通常、一般に認められた会計原則に従っておこなわれます。これにより、異なる企業や業界間での情報の比較が容易になります。主要な財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などがあります。

⑤内容
財務会計における報告の内容は、企業の資産、負債、所有者の持分、収益、費用などの経済的取引とイベントを包括的に反映しています。この情報は、外部ステークホルダーが企業の財務状態や結果、そしてキャッシュフローの動向を理解するのに必要なものです。

⑥規制と監査
財務会計は多くの国で規制されており、正確かつ公正に情報が報告されることが求められます。多くの場合、企業は外部の監査機関による監査を受ける必要があり、これによって、報告された情報の信頼性が確認されます。不正確な情報を提供すると、法的な罰則や評価の低下が生じる可能性があります。

財務会計は、企業が社会的な信頼を維持し、資本市場の透明性を高めるための重要な役割を果たしています。


まとめ

「管理会計」は内部戦略と意思決定に必要な詳細な情報が詰め込まれています。これにより、企業は業務の効率性と生産性を最適化するための重要なヒントを得ることができます。一方で、「財務会計」は投資家や金融機関に対する信頼を築くための公式な報告手段となり、法的要件と企業ガバナンスを満たすためにも必須です。

「管理会計」でビジネスを最適化し、「財務会計」でその成果と健全性を外部に証明することで、企業の成功に繋げましょう。

まだまだ他にもたくさんの会計に関する今更聞けないことが存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので、ぜひほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。