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知っておきたい「資金分岐点売上高」の活用法

2023年12月14日
会計・財務 bixid活用 業務改善

こんにちは。YKプランニング ユーザーサポート部 部長の渡辺です。

今回は、資金繰りを予測するうえで知っておきたい『資金分岐点売上高』の活用法についてご説明します。

損益分岐点売上高はよく聞くと思いますが、資金分岐点売上高は聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。損益分岐点売上高が『利益を出すために必要な売上高』に対し、資金分岐点売上高は『お金を増やすために必要な売上高』です。

どれだけ売上を上げれば、資金繰りが楽になるのだろうか・・・という疑問をお持ちの方にはぜひ知っていただきたい考え方となります。


資金分岐点売上高とは

損益分岐点売上高の計算には、借入金の返済や納税などの支払いが加味されていないので、実際の売上高が損益分岐点売上高を上回っても手元のお金を減らす可能性があります。(左図)

一方、資金分岐点売上高は借入返済や納税を加味して計算するため、『お金を増やすために必要な売上高』を知ることができるのです。(右図)


資金分岐点売上高の確認方法

資金分岐点売上高は弊社が提供する「bixid(ビサイド)」の『単年シミュレーション機能』を使えば、簡単に確認できます。

①シミュレーション設定
『キャッシュ残高目標を設定して、売上・利益を予測』を選択して、目標キャッシュ残高に前期数値を入力します。このように設定すれば、手元のお金を維持するために必要な売上高を予測することができます。
②変動費率と固定費額を調整
前年実績の変動比率と固定費額が初期入力されています。物価の高騰や人員の増減により変動比率や固定費額が変わる見込みの場合は、数値を調整しましょう。
③借入金返済と納税を登録
損益計算に含まれない2大支出項目である『借入返済』と『納税(法人税・消費税)』の支払い予定を登録します。
借入金は年間返済予定額を直接入力して、納税は『法人税一覧』と『消費税一覧』から登録してください。納税額は営業上の未収未払(タイムラグ)に表示されます。
④資金分岐点売上高の確認
最後に『売上高の再計算』を実行すると、調整した条件で必要売上高が再計算されます。
年間で約66,000千円の売上増加が必要という結果が表示されました。

資金分岐点売上高の活用

重要なのはここからです。売上高を30%近く上げるのは簡単な話ではないですね・・・

次に考えることは、どうすれば資金分岐点売上高を下げることができるかです。
固定費の削減と変動比率を下げることができないか考えてみましょう。

▼固定費を削減する視点の一例
・人件費の見直し(業務効率化や外注化の検討)
・販売促進費、接待交際費の見直し(費用対効果の向上)
・その他金額上位科目の見直し

▼変動費率を下げる視点の一例
・セールスミックスの見直し(高収益商品の販売強化)
・仕入先(外注先)の見直し、単価交渉

試しに、固定費を5,000千円減らし、変動比率を2%下げてみました。

そうすると、資金分岐点売上高が24,000千円も少なくなる結果となりました。
この結果を見ると、固定費削減や変動比率を下げる取り組みを本気で考えてみようと思いませんか?
最後に、現実的な売上高を入力すれば、必要な資金調達額が見えてきます。
今回は23,000千円お金が減少するという結果となりました。

まとめ

今回のように手元のお金を維持するためには、資金調達が必要という結論になるかもしれません。しかし、あらかじめ必要な資金調達額を把握しているかいないかでは、経営の安心度に雲泥の差があると思います。

また、このようなシミュレーションをおこない、自社努力で改善できることを整理し、その姿勢を見せることで金融機関の協力も得やすくなります。
資金繰りに漠然とした不安がある方は、一度資金分岐点売上高を把握してみてはいかがでしょうか。

渡辺 雅敏
渡辺 雅敏
株式会社YKプランニング ユーザーサポート本部長

2009年行本会計事務所に入所後、中小企業の企業再生・経営支援に従事。現在は会計事務所を中心とし、自社サービスの組織的活用の個別支援や習熟度向上を目的としたコンテンツ制作やイベント企画を通じて、サービス導入価値の向上に取り組む。
趣味は釣り、ゴルフ、ドライブ、旅行、シーカヤック、時々庭作りなど。喋る仕事なのに喉が弱いのが悩み。