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今更聞けない「変動費と固定費の違い」

2023年12月21日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない会計のこと「変動費と固定費の違い」とそれぞれの重要性についてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

会計でよく聞く変動費と固定費って、どう違うんですか?
簡単に言いますと、変動費は売上に応じて変わる費用、固定費は売上に関係なく一定の費用ですね。
なるほど。では、それぞれが経営にどう影響するんですか?
この2つを理解して管理することで、利益の最大化ができるようになります。
それは興味深いですね。もう少し詳しく教えてもらってもいいですか?
もちろんです。それでは変動費と固定費の違いについて説明していきましょう。


変動費と固定費の違い

会計における「変動費」と「固定費」の概念は、中小企業経営者にとって特に重要です。
この二つを理解し、適切に管理することは、事業の成功に直結します。

・変動費とは?
変動費は、生産量や販売量に応じて増減する費用です。
活動量が多ければ変動費は増え、少なければ減ります。例えば、製品を一つ多く作るごとに必要な材料費や、売れた商品一つ一つにかかる配送コストがこれに当たります。変動費の管理は、売上が変動した際の利益への影響を理解するうえで不可欠です。

・固定費とは?
固定費は、生産量や販売量に関わらず一定である費用です。
これらの費用は、企業の活動量や業績の変動に関係なく、一定期間内では変わらない特性を持っています。
変動費が事業の規模に応じて増減するのに対し、固定費は規模の大小にかかわらず一定のままです。


変動費の管理の重要性

変動費の管理は、中小企業経営において、コストコントロール、予算計画、価格設定という三つの重要な側面に直接影響を与えます。

まず、コストコントロールにおいては、変動費の効率的な管理が中心となります。
変動費は生産や販売の量に応じて増減するため、これらの活動の効率化を図ることで、費用を削減し利益率を向上させることが可能です。
例えば、材料の仕入れコストを低減するための仕入れ先の見直し、生産プロセスの改善による労働時間の削減、販売チャネルの最適化による販売手数料の削減などがあります。これらの取り組みは、変動費をコントロールすることによって、企業全体のコスト効率を高めることに繋がります。

予算計画においては、変動費の正確な予測が重要です。
事業の拡大や新規事業の立ち上げを計画する際、変動費の予測は資金調達の必要量や予算配分の決定に直接影響します。生産量や販売量の増加にともなう変動費の増加を予測し、それに基づいて資金計画を立てることで、未来の財政的なリスクを抑えることができます。これにより、企業は安定した経営基盤のもとで成長戦略を展開することが可能となります。

最後に、価格設定においては、変動費の把握が製品やサービスの単位コストに直接影響を及ぼします。製品やサービスの価格を決定する際、変動費を含む全てのコストを考慮する必要があります。適切な変動費の計算により、企業は利益を確保しつつ市場競争力のある価格を設定することが可能です。これにより、企業は市場での競争優位性を保ちながら、経済的に持続可能な運営をおこなうことができます。

これらの側面を通じて、変動費の適切な管理は中小企業の経営において極めて重要です。効率的なコストコントロール、正確な予算計画、そして競争力のある価格設定は、事業の持続可能性と成長に直接貢献し、経営の成功を支える基盤となります。


固定費の管理の重要性

一方で、固定費は生産量や販売量に関わらず発生する一定の費用です。
固定費は損益分岐点を理解するうえで重要で、事業が一定の売上を下回ると損失が発生します。

例えば、工場やオフィスの家賃、機械設備のリース料、経営管理部門の固定給の従業員の給料などは固定費に分類されます。これらの費用は、会社が製品を多く生産したり、少なく生産したりしても、月ごとの支払い額は同じです。
そのため、固定費は企業の損益分岐点を計算する際や、長期的な財務計画を立てる際の重要な要素となります。

特に、売上が予想よりも低い場合や市場が不安定な時期において、固定費は大きな負担となり得ます。そのため、固定費の適切な管理は、不確実な市場環境下でも企業の安定した経営を支える鍵となります。固定費が高すぎると、企業は損益分岐点を超えるために必要な最低限の売上を達成するのが難しくなり、経済的なリスクが高まります。

さらに、固定費の管理は、長期的な財務計画や予算策定においても重要な役割を果たします。固定費を正確に把握し、それに基づいて予算を計画することで、企業は将来の投資計画や成長戦略をより効果的に策定することができます。固定費の削減や効率化は、企業の利益率を向上させ、経営の柔軟性を高めることにも寄与します。

このように、固定費の管理は中小企業にとって不可欠であり、持続可能な成長と財務の健全性を確保するための基盤となります。そのため、固定費に対する継続的な注意と適切な管理戦略が、経営成功の鍵となるのです。


なぜ変動費と固定費の区分が重要なのか?

この二つの費用を明確に区分することで、中小企業の経営者は以下の点において優れた意思決定が可能になります。

①利益計画とコスト管理
変動費と固定費の分析により、売上高の変動が利益にどのように影響するかを正確に予測できます。また、どのコストを削減すべきかという戦略的な判断が可能になります。

②損益分岐点分析
固定費を基に、企業が利益を上げ始める最低限の売上高を計算できます。これにより、事業のリスク管理がしやすくなります。

③価格設定
商品の価格設定には、変動費と固定費の両方を考慮する必要があります。これにより、コストをカバーし、利益を生み出す価格を設定できます。

④事業戦略の策定
事業の規模が変わると、固定費と変動費のバランスが変わる可能性があります。これらの情報をもとに、事業拡大や縮小などの戦略的な決定をおこなうことができます。

⑤財務分析と予算計画
固定費と変動費の分析により、企業の財務状況を評価し、将来の予算計画に役立てることができます。

利益を最大化するためには、固定費を抑え、変動費を効率的に管理することが極めて重要です。固定費を適切に管理することで、企業は不必要な支出を削減し、財務の安定性を高めることができます。一方で、変動費の効率化は、生産コストの削減や利益率の向上に直結し、市場の変動に柔軟に対応する能力を強化します。

この両方の費用をバランス良く管理することにより、中小企業は安定した収益基盤を築き、競争の激しい市場環境での生存と成長を目指すことが可能になります。

具体的には、固定費については定期的に見直しをおこない、必要最小限に抑える努力が求められます。変動費に関しては、生産プロセスの効率化や原材料コストの削減など、活動量に応じたコスト管理を徹底することが重要です。


コスト管理の徹底は経営を成功に導く

中小企業経営者にとって、変動費と固定費を区別し、それぞれを適切に管理することは、事業の持続可能性と成長に不可欠です。

最終的に、これらのコスト管理は、価格設定、予算計画、財務健全性の維持など、事業運営の多岐にわたる側面に影響を及ぼします。したがって、変動費と固定費の両方を適切に理解し、効率的に管理することは、中小企業経営を成功に導くための重要なステップとなるのです。

まだまだ他にもたくさんの会計に関する今更聞けないことが存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので、ぜひほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。