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収益改善アイテム 変動?!損益計算書(後編)

2021年 6月 3日
会計・財務 bixid活用

こんにちは、YKプランニング代表取締役社長の岡本です。

前回は私の「変動損益計算書」に対する愛について語りましたが、今回はその「変動損益計算書」がいかに経営者にとって役に立つツールなのかということについて、暑苦しく語りたいと思います。

前回のブログで「変動損益計算書」を「損益ダイジェスト」と言い換えて世の中に普及していきたいと述べました。

ちなみに、「ダイジェスト」とは日本人的感覚でいうと「要約」が一番しっくりくるかもしれませんが、英語ではほかに「消化する」とか「噛みしめる」「会得する」「熟考する」といったような意味にもなる単語です。
「損益ダイジェスト」という表現は、自社の損益状況を“直感的に”理解するちょうどよい表現ではないかと自画自賛しております。

それはさておき、、、

「変動損益計算書」もとい「損益ダイジェスト」は、売上の増or減に連動して増or減する原価を集計して利益を計算する1段目と、1段目の利益からその他経費を引いて計算する2段目の2層構造に分けて考えます。


1段目「限界利益」を確認しよう

まずは売上の増or減に連動して増or減する原価を集計しましょう。

この連動することを“変動”と呼んでおり、売上に連動して増or減する原価のことを「変動費」または「変動原価」と呼んでいます。
なお、売上から変動費を差し引いた1段目の利益を「限界利益」と呼んでいます。

ちなみに、この「限界利益」という言葉も直感的にはピンとこない用語の1つかもしれませんが、これは「限界=これ以上は無理…」というネガティブニュアンスでとらえるのではなく、「限界=ぎりぎりイケるライン=最大限叩き出せる利益」的なポジティブニュアンスで捉えてみましょう。

この「損益ダイジェスト」を理解するうえで一番重要となるのが“率”という考え方です。上の図では、売上を100%とすると、変動費率40%、限界利益率が60%となります。

例えば、1個3,000円で仕入れた高級メロンを10,000円で売るということを想定してみてください。

一般的な思考パターンだと、「売値10,000円-原価3,000円=利益7,000円」ですが、「損益ダイジェスト」的思考だと、この1個10,000円の売上に対して、3,000円の原価以外に連動して発生する費用はないだろうかということを考えます。

実際には、この1個3,000円で仕入れたメロンにさらなる付加価値(高級感)を出すため、1個ごとに300円のゴージャスな箱に入れて、さらに、鮮度を保つためにおおよそ1個当たり700円の特殊な管理コストがかかるとした場合はどうでしょうか?

「仕入原価3,000円+箱代300円+特殊管理費700円=変動費4,000円」

メロンを1個10,000円で売るためには、必ず4,000円の原価がかかります。2個なら8,000円、3個なら12,000円・・・・と、必ず「連動=変動」するという視点で考える思考パターンが「損益ダイジェスト」の特徴です。

なお、実際の現場では、1個1個の計算を細かくするのではなく、以下のようなイメージなります。

【20X1年4月の販売実績と原価状況】
①メロンの販売個数 100個
 @10,000円×100個=1,000,000円(=売上高)
②メロン販売の際に行った値引き総額
 30,000円(内訳:10個については若干棚落ちしていたため30%offで販売)
③メロンの仕入個数 100個
 @3,000円×100個=300,000円(=仕入原価)
④ゴージャスな箱 110箱
 @300円×110箱=33,000円 ※組み立ての際に10箱を破損してしまった。
⑤特殊な管理コストの総額
 65,000円 ※効率よく管理できたため少し節約ができた。

いかがでしょうか?理論上の変動費は40%ですが、実際には41%と1%高くなっている原因が気になりませんか?
この差は来月も続いてしまうのか?理論上の40%に近づけることができるのか?など、問題点や改善点があることを知らせてくれるのがこの「損益ダイジェスト」の醍醐味です。

具体的な問題点や改善点を以下に挙げてみます。

②に関連して、来月は値引きをしないように販売するためにはどうすればいいか?
②と③に関連して、棚落ちをさせないための仕入れのタイミングに改善の余地はないか?
④に関連して、破損してしまった箱は想定の範囲内か?
⑤に関連して、管理費を節約してしまったために、棚落ちがあったのではないか?

など、ここでは40%というある種の目標値を達成するための問題点や改善点を挙げていますが、一番大切なことは、「来月は何%か?」ということです。

この「損益ダイジェスト」は、ただ単に結果を見るだけではなく、これから未来のための改善につなげていくための突破口を見出すためのものでもあるのです。

前回の(前編の)ブログで書いた
「損益計算書」・・・・・・人から言われて作るやつ
「変動損益計算書」・・・・自ら作りたくて作るやつ(=損益ダイジェスト)
の所以はここにあります。


2段目「本業利益」を確認しよう

そして、損益ダイジェストの2つめのポイントは、「ぎりぎりイケるライン=最大限叩き出した利益」である「限界利益」と「変動費以外の費用」との勝負です。

この「変動費以外の費用」のことを「固定費」と言います。
固定費よりも限界利益が多ければ“勝ち”、固定費よりも限界利益が少なければ“負け”という単純明快な仕組みになっています。

限界利益vs固定費で2段目の利益(または損失)が把握できます。この2段目の利益を「本業利益」といい、同義語的には経常利益“ケイツネ”などと呼ばれているものになります。

固定費の詳細については、別のブログで解説しますが、ぎりぎりまで残した利益「限界利益」を「固定費」と勝負させるといった直感的な見方ができるのが、私が皆さんに超おススメしたい「変動損益計算書」もとい「損益ダイジェスト」です。

“直感的”に理解して頂ければ幸いです。