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今更聞けない「財務諸表」と「決算書」の違い

2024年 2月 8日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない会計のこと「財務諸表」と「決算書」の違いについてご説明します。

とある日常、若手経営者Aと若手経営者Bとの会話。

ねえ、財務諸表と決算書の違いって、正確にわかる?
うーん、どちらも利益とかお金の流れを見るものでしょ?正直、細かい違いまでは…
そうなんだよね。会計事務所の人に聞いても、なんだか難しい言葉で説明されて、結局よくわからないんだよね。
そうそう。難しい言葉で説明されると、逆に理解できたフリをしないと経営者として恥ずかしく感じちゃって、結局は問題解決にならないんだよね。


経営に重要なツール「財務諸表」「決算書」

中小企業の経営を担う皆さんは、日々の経営判断をさまざまな情報に基づいておこなっていることでしょう。

その中でも特に重要なのが、企業の財務状況を把握し、健全な経営基盤を維持することです。

しかし、この財務状況を反映する「財務諸表」と「決算書」の違いについて、はっきりと理解している経営者は意外と少ないのではないでしょうか。

私たちが普段耳にする「財務諸表」と「決算書」。
これらは、会社の財務的な健全性を示すための重要なツールです。しかし、多くの場合、その違いが明確に理解されていないことがあります。経営者間の会話の中でさえ、これらの用語が同じ意味で使われることが少なくありません。

上記の会話のようなやりとりは多くの経営者にとって共感できるものではないでしょうか。
さらには、会計事務所や税理士事務所のスタッフでさえ、これらの違いを簡潔に説明するのは難しいと感じることがあります。しかし、これらの正確な理解は、効果的な経営戦略を立てるうえで欠かせないことです。

そこで今回は、中小企業の経営者と会計・税理士事務所スタッフの両方に向けて、「財務諸表」と「決算書」の基本的な違いと、それが経営にどのように影響を与えるかを、分かりやすく解説していきます。

これを通じて、より賢明な経営判断と、企業の持続可能な成長に貢献する知識を提供することを目指します。


財務諸表とは?定義と重要性

「財務諸表」とは、企業の財務状態、経営成績、キャッシュフローを総合的に把握するための一連の報告書です。この中には、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)が含まれます。これらは、企業の健全性を示すうえで重要な役割を果たします。

貸借対照表は、特定の時点での企業の資産、負債、資本の状態を示します。これにより、経営者は企業の財務構造を理解し、長期的な戦略を立てるための基礎データを手に入れることができます。
損益計算書は、ある期間内の収益と費用を記録し、その結果としての利益や損失を明らかにします。この情報は、経営の効率性や収益性を判断するのに役立ちます。
キャッシュフロー計算書は、特定の期間における現金の流入と流出を追跡し、企業の流動性や資金管理の状況を評価するのに使用されます。

これらの財務諸表は、投資家や金融機関に対して企業の財務状況を明確に伝えるためのものであり、内部での戦略立案や意思決定にも不可欠です。企業の成長を維持するためには、これらの諸表を正確に読み解き、適切な経営判断をおこなうことが必要です。


決算書とは?定義と重要性

一方で、「決算書」とは、会計期間(通常は1年)の終わりに作成される、企業の財務状況を要約した書類です。これには、その期間における収益や費用、利益や損失の総額、そして資産や負債の状態などが含まれます。決算書は、主に株主や税務当局への報告に用いられ、企業の一年間の経済活動の成果を示す重要な書類です。

決算書は、企業の運営成果を簡潔に反映します。これは、経営者が自社の短期的な経済活動を評価し、今後の事業戦略を練るうえでの基盤となります。また、税務申告の際には、正確な決算書が必要不可欠であり、企業の法的義務を果たすうえで中心的な役割を果たします。

中小企業においては、決算書は特に重要です。

なぜなら、多くの場合、これらの企業は金融機関や取引先との関わりが限られているため、決算書が企業の財務状況を示す主要なツールとなるからです。正確かつ簡潔な決算書を作成することは、経営者にとって信頼性を築く手段であり、企業の健全な運営を支えるために不可欠です。


「財務諸表」と「決算書」の主な違い

財務諸表と決算書の最大の違いは、その範囲と詳細度にあります。

財務諸表はより広範にわたるデータを詳細に提供し、企業の経済活動全体を反映します。一方、決算書はより要約された形で、企業の特定期間の財務成績を示します。つまり、財務諸表は「深い洞察」を、決算書は「広い視野」を提供すると言えます。

例えば、ある中小企業が新しい事業への投資を検討している場合、財務諸表はその企業の資金繰りの状態や、過去数年間の収益の傾向を詳細に分析するのに役立ちます。
一方、決算書はその年の経営成績が一目でわかるようにまとめてあり、税務申告や株主への報告に適している、といったイメージです。

経営者にとっても、会計事務所や税理士事務所のスタッフにとっても、「財務諸表」と「決算書」の適切な理解と活用は、効果的な経営戦略を築くうえで不可欠です。

経営者はこれらの書類から得られる情報を基に、企業の現状を正確に把握し、未来の経営計画を立てることができます。一方、会計事務所や税理士事務所のスタッフは、これらの書類を通じて経営者に対し、財務状態の解析や税務上のアドバイスを提供し、経営のサポートをおこなうことが重要です。


まとめ

財務諸表は、企業の包括的な財務状態を深く理解するための詳細なツールです。これにより、経営者は長期的な視点で企業の健全性を評価し、投資や資金調達の決定をおこなうことができます。一方で、決算書は特定期間の経済活動を簡潔にまとめ、税務申告や株主への報告に利用されます。これは、経営者がその年のビジネス成果を理解し、短期的な戦略を調整するのに役立ちます。

「財務諸表」と「決算書」の理解と活用は、企業が直面する財務的な課題を乗り越え、持続的な成長を達成するための鍵となります。
この記事が中小企業経営者と会計・税理士事務所スタッフの皆様にとって、役立つ情報源となることを願っています。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。