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月次決算は管理ではなく会話のためにある

2026年 2月12日
経営管理 会計・財務

こんにちは、YKプランニング代表取締役の岡本です。

月次決算という言葉を聞くと、どこか身構えてしまう。そんな感覚を持っている方は、決して少なくないのではないでしょうか。数字を見なければならない、説明を求められる、評価されるかもしれない。そうした気持ちが先に立ってしまって、せっかくの月次決算の時間そのものが、少し重たく感じられてしまうこともあります。

一方で、毎月きちんと数字を締め、整理して、見える形にしている会社ほど、経営に対して何らかの「前に進んでいる感覚」を持っているのも事実です。では、違いはどこにあるのでしょうか。
今回は、月次決算を管理や評価ではなく「事実」として数字を見ることで、経営と現場の対話につながる月次決算の見方・考え方を解説します。


月次決算が重たく感じる瞬間

月次決算が重たく感じられる場面には、実は共通点があります。
それは、数字が出た瞬間に「良かったのか悪かったのか」「予定どおりなのかズレているのか」といった判断や評価が、一気に持ち込まれるときです。数字が共有された途端、場の空気が少し張りつめる。そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

問題なのは、数字そのものではありません。
数字に付随して生まれる「意味づけ」や「評価」が、月次決算の場の空気を変えてしまうのです。本来、月次決算は事実を整理し、現状を把握するためのもののはずです。しかし、その事実にすぐ評価が重なることで、数字は途端に重たい存在になってしまいます。

その結果、月次決算の場は「状況を確認する場」ではなく、「緊張が生まれる場」になりやすくなります。
誰かが直接責められるわけではなくても、身構える空気があるだけで、数字は安心して扱えるものではなくなります。こうした状態が続くと、月次決算は次第に「向き合うもの」ではなく、「やり過ごすもの」になってしまいがちです。


月次決算を活用できない理由

月次決算を「管理しよう」と意識した瞬間に、なぜか会話が止まってしまう。
こうした感覚は、多くの現場で共有されているのではないでしょうか。管理という言葉自体が悪いわけではありませんが、そのフレームに入った途端、数字は「考えるためのもの」ではなく、「守るべきもの」になりやすくなります。

守るべき基準が設定され、守れているかどうかが焦点になる。基準から外れた数字は、説明対象になります。そうなると、数字は思考の材料ではなく、正解・不正解を分ける境界線のような役割を持ち始めます。その結果、人は無意識のうちに「間違えないための数字の見方」を選ぶようになります。

「なぜそうなったのか」を考えるよりも、「どう言えば問題にならないか」に意識が向く。
すると、数字から何かを考える余白は失われ、月次決算の会話は報告と説明に収束していきます。管理しようとするほどに、数字は固定され、意味づけが止まり、結果として思考も止まってしまう。こうした構造が生まれやすくなります。

さらに言えば、「管理」という言葉には「コントロールできるはずだ」という期待が含まれています。しかし、実際の経営環境は想定どおりに動かないことのほうが多いものです。市場も、人も、タイミングも、完全に管理することはできません。その現実の中で管理を前提に数字を見ると、計画とのズレはストレスとして蓄積されていきます。

そのズレを減らそうとするほど、数字の見方が防御的になり、できるだけブレない数字だけを追うようになります。結果として、新しい兆しや小さな変化を拾いにくくなり、月次決算は次第に「未来を考える場」ではなく、「過去を整理する場」に閉じていってしまうのです。


会話が生まれる月次決算の見方

月次決算が本来持っている力は、「問いを生むこと」にあります。
この数字は、何を示しているのか。この動きは、どんな変化の兆しなのか。大切なのは、正解を出すことではなく、数字を起点に視点を共有することです。

たとえば、売上が計画を下回ったとき、「なぜ未達なのか」と問う代わりに、「どんな動きがあったのか」「どこが想定と違ったのか」と問いを置き換えるだけで、会話の質は大きく変わります。現場は事実を語りやすくなり、経営は状況を立体的に理解しやすくなります。

月次決算は、答えを出す場ではなく、仮説を育てる場だと考えると、数字の見え方が少し柔らかくなります。また、毎月同じフォーマットで見ることも重要です。形式が安定しているからこそ、わずかな違いや変化に気づくことができます。その気づきが、「今回はいつもと違いますね」「ここは少し変化が出てきましたね」といった、自然な会話につながっていきます。

数字が会話の起点になるとき、月次決算は評価の場ではなく、状況を共有の場に変わっていきます。


月次決算を前向きな材料に変えるためのポイント

月次決算を前向きな材料に変えるために必要なのは、見方を少しだけ変えることです。
数字をすぐに評価へと結びつけるのではなく、まずは事実として受け取り、その意味を一緒に考える。その順番を意識するだけで、月次決算の空気は大きく変わります。

数字は、誰かを裁くためのものではありません。状況を共有するためのものです。
状況が共有されれば、判断も自然と共有されやすくなります。月次決算が「管理の場」から「会話の場」に変わると、数字は人を縛るものではなく、人を支える存在になっていきます。

経営を数字とともに考えるとは、数字をただ信じることではなく、数字と対話することなのかもしれません。そう捉え直したとき、月次決算は少しだけ、身近で扱いやすいものに見えてくるのではないでしょうか。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。