今期を見通すため、
テコ入れする部分を洗い出す
有限会社まるみや ✕ bixider 岡憲一郎税理士
今回で5回目を迎えた有限会社まるみや ✕  bixider 岡憲一郎税理士(以下ビサイダー)の「bixider経営支援プロジェクト」。
原田社長
このプロジェクトに参加したことで数字を細分化して見ることの大切さを痛感し、これまで数字をアバウトに見ていた自分を反省しています。もっと勉強が必要ですね
いつも通りの謙虚な人柄がにじむまるみやの原田政直社長。
過去4回のミーティングの成果として、すでに原田社長は新たな施策や新商品の開発に取り組んでいますが、今回は伴走者を務めるビサイダーの提案により、以下のTASKに基づき、今期の売上目標を逆算で考えることになりました。
〈TASK1〉今期の売上目標を立てるため、テコ入れポイントを考える
〈TASK2〉利益を積み増していくための原価率を見直す
そして今回、「利益を生むため、全社一丸で守るべき指標ができた」と話す原田社長が示す“指標”とは、何を指しているのでしょうか。早速、ミーティングの模様をリポートしましょう。

厳しいながらも、通期の数字はほぼ目標に近いものに

いつものように「弁当」「寿司」「惣菜」の3カテゴリーに区分けされた「カテゴリー別売上高」の表をPC画面で共有し、ミーティングはスタート。
画面に映し出された表には、今期 第1四半期(11〜2月)の実績値が入力され、3月以降(残り8カ月)は前期実績の商品単価×販売個数をもとに算出した目標(見込値)額が入力されています。
原田社長
当社の財務担当が、前期の販売個数をもとに3月以降の見込値を入力していったところ、目標の数値より若干少ないながら、通期の数字はほぼ目標に近いものになりました。ただ、季節や月によって商品の売れ行きが違ってくる卸売は、目標数値を立てるのが少し難しかったようです
岡憲一郎税理士事務所(以下 ビサイダー)
難しかったけれど、原田社長が想定する目標値に近かったということでしょうか?
原田社長
近かったというよりは、この目標を達成しないと通期の売上がマイナスに転じる可能性もあるという厳しい現実を、あらためて思い知ることになりました
ビサイダー
今期を見通すうえで課題などは出てきましたか?
原田社長
そうですね、トキハわさだタウン店の第1四半期の弁当の販売個数が、コロナ禍の影響か前期より少し落ちている傾向にあるので、その落ち込み分を補填する対策を講じる必要性を感じているところです
ビサイダー
“ボトルネック”になりそうな部分が見えてきたら、すぐに“テコ入れ”するということですね
原田社長
実は、こんなふうにスピーディに対策を打てるようになったのも、bixidを使うようになってから。細かい数字と全体的な数字をつかめるようになったことで、油断すると目標は達成できないぞ、という緊張感をもって、数字と向き合えるようになったと感じています

弱い部分をテコ入れしながら、自主的に数字を創っていく

ビサイダー
対策とは、例えばトキハわさだタウン店の売上目標が通期で100万円減少すると想定した場合、その減少分をどのように補填するか、どんなテコ入れをするかといったことですね?
原田社長
そうです。3〜10月の目標を達成するには、弱い部分をその都度補強していかないと屋台骨に影響が出てしまいますので
ビサイダー
先ほど、卸売の目標数値を立てるのが難しかったとおっしゃいましたが、外注分の弁当の販売個数や平均単価も、季節のイベントによって変化しますよね?
原田社長
百貨店内に店舗を構えるトキハわさだタウン店やトキハ本店はB to Cが基本ですが、外注売上は、B to CだけでなくB to Bのさまざまなお客様からの直接のご注文で構成されています。過去の実績からも外注分は弁当の販売単価は高くなりますし、季節や月によって売上が違うので、通期の売上を見通す際に外注分を注視することも重要だと考えています
原田社長の言葉を受けてビサイダーは、部門別に区分けされた「売上計画」を提示しながら次のようにアドバイスします。
ビサイダー
一般的な会計ソフトでは、月の売上が単一表で管理されることが多いのですが、bixidでは売上、販売数量、平均単価をひとつの表で連動して表示することができるため、どこに問題や課題があるかがタイムリーにチェックできます。そうした点からも、数字を自主的に創っていけるメリットがあるので、外注、卸、トキハわさだタウン店、トキハ本店ごとの販売個数、平均単価、売上等を月ごとにしっかりモニタリングしながら、目標値をうわまわる数字を積み重ねていきましょう

原価率をしっかりコントロールしながら利益を積み増していく

するとここで、原田社長からある数値目標が提示されたのです。
原田社長
実は、弱点や強化すべきポイントが見えてきたことで、今期は全社でひとつの指標にこだわり、みんなの創意を結集して売上を創っていく方向性が定まったのです
—— まるみやが全社一丸で取り組む指標…。それは原価率を指します。
ビサイダー
前期の商品ごとに原価率を追っていくと、30%台や50%超のものなど商品によってバラツキがありますね
原田社長
原価率は本当に悩ましい問題ですが、原油価格の高騰に伴い包装資材も急騰しているうえ、食材の原材料費や配送の燃料費も上がっているので、今期の原価率は若干高めに設定せざるを得ないのが現状です。そのためやむを得ず、4〜5月から売価の見直しを図ることになりました
ビサイダー
ただ、原田社長が想定する原価率で今期を乗りきった場合、利益はプラスになる見込みになっていますが、原油価格の高騰、包装資材等の急騰などの要件で前期の原価率を上まわってしまうと、損益ギリギリになる可能性もあります
ビサイダーの助言に大きくうなずく原田社長は厳しい判断を求められる胸の内を吐露します。
原田社長
長い経験から原価率が売上を左右することは身をもって実感しています。そうしたなかでも採算度外視の姿勢を貫き、よりよい商品を低価格でお客様にご提供することに努めてきました。でも、大手メーカーさんの有名商品が続々と値上げしているいま、当社がここで値上げに踏み切らないとタイミングを逸してしまうのではないかという危惧もありまして…
ビサイダー
原田社長にとって値上げはつらい経営判断だと思われますが、第1四半期のまるみやさんの実績は、社長がおっしゃったとおりの高めの原価率で推移していますし、bixidでは売上に占める包装資材や原材料費の割合がひと目でわかりますので、売価を決める際にそうした数値を参考にすると、迷いなく適正な価格が決められると思います
原田社長
実は第1四半期の原価率は、是が非でも達成しないと利益は出ないぞと、従業員みんなで知恵を絞った、当社の総意が込められた数字でもあるんです。それに今後は据え置きしてもらっている借入金の返済も始まりますし、どんな逆風が吹くか予断を許しませんので、原価率をしっかりコントロールしながら利益を積み増していきたいですね
——「よりよい商品を、より安く」をモットーにするまるみやでは、愛される商品づくりに邁進するため従業員の知恵を結集し、これからもそのモットーを守り抜いていくことでしょう。
そうした想いを知れば、まるみやの看板商品である“コロッケ”も、いつもよりいっそう味わい深く感じられるかもしれません。

今回のPOINT!

・経営数値を常時チェックすることで、テコ入れの“場所”、“タイミング“を見逃さない
・外的要因が主な原因だが、内的要因も織り込んでの販売価格を決定
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売上増だけこだわると「どうすればより多くの個数を販売できるか?」に議論が集中しがちです。一方で利益増に意識を向けると「どうすればより多くの利益を確保できるか?」という議論に変わり、そこから原価率や利益率に目が向き始めます。利益からの逆算で売値を上げるという戦略は、企業経営にとって必要な利益を確保するための重要な一手です。今回の原田社長の選択が今後の利益にどう影響するかとても興味深いですね。
活用するbixidの機能
有限会社まるみや
大口ユーザーをもつ地域密着優良企業として、「食」を通した幅広い事業を展開。自社製造工場を持つ利点を生かし、老舗ながらも、新規サービスなどの事業拡大に意欲的に努めている。
代表取締役:原田 政直
本社所在地:大分県大分市
創業:1931年5月(昭和6年)
従業員数:約50人(本社・スーパー・工場)
事業内容:仕出し、弁当・惣菜製造・小売