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貸借対照表(B/S)を見るコツ

2021年 3月11日
経営分析 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。

年に1度の健康診断。無駄だとわかっていても、診断前の数日間だけダイエットに励み、診断日が過ぎると勝手に解放された気分になり、元の生活に戻るということを10年近く繰り返しています。
そして、診断結果を見て、「まぁ、次はなんとかしよう!」とまた翌年の診断10日前になるとスイッチが入ってしまうアラフォー男子です。
それはさておき、、、

決算書は「会社の健康診断書」といわれることがあります。意味が分かるドクターならγ-GTPやLDHなどの数値をみて健康状態の良し悪しを判断できるように、決算書もそこに書かれている意味がわかれば経営状態の良し悪しが判断しやすくなります。

そこで今回のブログでは、「会社の健康診断書」である決算書でも特に敬遠されがちな「貸借対照表」について、公認会計士や税理士じゃなくても理解できるコツをお教えいたします。

B/Sは会社の体

貸借対照表は別名、バランスシートと呼びます。バランスというと左右のバランスをイメージすると思いますが、貸借対照表を理解するためには左右もさることながら、上下のバランスもあります。
まずはこちらをご覧ください。

人間の体というよりは、ロボットみたいな感じになりましたが、バランスというキーワードにあわせて、左側と右側、上半身と下半身に分けてみました。
左側が資産、右側が負債&自己資本、
上半身が流動で下半身が固定といった表現になります。

人間の目の動きは左から右、上から下へ動く習性があるといわれていますので、皆さんも決算書を手にしたとき、自然と左上に目が行くと思うのですが、ここではそれに逆らってください。真っ先に見る癖をつけてほしいのが、右下の自己資本です。これを使って上下のバランスを確認します。

当然、自己資本のある右下は頑丈であることに越したことがありません。踏ん張る力と表現するとわかり易いかもしれませんね。この自己資本比率は30%以上が目安と言われています。例えば自己資本比率が5%程度だと、「足が短くてズボンがはけない(汗)」という感じです。
逆に無借金経営に近いと80%とか90%という自己資本比率になりますが、頑丈で足が長くてそのまま川や池を歩いて渡れるような強さを持っているというイメージなります。

体のバランスを見る

ここで、自己資本比率だけでなく、すべての経営分析指標の落とし穴について触れておきます。
今回取り上げた自己資本比率は30%以上が目安であることは間違いないのですが、その比率だけを見て安心してはいけません。“率”だけではなく“額”にも着目します。

額とは、右半身の総額(=身長)がいくらあっての30%なのかということです。総額(=身長)が100万円の30%と、1,000万円の30%と、1億円の30%では、突発的な事象への耐久力が違うことは想像に難くありません。これは、体の大きさが、小学生サイズなのか、大人サイズなのか、ガンダムのようなロボットサイズなのかくらいの違いがあるということです。自己資本比率が例え90%であったとしても、小学生くらいのサイズ感だと浅い川を渡るのにも一苦労します。一方で体格はガンダムくらいあったとしても自己資本比率が5%程度しかないと、足が動かず沼にはまってしまうことにもなりかねません。
率が「目安を超えているから安心」ではなくて、全体感のバランスを考慮したうえで財務分析を見る必要があります。

左右のバランスを見る指標に流動比率というものがあります。これは上半身の左右バランスを見るもので、目安は200%を超えると良いといわれています。左上半身には流動資産、右上半身には流動負債が表示されています。ちなみに流動資産、流動負債の流動とは、「1年以内」という意味があります。流動資産とは1年以内に現金になるもの、流動負債とは1年以内に支払いをしなければならないものが記載されています。

ここでもカギになるのは右側です。右側の流動負債、すなわち1年以内に払わないといけないものを100と置いたときに、左側の流動資産がどれくらいの割合なのか?というのがこの流動比率です。目安が200%ということは、つまり左上半身が右上半身の2倍あれば安心ということになります。逆に100%を切ってしまうとかなり弱々しい上半身をしている感じになります。

このほかにも、上半身の流動比率をさらに深堀りした「当座比率」、下半身のバランスをみるための「固定比率」や「固定長期適合率」などありますが、まずは、今日紹介した「自己資本比率」と「流動比率」を是非マスターしてみてください。

変化を見る

最後に、貸借対照表で一番大切なのは、2体の貸借対照表を並べて、1年前からどのように変化したかを比較することです。
1年前の自分と比較して、改善している点、悪化している点がわかるようになると貸借対照表を見るのが楽しくなります。

他にもたくさんの経営指標がありますが、まずは貸借対照表を人の体に見立てて簡単に理解できる自己資本比率と流動比率について解説しました。

上半身はムキムキなのに下半身は華奢すぎたり、上半身は細身なのに下半身は贅肉たっぷりだったりと、客観的にわかると効率のよいダイエットにつながります。
人の体も会社経営もバランスがとても大切です。健康診断直前にダイエットするのではなく、毎日のコツコツとした積み重ねがバランスのよい体を作る秘訣です。