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損益計算書(PL)を見るコツ

2021年 3月25日
経営分析 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。

会計の専門学校で簿記講座の教鞭を執っていた頃、“簿記”という言葉の由来についてこう話をしていました。そもそも簿記は海外から持ち込まれたもので、英語では「Book Keeping」と呼ばれており、「ブックキーピング」を略して「ブッキー」それを漢字で書くと「簿記」になったのです、と。
お察しの通り、だいたいシーン・・・とした感じで講義がスタートしていたのですが、新しいクラスがスタートする度に懲りずに話していたのを思い出す今日この頃です。
それはさておき、、、

簿記の世界では“左”を借方(かりかた)、“右”を貸方(かしかた)といいます。この由来は、明治時代に西洋から輸入された帳簿記入技術を、あの有名な福沢諭吉が翻訳した帳合之法(ちょうあいのほう)で、「debit」を借方、「credit」を貸方と、訳したためといわれています。単純に「左側」「右側」を「借方」「貸方」と呼んでいるだけで、「借りた」「貸した」という意味はありません。そのため私のブログでは左、右と書くようにしています。

それと同時に「黒字(in the black)」と「赤字(in the red)」という言葉の由来もこの西洋簿記から生まれた言葉と言われており、通常の帳簿には黒インクで書きますが、支出が収入よりも多くなってしまった際や借金をした際には赤インクで書いていたことから、収支がマイナスのことを「赤字」と言うようになったそうです。

経営者にとって「赤字」という言葉はあまり聞きたくないものですが、令和元年の国税庁の発表によると、法人税申告件数約300万件のうち200万件近くが赤字という結果になっています。「赤字のほうが多数派だから安心っ」と言ってる場合ではありません。赤字を放っておくと必ず倒産という末路が待っています。

赤字にならないためにはどうすればいいのか?赤字になってしまった場合には何をしないといけないのか?その問題を解決するためには、まずは「損益計算書」のメカニズムを理解することです。

支出を2つのグループに分ける

損益計算書には、一定期間の収入と支出の合計額が記載されています。単純に収入が多ければ「黒字」、支出が多ければ「赤字」ということですが、支出側の集計方法によって、制度会計を軸にした損益計算書と、管理会計を軸にした損益計算書の2種類が存在します。

制度会計とは法律に基づいて画一的に計算するもので、例えば平等な税金計算に使うためや、金融機関などの外部の人に提出するために作成されるものですが、正直言って面白くありません。なので制度会計を軸にした損益計算書については割愛します。

一方で管理会計とは、経営者自身のために作成する損益計算書で、別名「変動損益計算書」と呼ばれています。格好つけて「変動PL」と呼んだりします。PLとは損益計算書の略で、Profit and Loss statementの頭文字です。この変動PLの構造はいたって簡単で、下記の図のようになっています。

細かいことは抜きにして、ポイントは支出を2つのグループに分けることです。
支出①を変動費、支出②を固定費と呼んでいます。

変動費とは、収入に連動して増えたり減ったりする支出です。
例えば1個30円で買ってきたものを100円で売る場合の仕入原価30円/個や、10円/個の加工賃を外注先に払って完成させてから納品する場合はその外注費、ほかにも、発送するのに2円/個の送料がかかる場合にはその発送料が掛かります。
このように、売上を増やすためには必ず発生する支出のことを変動費と言い、専門用語では“原価”という言葉を使います。それぞれの会社ごとに変動費の内容は変わります。厳密なルールがあるわけではありませんので、経営者の感性で決めてください。

支出を順番に見ていく

ここで一旦、収入から支出①(変動費)を差し引きます。この差を「限界利益」と呼びます。いわゆる粗利と呼ばれるものですが、この時点で計算される限界利益率については、とても重要です。

同業他社はどれくらいの限界利益率を確保しているか?ということも大切ですが、それよりも自社の1年前、3年前、5年前の限界利益率は何パーセントだったのか?これからの未来、限界利益率を何パーセント確保するべきなのか?という、経営者自身の数字を持つことがとても重要です。限界利益率が上がったり下がったりする時は、何かしらのイベントが起こっているはずです。経営者の知らないところで限界利益率が動いている場合には危険信号だと思ってください。

次にこの限界利益から支出②(固定費)を差し引きます。プラスになれば「黒字」、マイナスになれば「赤字」です。
この固定費は「固定人件費」「戦略固定費」「一般固定費」3種類に分かれます。固定費の大半は「人件費」で、給与や賞与だけではなく社会保険料や福利厚生などの支出も含まれます。

ちなみに、限界利益に占める人件費の割合のことを「労働分配率」といい、限界利益の半分くらいの人件費だと労働分配率は50%ということになります。60%を超え始めると人件費が利益を圧迫してくるというイメージなります。

この労働分配率も経営指標の中では重要な指標の一つとなります。そのほかをざっくり説明すると、戦略固定費は積極的に使いたい支出、一般固定費はできればケチりたい支出といった感じです。これも経営者の感性で決めてください。

毎月確認することが重要

最後に、変動PLについてご説明します。
変動PLとは、前半戦が「収入vs支出①」、後半戦が「限界利益vs支出②」のタイトルマッチだと考えるとわかり易いと思います。費用を支出①(変動費)と支出②(固定費)に分解して利益を見る方法です。

さらっと重要なことを言いますが、年間を通してこのタイトルマッチの結果を毎月観戦している社長と、年1回しか観戦していない社長とでは、違いが出るのは一目瞭然です。単純に手数が違います。

最終的に黒字であればもっと黒字にするための追及を、もし赤字であればどうすれば赤字から脱出できるかを、それぞれ考える必要があります。
その方法は
・収入を増やす
・支出①を減らす
・支出②を減らす
非常にシンプルですが、この3つしかありません。

結果が分かれば、必ず打つ手があります。
損益計算書のメカニズムを理解し、手数を増やして「赤字」とは無縁の経営を目指しましょう。