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2025年問題から考える「事業承継」

2024年 4月18日
人材育成 ビジネス用語

社長の平均年齢を調査している帝国データバンクによると、調査を開始した1990年の平均年齢は54歳でしたが、2022年には60.4歳にまで上昇し、過去最高を更新しているそうです。また、50歳以上が8割を占めているという実態も明らかになりました。
そして、2022年の調査で「後継者難倒産」は過去最多の487件を数え、高齢化の一方で事業承継が進んでいない現状が明らかになりました。
参考:帝国データバンク「全国『社長年齢』分析調査」(2022年)


約22兆円のGDP損失が予想される「2025年問題」

先ほどご紹介した帝国データバンクの調査が開始されたのは1990年です。以降30年間にわたり社長の平均年齢は上がり続け、2020年にはじめて60歳を超えました。
出展:帝国データバンク「全国社長年齢分析」(2021年)

以降も2021年に60.3歳、2022年に60.4歳と上昇し続けています。日本企業の後継者不足は深刻な社会課題であり、このまま改善されなければ国内経済に重大な影響を及ぼすとされる「2025年問題」が現実味を帯びてくるでしょう。

「2025年問題」とは、2025年以降に団塊の世代が後期高齢者となり、超高齢社会を迎えることで発生する問題のことです。事業承継においては、経営者が70歳以上の企業が約245万社まで増加し、そのうちの約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面するであろうと予測されています。実際に廃業が起こった場合は、約22兆円と予想されるGDPの損失や約650万人の雇用の喪失など大きな経済的損失が生じることになります。


進まない事業承継の現実

社長の平均年齢が上昇を続ける一方で、社長の交代率は低い水準にとどまっています。

1991~1993年は一時5%近くまで上昇しましたが、1994年には4%近くまで下落し、その後は多少変動しながら緩やかに下がり低迷し、2022年には3.8%となっています。冒頭の帝国データバンクの調査でも触れた通り、「後継者難倒産」は過去最多の件数になっている点からも、事業承継を進めたいが進めることができない現状が見て取れます。その深刻さは、事業が黒字であっても廃業を選択する会社が多数存在するほどなのです。

事業承継は、資産はもちろん経営理念や精神などといった抽象的なものも受け継ぐことから、後継者は単に「社長」という肩書を手に入れるだけではなく、重い責任を負う現実への理解と、その覚悟が求められます。

かつては、家が事業をおこなっているのであれば、ほぼ義務のように子供が後を継ぐのが当たり前という風潮でした。しかし、近年は仕事や人生の価値観が多様化し、少子化が進んだことにより、このような従来型の事業承継は難しくなりました。

一方で、社会や経済が複雑化し、また国内市場が減少傾向にある中、いつ会社が危機的状況に陥るかわからない状況です。このような環境下で、「子供に苦労をかけたくない」という考え方に転じる経営者も出てきていることが、後継者不足に拍車をかけているともいわれています。


注目されている「FIRE」という生き方

社長の平均年齢が上昇し続ける一方で、「アーリーリタイア」の一種である「FIRE」という生き方もあります。

「FIRE」は「Financial Independence Retire Early」の頭文字を取った略語で、経済的に独立し、会社や仕事に縛られることなく、自由に人生を楽しむライフスタイルです。この「FIRE」を含む「アーリーリタイア」の考え方では、定年を待たずに仕事を辞め、それまでに形成した貯金や資産、退職金などで生計を立てていくことが基本とされています。

「アーリーリタイア」では完全に仕事から離れる必要があるため、それまでに必要な資産を若いうちから形成し始める必要があるのが特徴です。

経営者がアーリーリタイアを検討する場合、特に重要となるのは、会社と従業員に対する準備です。「会社を清算する」以外の選択肢をとるのであれば、引き継ぎという問題が発生します。

身内に引き継ぐ場合のハードルは比較的低いといえますが、身内以外に引き継ぐ場合は後継者の人選や引き継ぎ後の経営についても考えておく必要があります。特に、経営者自身も重要な実務を担当しているような中小企業では、早めに後継者の育成について考えておくと良いでしょう。

事業承継のためのDX推進

事業承継で引き継がれるものは大きく分けて「①人・②資産・③知的財産」の3つがあります。

①人 会社の経営権や従業員の承継
②資産 株式に加えて事業用資産や許認可の承継
③知的財産 経営理念や特許、ノウハウ、目には見えない人脈の承継

事業承継は経営権だけではなく、経営・事業に必要なあらゆるものを引き継ぐことになります。承継後もスムーズに経営を続けられるよう、経営状況や課題を後継者に伝えることが必要です。

そのためには、資産や経営状況を明確にする必要があるため、正確な決算書等の書類作成が不可欠となります。また、データでコストや経営判断の状況を残しておくことで、ノウハウの引き継ぎがスムーズとなり、事業承継を進めやすくなります。


まとめ

事業承継を進めるためにはさまざまな準備が必要となります。準備だけで数年~10年程度を要する場合もあるため、経営者は事業承継を考え始めたら早めに行動することが重要です。

準備を万全に整えることが後継者や従業員、取引先等の関係者の負担を減らすことにつながります。事業承継を成功させるために、余裕を持って準備にとりかかることをおすすめいたします。

株式会社YKプランニング
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マーケティング部