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今後はジョブ型中心に?経団連の構想

2021年 7月16日
人材育成 ビジネス用語

「働き方改革」という言葉が叫ばれるようになって久しい現在。リモート勤務やDXなど様々な分野での改革がますます加速していることは、実際に企業を経営している立場のみなさんがよくご存知でしょう。

実は、経営の重要なポイントである雇用にも「働き方改革」が及んできています。今回は現在広まりつつある新しい雇用の考え方について、ご紹介していきます。


「日本的雇用システム」に対する経団連の考え

2018年、経団連第5代会長である中西氏は定例記者会見にてこのような発言をしています。

「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることは限界がきている」(2018年5月7日定例記者会見、経団連発表)

彼はこの会見以外の場所でも「終身雇用」や「新卒一括採用」などについて度々発言しており、日本的な現在の雇用システムの限界やその見直しを強く意識していると当時から話題になっていました。

実際、2019年4月には、経団連と国公私立大学の代表者で構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が、新卒一括採用に欧米で主流となっているジョブ型雇用を取り入れていくという提言を出しています。

専門家の間では雇用システム全体が変化するのはまだ先になるという見解もありますが、すでに経団連を中心として日本的な雇用システムが変わろうとしているのです。


日本の主流・メンバーシップ型雇用とは

日本で主流となっている「終身雇用制」や「年功序列」、「新卒一括採用」といった雇用は「メンバーシップ型」と呼ばれます。このメンバーシップ型雇用は、簡単に言えば「人」に仕事をつけていくという働き方です。

メンバーシップ型雇用では、ポテンシャルや人柄などを判断基準として人を採用し、新卒から様々な業務を経験させながら個人の適正を見極めていきます。入社時にまとめて研修を行うことも特徴で、長い目で見て企業を支える人材を育てていくシステムといえるでしょう。

安定した雇用のもとで成長でき、勤務歴によって給与や退職金が変動するため、労働者は1つの企業に長く勤務することが基本となっています。

メリットの多いメンバーシップ型雇用ですが、専門職の人材が育ちにくく、これからのIT社会では世界に通用しないという見方もあります。


欧米の主流・ジョブ型雇用とは

それでは、経団連が提案している欧米で主流の「ジョブ型雇用」とはどのような働き方なのでしょう。

「ジョブ型雇用」では、先述したメンバーシップ型雇用と反対に「仕事」に人をつけるという考え方をします。企業側は求人をかける時点で業務や勤務地、給与などを明確に示し、労働者側はその内容と自分のスキルや希望を照らし合わせて応募します。

ジョブ型雇用では、事前に詳細な条件や業務が示されているため、企業側・労働者側双方のミスマッチを防ぐことができます。また、仕事にあったスキルをもとに採用するため、専門分野に強い人材をピンポイントで採用することが可能です。専門的な業務を高いレベルで進めていく必要がある場合には、まさにうってつけの雇用形式と言えるでしょう。

しかし一方で、他社と業務内容が同じ場合にはより条件が良い方に転職されやすい、会社側の都合で労働者を動かすことが難しいといったデメリットもあります。求める人材に関する市場相場の把握や採用条件の工夫など、より良いマッチングのためには企業側の努力も必要となるでしょう。


まとめ

欧米と比べると、日本の転職市場は未だ活発とは言えません。そのため、今回ご紹介したようなジョブ型雇用が定着するのはまだ先になるという考えもあります。

しかし、ここ近年の社会変化のスピードから見ると、準備をしておくのに早すぎるということはないでしょう。今後さらに人材不足が進む日本で優秀な人材を確保するためにも、経団連を中心とした雇用形態の変化にもアンテナを張っておくことをおすすめいたします。