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【決算書で見る】マクドナルド V字回復の戦略②

2021年12月 6日
経営分析 トレンド

過去に業績低迷でどん底を味わった大手ファストフード店マクドナルドの知られざる業績秘話について、3回にわたって決算書を交えながら紐解いていくこのブログ。
第1回目
では、マクドナルドの業績悪化の要因とV字回復の推移を数字で見ていきました。

第2回目となる今回は、V字回復の要因と戦略について紐解いていきます。

参考URL:https://www.mcdonalds.co.jp/company/outline/kessan/


大きな打撃を受けた事業をどのようにV字回復させたのか

様々な問題から業績悪化が続いたマクドナルドは、どのようにしてV字回復することができたのでしょうか?
まずは前回のおさらいとして、2013年~18年にかけての利益推移を見てみましょう。

売上高を見ていくと、2013年に2941億円、2014年に2598億円と前年比11.7%減。さらに2015年、2016年と売上減が14%超えとなっています。

前回ご説明した通り、売上低下の原因は「価格破壊戦略への転換」と「使用期限切れ鶏肉問題」の大きく2つにありました。

しかし、2017年には前年比119.6%増の2266億円を達成。2018年には111.9%増の2536億円で2期連続の大幅回復となりました。

営業利益も順調に回復しています。2017年は70億円。2018年は282.9%増の198億円を達成。2014年~2016年は多くの問題で大幅な減収減益となっていた時期でしたので、2017年を境にV字回復を遂げたと言えます。


フランチャイズ店舗を増やす原点回帰戦略


かつて原田泳幸氏のマクドナルド経営では、フランチャイズ店を増やす一方で「地区本部制」を廃止し、トップダウン方式である中央集権型の経営方針にシフトしていきました。

それにより、2011年には過去最高の営業利益281億円まで達しました。しかし、方針すべてを本部が命令する中央集権型では地域ごとのニーズに対応しきれなかったこともあり、2013年以降は業績が低迷します。

その後、2013年8月にカサノバ氏が社長に就任し、「地域に根ざした地域密着で権限委譲して経営を行うことがよい」ということで、「地区本部制」が復活しました。これにより、マーケティングや人事、店舗戦略まで地区本部が担い、改革のスピード感を高め、大きな効果を上げました。本来のマクドナルドの経営方針に戻すという宣言だったのかもしれません。

その間に、上述でご説明させていただいた「使用期限切れ鶏肉問題」が起こり大幅な業績低迷になります。

しかし、カサノバ氏の基本戦略は変わらず、直営店方式からフランチャイズ店に経営の重心を少しずつずらしていった結果、2016年を底にして2018年までに業績を完全に回復させるに至りました。

特筆すべきは売上高を抑えつつも、問題の起こる2014年以前よりも当期純利益を上げている点です。

カサノバ氏のタウンミーティングやユーザーが店舗を評価するためのアプリ「KODO」などのリリースもフランチャイジーの経営にヒントを与えたのかもしれません。


未曽有の業績悪化だからこそ投資を優先


V字回復を遂げたもう一つの要因は、業績悪化に際しても継続されていた積極的な宣伝投資と設備投資がありました。

会社の安全性を示す「自己資本比率」は、2013年には16.8%あったものが、2014年には7.9%と前年比と比べて8.9%も低下しています。しかし2017年から比率を少しずつ伸ばしています。

この業績低迷の中、なぜ投資を継続し、またどのくらい投資をしていたのでしょうか。

その答えは、損益計算書にある「有形固定資産」「販売費及び一般管理費」を見ることでわかります。


まとめ

第2回目の今回は、マクドナルドの業績悪化からV字回復を遂げた要因と戦略を見ていきました。

次回は、業績が低迷していた状況での追加投資と、それを実現するための資金調達について紐解いていきます。