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今更聞けない「従業員一人当たり○○」

2022年 9月 8日
組織強化 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない簿記・会計の用語として「従業員一人当たり○○」についてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

今期は順調に売上も伸びているけど、その分スタッフの業務量も増えているので来期にむけて何人か新しいスタッフを採用しようと思うんだけど、数字的にはどう考えればいいのかな?
そうですね。適正な従業員の人数を見る指標として「従業員一人当たり売上高」というものがありますね。
それって、売上高を従業員数で割ったらいいのかな?
そうです。単純な経営指標なんですけど、実はこれって意外と使えるんです。せっかくですので、今日はこの「従業員一人当たり○○」という指標について解説していきますね。


「従業員一人当たり売上高」

「従業員一人当たり売上高」とは、年間の売上高を従業員数で割って計算したものです。

従業員一人当たり売上高 = 年間の売上高÷{( 期首従業員数 + 期末従業員数 )÷2}

 この時に使用する従業員数は、期首時点の従業員数と期末時点の従業員数の平均値{(期首人数+期末人数)÷2}を使用します。これは、一定期間(通常は1年間)の売上に対して、とある時点(例えば決算時点)の人数だけで計算するのは正確性に欠けるということから、その期間の期首と期末の中間値を取って計算されるのが一般的です。

 例えば、年間の売上高が1億円、従業員数は期首5名、期末5名(従業員の増減無し)の場合は以下の通りとなります。
少々古いデータですが、2007年10月最終更新の経済産業省商工業実態基本調査によると、以下の分析結果となっているようです。(出典
その名の通り、“従業員”とありますので、基本的には役員の人数は除外して計算されています。

この表をご覧いただいてもわかる通り、実はこの指標は業種・業界によって大きな差があります。利幅の少ない卸売企業は、少ない人数で多額の売上を上げるので高い結果になりますし、設備投資もあまりなく、経営に必要な経費はほとんどが人件費である飲食企業は低い結果になっています。

よって、一概に単体の分析結果だけで「よい・わるい」の判断はできない指標です。しかし、過去の自社の結果を数年間並べてみることで「増加傾向にあるのか?」「減少傾向にあるのか?」を把握することが重要となる指標です。


採用活動をおこなう際に活用しよう

冒頭の会話に「今期は順調に売上も伸びているけど、その分スタッフの業務量も増えているので来期にむけて何人か新しいスタッフを採用しようと考えているんだけど、数字的にはどう考えればいいのかな?」と、ありました。

先ほどの 1億円÷(5人+5人)÷ 2 = 2000千万円/人 が今期の分析値だとします。
続いて、来期の見込み売上は1億3000万円(前期比1.3倍)、来期に2名の従業員を採用予定、だとすると、来期の「従業員一人当たり売上高」は次のようになります。

【2人採用する場合】 1億3000万円÷{(5人+7人)÷ 2 }= 2166万円/人

となりますので、2人採用しても前期より「従業員一人当たり売上高」は高い結果になります。したがって、来期中に2人採用するのは「断然アリ」と判断することができます。

さらに、来期中に3人または4人の採用をすると仮定した場合は、以下のようになります。

【3人採用する場合】 1億3000万円÷{(5人+8人)÷ 2 }= 2000万円/人
【4人採用する場合】 1億3000万円÷{(5人+9人)÷ 2 }= 1857万円/人

3人採用した場合は、当期と同じ2000万円なので「アリ」かも・・・
4人採用した場合は、当期よりも低い1857万円なので「要検討」といった感じでしょうか。

これは、あくまでも来期の売上が前期比1.3倍を見込めるという想定で計算したものです。なので、固くいけば2人、さらに2年後3年後を見越して攻めるのであれば、“最大4人”といった意思決定を補ってくれる経営指標となります。
もし、来期の売上が前期比1.3倍に届かなければ、4人の採用というのは少々リスクが高めだという判断になりますよね。


自分の感性に合った「従業員一人当たり○○」を見つけてみよう

今回は、一般的で一番わかりやすい「売上高」を平均従業員数で割りましたが、これを応用すると「従業員一人当たり限界利益」や「従業員一人当たり経常利益」、さらには「従業員一人当たり人件費」や「従業員一人当たり有利子負債(借入金)」など、過去の決算書の数字を数期分並べて比較してみると面白い結果が見えてきます。
など・・・

「従業員一人当たり○○」だけでなく、あらゆる経営指標は他社(ライバル)との比較も悪くありませんが、自社の過去との比較をおこなうことで、経営者自身がしっくりくるモノサシを持つことのほうが大切です。

これを機会に、自分ならではの「従業員一人当たり○○」を見つけて、経営の見える化を図りましょう。

今回は、今更聞けない「従業員一人当たり○○」について解説しました。

まだまだ他にもたくさんの財務分析が存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので是非ほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。