経営理念の簡単な作り方と具体的な手順とは?
こんにちは、YKプランニング管理本部長であり公認会計士の丸山です。
あなたの会社には、経営理念があり、その思いが従業員に浸透していますか?
経験則からすると、特に小規模の中小企業経営者は、
「そもそも経営理念なんてないよ。」
「経営理念を作って何か意味あるの?」
「一応あるけど、従業員に話したことないな?」
など、経営理念を軽視した回答が返ってくることが多いです。
そもそも、経営理念とは、『何のために経営をするのか?』という根源的な質問に対する答えです。これは、経営者の経営の目的、経営への考えや思いを言語化したものでもあります。
では、どうして経営理念が必要なのでしょうか?
経営理念が必要なのは、人の思いを引き出すことと、目的を明確にすることが、企業経営にとって、とても重要だからです。
例えば、経営理念には、次のような効果があります。
① 経営の目的と意義を明確にでき、経営者の意思が固まる
② 従業員に経営者の意思が明確に伝わり理解される
③ 従業員の日常的な判断基準になり、正しい行動へと導く
とはいえ、これだけの効果があったとしても、経営理念を作成していない中小企業がまだまだ多く存在するのも事実です。
そこで今回は、私がおススメする『経営理念の簡単な作り方と具体的な手順』を紹介します。
経営理念の簡単な作り方と具体的な手順とは?
先に申し上げておきますが、中小企業が経営理念を簡単に作る方法と具体的な手順は次の4つのステップだけで十分です。これ以上のことを深く考えてもきりがありません。
まずは、4つのステップを表計算ソフトに整理することからスタートしてみましょう。
きっと自社固有の「経営理念」を作成できるはずです。
【Step1】 他社の経営理念の事例を参考にしよう
【Step2】 経営者自身の考えをアウトプットしよう
【Step3】 経営理念の案を3つ作成しよう
【Step4】 経営理念を1つに決定しよう
【Step1】他社の経営理念の事例を参考にしよう
最初のステップは、『他社の経営理念の事例を参考にする』ことです。
これをおススメするのは、いきなり経営理念を自力で作成できる人はほとんどいないからです。確実に手が止まります。ですから、経営理念を自身で考える前に、まずは他社がどのような経営理念を掲げているのかを参考にすることが重要です。
確認する方法は、WEB検索で十分でしょう。
『経営理念 具体例』『経営理念 事例』『経営理念ドットコム』などのキーワードで検索してみましょう。きっとあなたの考えに類似した、お気に入りの経営理念が見つかると思います。
あとで一覧が見られるように、表計算ソフトにサクッと整理してみてください。
【Step2】経営者自身の考えをアウトプットしよう
次のステップは、他社の経営理念の事例をいくつか参考にしながら、『経営者自身の考えをアウトプット』することです。
具体的には以下の3つのポイントに留意しながら、考えや思いをアウトプットするとよいですね。
① 会社は何を目的に存在し、社会にどんな価値を提供したいのか?(ミッション)
② 長期的(10年くらい)に、どんな会社になりたいか?(ビジョン)
③ ①と②を実現するために、大切にしたい経営者・従業員の行動指針(バリュー)
この段階のアウトプットは、アイデアなので、できるだけ数が多い方がいいです。また、具体的に記述することを心掛けましょう。こちらも表計算ソフトに具体的に整理してみてくださいね。
【Step3】経営理念の案を3つ作成しよう
さて、このステップは、上記のステップ1・2で整理した他社の経営理念の事例や経営者自身の考えをもとに、『経営理念の案を具体的に3つ作成する』ことです。
いきなり、これで決まりだー!!とバシッと1つだけ作成することは難易度が高いです。
まずは細かいことは気にせずに、3つの案を作成してみましょう。
作る案の数は3つ以上作成する必要はありません。
数多く作成しても、逆に考えがまとまりにくくなってしまいますからね。
【Step4】経営理念を1つに決定しよう
最後のステップは、作成した3つの案をもとに、『経営理念を1つ決定する』ことです。
この時、3つの案の中に、共通している考えや大切にしたい考えがないか探してみることは重要です。共通している考えや大切にしたい考えが発見できれば、必ず経営理念に織り込みましょうね。
最終的には、3つの案の中から、1つを決定してもいいでしょうし、3つの案のいいとこどりをして1つに仕上げる方法もあるでしょう。
ここで重要なポイントは、1度作成した経営理念は、しばらく寝かせることです。
時間をあけて再度確認すると、別の言い回しを思いつくこともあれば、文言の追加、削除に気づくこともありますからね。
また、客観的な視点を織り込むことも忘れないようにしましょう。
信頼できる経営幹部や社外の人に、分かりにくい点や何かおかしな点がないかを確認してもらいましょう。自身では気付かない客観的な意見はとても貴重です。
まとめ
今回は、『経営理念の簡単な作り方と具体的な手順』を紹介しました。
極端にいえば、他社の経営理念をそのまま使えば、誰でも経営理念を作れます。
ですが、従業員の心を動かし、経営者の意思を貫くためには、やはり、自社固有の「経営理念」を作成する必要があるでしょう。
この作業は容易ではありませんが、他社の事例を参考にしつつ、言い回しに固有のエッセンスを織り込むだけでいいのです。それは、あなたの会社固有の素敵な経営理念ですよ。
経営理念を決めることは、会社の存在意義、価値観、将来の目標を決めることであり、組織に一体感をもたらす極めて重要な要素です。
経営理念を作って、あなたの描く未来を従業員と共有してみませんか?