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今更聞けない「仕訳(しわけ)」

2022年10月27日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない簿記・会計の用語として「仕訳(しわけ)」についてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

今後もっと数字に強くなりたくて、空いている時間で会計のことを勉強してみたいと思っているんだけど、そもそも「仕分け?(しわけ)」って何ですか?
社長!「仕分け(しわけ)」ではなくて「仕訳(しわけ)」です!そっちの「仕分け」だと、荷物の振り分けのことになってしまいます。会計にでてくる「仕訳」とは、一言でいえば「メモ書き」ですね。
「メモ書き」ってどういうこと?
会社がおこなった“取引”を集計して損益計算書や貸借対照表を作成するために、その“取引”のひとつひとつを一定のルールで「メモ」として書き起こすこと、それが「仕訳」です。

この「仕訳(メモ書き)」のルールがわかると、どのようにして損益計算書や貸借対照表ができあがっているのかをより深く理解できるようになります。ですが、私としては社長自身がこのルールを細かく覚える必要はないと思います。

ただ、せっかくですので、経営者として「仕訳」について、これだけは知っておいて損はない「仕訳とは・・・?」について説明していきましょう。


「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」

この世には日本語のほか英語や中国語などがあるように、簿記の世界にも「簿記語」というものがあります。その代表格として「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」というものがあります。
英語でいうところの「This is a pen」や「That is a table」と同じくらい最初に通らなければならない「簿記語」です。

Thisは“これ”、Thatは“あれ”という意味であり、それ以上のことを深く考えたことはないと思います。この「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」にも全く深い意味はなく、

ただ単に
という意味として覚えましょう。

これは“借りた”とか“貸した”とかの行為を表すものではなく、単に左右を表現するための簿記語です。
ちなみに、最初はどっちが左でどっちが右かわかりづらいので、こう覚えましょう。
言葉としては、たいした意味はありません。しかし、実は会計ではこの「借貸(かりかし)=左右」がとても重要になっています。

仕訳帳、総勘定元帳、試算表、損益計算書、貸借対照表、全てに“左右の概念”をもっており、それらを作成する最初の「メモ書き」も必ず「左が何で右が何」というルールに基づいて作成されます。

このように左と右に必ずメモ書きをすることから「複式簿記」と呼ばれます。
(※ちなみに、家計簿には左右の概念が無いので「単式簿記」と呼ばれます)


仕訳の構造と仕訳がもたらす効用

会社がおこなった取引をひとつひとつメモとして書き起こすことを「仕訳」といいましたが、そのことを「仕訳を切る」とか「仕訳に起こす」といいます。1取引につき1仕訳という原則があります。単位は“本(ホン)”を使うのが一般的です。

会社の規模や業種によって仕訳の本数は全然違いますが、月100本程度から、大企業になると月10万本を超える仕訳を切っているケースもあります。つまり、取引が多ければ多いほど、仕訳の本数が増えるということになりますが、その仕訳を切る際のルールが3つほどあります。

1. 左右に分けて記載する
2. ある程度統一された勘定科目を使用する
3. 日付・金額・摘要の3点セットで記載する

(仕訳の見本)
会社がおこなうあらゆる取引が「仕訳」として書き起こされ、それが会計ソフトに入力されて試算表や損益計算書、貸借対照表ができあがります。
実際に自分の会社は月間何本程度の仕訳が切られているか、もし興味があれば経理スタッフや会計事務所の担当者に聞いてみましょう。

さて、この“左右に分けて記載する”というルールがもたらす効用として「ミスを見つけやすい」、さらには「不正を発見しやすい」ということが挙げられます。

この「複式簿記の仕組み」、つまり「左右に記録する」という構造は左から入り右に出ていく、または右から入り左に出ていくといった感じで、お金やモノの流れが表現されています。この流れを追いかけていくことで会社が行った取引を全て把握できる仕組みになっています。

よって、仕訳をみれば間違いがわかるし、もし意図的に不正をしたとすると、変な仕訳が存在したり、またはその逆で仕訳が全く切られていなかったりということが判明します。
(※税務調査などではこの仕訳をチェックしています。)


仕訳が切れるスキルとそれを読み解くスキル

簿記とは「帳簿記帳の技術」という意味です。簿記3級や2級というのは、その簿記の技術を証明したもので、持っているに越したことはありませんが、経営者としては必須のスキルではありません。むしろ経理スタッフが持つべきスキルです。

簿記会計のスキルとは、大半がこのメモ書きたる仕訳を切る技術であり、あとはほとんど会計ソフトが作業をしてくれます。つまり、最初のメモ書きさえしっかりできれば仕事としては十分に成り立ちます。

ただし、経営者は仕訳のルールを知っていることに越したことはありませんが、私としては仕訳とは会社の1つ1つの取引を「メモに起こしたもの」というくらいの認識で十分だと思っています。
むしろそれよりも、1年分の仕訳をもとに作られる損益計算書や貸借対照表、または1か月分の仕訳をもとに作られる試算表をどのように読み解くか、それらをこれからの経営にどう活かすのかというスキルを身に着けることのほうが重要です。

仕訳が早く切れれば、おのずと試算表や損益計算書、貸借対照表は早くできあがります。
それらがなかなかできないのは単に「仕訳が早く切れない」だけです。つまり「メモさえとれない」という残念な経理担当(または会計事務所)ということを意味しています。

たかが仕訳、たかがメモ書きのように聞こえるかもしれません。しかし、この「仕訳=メモ書き」が、会社の存続を左右しているとても重要なものであることを理解することが、経営者として「会計を理解している」ということになるのではないでしょうか。

もし「仕訳」でお困りの場合は、「メモ書きのスキルが高い」税理士・会計事務所に相談してみましょう。

今回は今更聞けない「仕訳(しわけ)」について解説しました。

まだまだ他にもたくさんの会計用語が存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので是非ほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。