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技術やノウハウの承継問題と解決のポイントとは?

2023年 1月19日
業務改善 人材育成

こんにちは、YKプランニング管理本部長であり公認会計士の丸山です。

会社が持続的・安定的に高品質な商品・製品・サービスを消費者に提供し続けるには、ベテラン社員の技術やノウハウをしっかりと若手社員へ承継していかなければなりません。

ところが、技術やノウハウの承継がなかなか進まず、困っている経営者もいるのではないでしょうか?
コツコツと積み上げてきた技術やノウハウを次世代社員に承継できないことは、会社にとって大きな打撃となります。

そこで今回は、技術やノウハウの承継が進まない理由とその解決ポイントを紹介します。

技術やノウハウの承継が進まない理由

ここでは、技術やノウハウの承継が進まない理由を3つ紹介します。

ベテランが忙しくて承継の時間が確保できない
まず、現在の労働環境は人手不足のうえ、働き方改革により労働時間にも制約があります。そのため、現場では効率性が重視される環境だといえます。
特に、ベテランは難易度の高い業務をおこないながら、効率性も求められるため、多忙を極めています。このような環境では、ベテランの技術やノウハウの承継が進みません。
目の前の業務で手一杯となり、技術やノウハウの承継は後回しになりがちです。

②技術やノウハウが専門的であり、本質を理解することは難しい
ベテランの技術やノウハウは専門的で難しく、若手がさらっと目で見て覚えられる類いのものではありません。
そのため、技術やノウハウを動画、画像、言語化して丁寧に表現しなければ若手が理解できないことが多いでしょう。
また、細かな技術やノウハウを習得したとしても、その本質や全体像を理解するまでには相当な時間がかかります。そのため、短期間でいっきに承継を進めたとしても、想定する成果が得られないこともあるでしょう。

属人化を容認して承継の仕組みが未整備である
そもそも、技術やノウハウの属人化を会社が容認していて、若手に共有する仕組みがないとすると、承継したくてもできない環境です。これは、技術やノウハウを保有するベテラン個人の問題ではありません。
経営者自らが、技術やノウハウを共有する仕組みをしっかり整備し、なぜ技術やノウハウ承継が会社にとって重要なのかを全社員に向けて発信する必要があるでしょう。


技術やノウハウの承継の解決ポイント

では、これらの課題を解決するには、何をすればよいのでしょうか。
ここでは、技術やノウハウの承継を進めやすくするためのポイントを紹介します。

3つのポイントを意識すれば、承継に対する理解や取り組む姿勢の見直しになるかもしれません。

【Point1】 技術やノウハウを動画にする
【Point2】 技術やノウハウを共有する仕組みを作る
【Point3】 技術やノウハウを段階的に教える


【Point1】技術やノウハウを動画にする

ベテランが目の前の業務で手一杯ならば、技術やノウハウの承継は後回しになります。これでは、通常の業務時間内に若手に手取り足取り教えることは難しいです。
この点、ベテランの技術やノウハウを動画で撮影し、若手に承継していくことは有効な手段です。

もちろん、画像や言語による紙マニュアル作成も承継手段として有効です。しかし、どうしても画像や言語では伝わらない、長年の経験による技術やノウハウもあります。
例えば、視線、細かい動作、タイミング、スピード感といったものはマニュアルではなかなか表現できないでしょう。

そのため、対面による承継時間がとれないベテランにとって、動画を活用した手段は有効だといえます。場合によっては、動画作成に対してインセンティブを検討してもよいでしょう。
将来の会社経営にベテランの技術やノウハウの承継が不可欠だと思うならば、多少のコストは許容範囲ではないでしょうか。

【Point2】技術やノウハウを共有する仕組みを作る

技術やノウハウを動画やマニュアルにまとめるだけでは意味がありません。実際に若手がしっかりと理解し、技術やノウハウとして受け継いでこそ意味があります。
例えば、技術やノウハウを社内で共有するためのツールを活用することも考えられます。

動画やマニュアルがいつでも若手に共有されている環境ならば、理解できない箇所をピンポイントでベテランに質問することができ、承継活動も効率化するはずです。質問のやりとりの中からベテランと若手がコミュニケーションをとり、一歩踏み込んだ勘や経験の話に発展することもあるでしょう。

また、承継をおこなう中で思わぬ改善点が見つかることもあるかもしれません。そのような気づきや発見をうまく現場に取り入れ、会社全体の品質向上や業務効率化につなげることもポイントの一つです。

【Point3】技術やノウハウを段階的に教える

ベテランの技術やノウハウは専門的で難しいことは先述しました。そのため、順序を意識せずにバラバラに承継しようとすると、全体像や本質の理解にとって悪影響があるでしょう。

なにごとも初歩から基本、基本から応用という順序があります。段階的に承継することで若手の混乱を避け、技術やノウハウの承継はスムーズになるでしょう。
また、初歩的なことから順番に覚えていくので、段階ごとに定期理解度チェックをすることも効果的です。

可能であれば、技術やノウハウの継承計画を立てることも重要です。
例えば、技術やノウハウの習得スケジュールを体系化し、ベテランと次世代社員の双方が納得したうえで、承継内容・承継手段・承継時期を決めて進めるとよいでしょう。手順とスケジュールの解像度アップは、次世代社員のキャリアパスを体系化でき、モチベーション維持につながります。


まとめ

ベテランの技術やノウハウの承継問題が喫緊の課題であるにもかかわらず、承継が進まない理由は何なのか、承継するポイントは何なのかをしっかり整理して進めている経営者は意外と少ないかもしれません。

承継活動は非常に大変で簡単ではないことはよく理解していますが、それをやりきる最も重要な動機を挙げるならば、『長期的な会社存続』だと思います。

ベテランの技術やノウハウの承継が、長期的な会社継続にとって必要不可欠なのです。
将来の持続的な会社経営のために、ベテランの技術やノウハウ承継をもう一度見つめ直してみませんか?