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ARRとは?MRRとの違いと計算方法

2023年 6月29日
営業/マーケティング ビジネス用語

ARRは、SaaSなどのサブスクリプション型のビジネスモデルにとって、的確な経営判断をするための非常に重要な指標です。自社の成長度や将来性を正しく測るためにも、ARRの概要と計算方法をきちんと把握したうえで活用する必要があります。
今回は、ARRとは何か、そしてMRRとの違いやARRの計算方法についてご紹介します。


「ARR」とは

ARRとは「Annual Recurring Revenue」の略であり、「年間経常収益」とも呼ばれます。

毎年決まって獲得できる収益を意味し、特にSaaSなどのサブスクリプションビジネスの成長を把握する指標としてKPI設定されます。
損益計算書上の売上高との違いは、初期費用や追加購入費用などの一時的な売上を含めない点です。あくまでも経常的な売上のみを要素とする点に注意しましょう。

<ARRに含める要素>
・月額利用料などの経常的な売上
・既存顧客のアップグレード、アップセルにより増額となった経常的な売上
・既存顧客のダウングレード、ダウンセルにより減額となった経常的な売上
・解約によって失った経常的な売上

<ARRに含めない要素>
・初期費用などの一時的な売上
・オプションなどの単発の売上
・コンサルティング売上
・年間契約のような一括課金による売上(12で割って計算)


MRRとの違い

類似する指標として「MRR」というものが存在します。

MRRとは「Monthly Recurring Revenue」の略であり、「月次経常収益」とも呼ばれます。
ARRは毎年決まって獲得できる収益ということに対し、MRRは毎月決まって獲得できる収益を意味します。

ARRは長期的な計画の検証やビジネスロードマップの評価をする際に役立つのに対し、MRRは短期的な変化を分析するのに向いており、各施策の効果を測定するのに向いています。

<ARRが重視されるケース>
・年間契約のサービスが多い
・企業全体の成長率を把握したい
・顧客の定着率(解約率)を把握したい 

<MRRが重視されるケース>
・サービスの成長率を把握したい
・売上アップの要因分析をしたい
・月間売上の増減が安定していない

一般的には、音楽や動画の配信サービスなど、契約が月単位あるいは1年未満のものが多い場合にはMRR、企業向けのSaaSなど年間契約が発生する場合にはARRが重視されます。ビジネスモデルによってどちらを重視すべきか異なるため、自社のサービスや分析の目的に合わせて選択しましょう。


ARRの重要性

冒頭でも述べた通り、ARRは企業の成長度や将来性を正しく測るうえで有効な指標とされています。ここでは、ARRの重要性を3つご説明します。
1.売上見込みと成長度を把握できる
サブスクリプションビジネスでは、単にその月の売上が高いか低いかで成長性を評価することは難しいです。そのため、一時的な売上の変動を追う従来の指標よりも、どれほど契約数・解約数が安定して発生しているのかを1年通して按分したARRであれば、成長度を把握しやすくなります。

2.将来予測に役立つ
ARRは一時的な収益や損益をできる限り除外し、平均的に毎年どのくらいの売上が発生するかを予測した指標です。そのため、このまま経営を継続することによって、来期以降に見込まれる売上として、将来予測の際に活用することができます。

3.投資家の判断材料になる
先述したように、ARRは企業の成長性や将来性を評価するベースとなることが多いです。
そのため、サブスクリプションビジネスにおける資金調達の際、バリュエーション(企業価値評価)の算定において、ARRが使われることが多い傾向にあります。


ARRの計算方法と改善策

ARRはMRRを12倍(12カ月分)にすることで計算できるため、まずはMRRを計算します。MRRの算出要素には次の4種類があります。

(1)New MRR
新規顧客から得られた売上のことです。サービス開始当初のような、特に新規獲得に力を入れているタイミングで重要な指標です。

(2)Expansion MRR
既存顧客のアップグレードやクロスセルにより増加した売上のことです。ユーザー数が増えてきた際に重視すべき指標で、既存顧客に対するマーケティングや上位プランの見直しによって向上します。

(3)Downgrade MRR
既存顧客のダウングレードによる損失のことです。これが高いと、上位プランの設定や内容、価格に問題がある可能性が考えられます。

(4)Churn MRR
その月の解約(チャーン)による損失のことです。解約率を下げることは非常に重要です。Churn MRRには常に気を配るようにしましょう。

これら4種類のMRRを用いてARRを算出するのですが、サービススタート月とその翌月以降においては計算式が異なります。
ARRは基準とする月によって大きく変わることがあります。キャンペーンや外部要因により突発的に売上が高くなる月を基準にしないよう注意しましょう。

ARRを改善するには、上記計算式からもわかるように、新規顧客獲得と既存顧客のアップセルによる売上増加、もしくはダウングレードや解約率の防止の施策をおこなう必要があります。ARRの数値が思わしくない場合は、各MRRの数値を把握し、事業が抱える課題に合わせて改善策を検討しましょう。


まとめ

今回は、ARRの概要とMRRとの違い、そしてARRの計算方法についてご紹介しました。

同じ悩みを抱えている企業でも、サービスの性質により改善すべきことは変わってきます。
まずはARRとMRR、これらにかかわるさまざまな指標を可視化し、自社の課題をハッキリさせましょう。