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労働分配率とは?適切な利益を図る指標について解説

2024年11月 7日
経営管理 会計・財務

こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。

皆さん、日々の経営の中で「このままの給与水準で大丈夫だろうか?」とか、「もっと従業員に報いたいけれど、利益が追いつかない…」と悩まれることはありませんか?

企業の持続的な成長には、利益の確保と従業員への適切な給料とのバランスが不可欠です。そんな時にひとつの指針として使えるのが「労働分配率」です。売上を伸ばすのはもちろん大切です。しかし、それと同じくらい大切なのは、社内のリソースをどれだけうまく活用できているかを知ることです。

今回はこの視点で、自社の健全な成長を確認する指標のひとつとして、労働分配率についてお話しします。


労働分配率とは何か?付加価値とは?

労働分配率とは、企業の付加価値に対してどれだけの割合が人件費に充てられているかを示す指標で、労働分配率は、以下の計算式で算出されます。
「労働分配率 = 人件費 ÷ 付加価値」

この指標は、従業員の給与や福利厚生が、企業が生み出す価値(売上総利益や営業利益)に対してどのくらいの割合を占めているかを示し、経営の健康状態を把握するために非常に重要です。

労働分配率を解説する際に使われる「“付加価値”」とは、「企業が独自に生み出した新たな価値」を意味します。具体的には、売上高から仕入や外注費など、外部から調達したコストを差し引いたものです。

たとえば、製造業の場合、製品を作るために購入した原材料や製造コストを売上から差し引いた残りが付加価値にあたります。サービス業であれば、主に仕入を除いた部分がそれに該当します。

つまり、「付加価値=売上高 - 外部支出(材料費、外注費など)」です。

この付加価値の中から人件費がどれだけ支払われているかを見るのが、労働分配率というわけです。この指標を活用することで、企業がどれだけ効率的に経営資源(人件費)を使って利益を生み出しているかがわかり、持続的な成長につなげるための判断材料になります。


労働分配率によって何がわかるのか?

労働分配率が高すぎると、企業の収益が従業員の人件費に過度に依存し、利益が圧迫される可能性があります。特に売上が停滞する中で人件費が増加すると、利益率が低下し、財務基盤が揺らぐリスクもあります。

一方で、労働分配率が低すぎると、従業員に正当な給与が支払われていない可能性があり、モチベーション低下や離職につながる恐れがあります。
このバランスを取ることが経営者にとって非常に重要です。

適切な労働分配率を維持することで、従業員の満足度を高め、企業の収益性を確保することができます。労働分配率を単なる「コスト」と捉えるのではなく、従業員のスキルやモチベーションが企業の付加価値向上にどう結びついているかを見極めることが、持続的な成長の鍵です。


労働分配率を改善する3つの方法

労働分配率の適正化は、単に人件費を削減するだけではなく、「生産性の向上」と「付加価値の拡大」が必要です。では、そのためにどのようなことに取り組めばよいのでしょうか。ここでは、労働分配率を改善するためにできることを3つ挙げてみます。

1.生産性向上の取り組み
業務プロセスの見直しやITシステムの導入で業務の効率化を図り、従業員が価値を生む業務に集中できる環境を整えます。こうした改善により、同じ人件費でも付加価値を増やし、労働分配率を健全に保つことが可能になります。

2.付加価値の向上
新しい製品やサービスを開発し、売上を拡大することで付加価値を高めます。既存顧客にも新しい価値を提供することで、人件費の負担が適正化されます。

3.従業員のモチベーション管理
スキルアップの機会や適切な評価制度を整えることで、従業員のモチベーションを向上させます。モチベーションが高い従業員は、企業の付加価値をより多く生み出し、生産性向上に寄与します。


労働分配率の考え方と活用法

労働分配率を活用するうえで重要なのは、「自社の過去の数値と比較し、未来の成長を見据えた判断を下すこと」です。

同業他社との比較も参考になりますが、企業ごとに成長段階や課題が異なるため、最も有効なのは自社の推移を追い、改善の成果や課題を明らかにすることです。過去の労働分配率を分析し、なぜ変動が起きたのか、その背景を把握することで、今後の経営方針をより高精度に設計することができます。
「過去の自分」と「未来の自分」を比較する仕組みを整えることも欠かせません。
四半期ごとや年次での労働分配率の振り返りを通じ、何が改善され、何がまだ課題として残っているかを明確にします。

これにより、未来の経営戦略に必要な施策を具体化できます。さらに、システムを活用して毎月の財務データを可視化することで、データに基づいた意思決定が可能となり、経営判断の質も向上します。


労働分配率を持続的に改善するために

労働分配率は、単なる人件費の割合を示すだけでなく、企業全体の健康状態を反映する重要な指標です。過去のデータと比較しながら、労働分配率を適切に管理することで、持続可能な成長を実現するための経営戦略を立てることができます。

このブログでは、労働分配率の基本的な概念から、その重要性、改善策、他の財務指標との関係性、そして自社のデータ比較の必要性について解説しました。
未来の自分を描き、その実現に向けた具体的な計画を進めることで、企業はさらに成長し続けることができます。こうした改善のサイクルが企業文化として根付くことで、どんな環境変化にも柔軟に対応し、長期的な発展が可能になるのです。

ぜひこの指標を経営の改善に活用し、さらなる成長を目指してください。

岡本 辰徳
岡本 辰徳
株式会社YKプランニング 代表取締役社長

1998年3月山口大学経済学部卒業。学校法人大原簿記法律専門学校入社。簿記・税理士講座の講師を務めた後、2003年行本会計事務所に入所。2017年株式会社YKプランニング代表取締役社長就任。ミッションである「独りぼっち経営者を0に」実現のために日々奮闘中。
趣味は長距離運転、スキンダイビング(素潜り)、GoogleMAPを見ること。