こんにちは。YKプランニング代表取締役社長の岡本です。
今回は、今更聞けない会計のこと「資金繰りと利益の違い」について複数回に分けてご説明します。

とある日常、経営者と会計事務所の担当税理士との会話。

資金繰りと利益の違いについて、前々回のpart1では「売掛金」 について、前回のpart2では「棚卸し」 について解説してくれたね。今回のpart3では「買掛金」について解説してくれるのかな？

（前々回のpart1）
（前回のpart2）

その通りです。会計的には「売掛金」と「棚卸し」と「買掛金」のことをまとめて「運転資金」と呼んでいます。この3点セットの関係を理解すると「資金繰りと利益の違い」がより深く理解できるようになるんですよ。

運転資金の３点セットが「売掛金」「棚卸し」「買掛金」なんですね。利益は増えているのにお金は増えていなかったり、利益が減っているのにお金は減っていなかったりという結果に惑わされないようにちゃんと理解したいですね。

では、今回は資金繰りと利益の違いについて「買掛金」の特徴を解説していきます。

資金繰りと利益の違い（その３）「買掛金は信用の生命線」

買掛金とは、企業が取引先から商品やサービスを購入する際に発生する、未払いの金額を指します。

簡単にいえば、企業が取引先に支払うべき金額が買掛金です。通常、買掛金は一定期間（30日や60日など）内に支払われることが一般的です。この一定期間のことを支払いサイトといいます。
買掛金の増減が資金繰りに与える影響は、増加する場合と減少する場合で異なります。

買掛金残高が増加する場合や支払いサイトが伸びた場合は、現金を支払わずに商品やサービスを受け取ることができるため、資金繰り的には楽になります。
一方、買掛金残高が減少する場合や支払いサイトが縮んだ場合は、支払いが早まることで現金が減少し、資金繰り的には厳しくなります。
「買掛金残が増える」「支払いサイトが伸びる」と「お金が増える」というよりは、減るべきお金が減っていない、という感覚に近いかもしれませんね。

支払いサイトは仕入先との信用度の指標？！

買掛金の適切な管理は、資金繰りを円滑に進めるうえで重要です。

まず、企業は支払い期限を守ることが大事です。遅延してしまうと取引先との信頼関係が崩れ、今後の取引が難しくなることがあります。

しっかりと期限を守ることは信頼関係の構築に効果的です。仕入れ先と良好な関係を築くことで、より良い取引条件や支払い条件を得られることがあります。また、緊急時においても協力的な対応が期待できます。そのため、積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが重要です。
また、買掛金を即金で支払う代わりに割引をしてもらう、というような交渉方法も存在します。取引先の事情にもよりますが、このような方法を活用することで、支払いサイトが短くはなりますが、支出額自体を抑えることができるケースもあります。
もちろん支払いサイトを短くするためには、手元に十分な現預金がある必要があります。なので、資金繰りに悪影響を与えないように注意が必要です。

適正な支払い期間（サイト）と正確な買掛金残高管理を

売掛金、棚卸し同様、買掛金の動きを把握することは、資金繰りを把握するためにとても重要なチェックポイントとなります。

買掛金、売掛金、棚卸しのそれぞれの増減が資金繰りに与える影響を把握し、適切な管理をおこなうことで、資金繰りをスムーズに進めましょう。

前々回は「売掛金」、前回は「棚卸し」にフォーカスしてお話をしましたが、今回は運転資金のもう一つの要である「買掛金」について解説していきました。

最後に、資金繰りに影響するそれぞれの関係性をまとめましたので、これを整理して「資金繰りと利益の違い」を正確に理解しましょう。
まだまだ他にもたくさんの会計に関する今更聞けないことが存在します。一つずつわかりやすく解説していきますので、ぜひほかの「今更聞けないシリーズ」も読んでみてください。