こんにちは。YKプランニング営業本部長の宗近です。
営業は属人的で、個人のスキルレベルによって大きく成果が変わってくるものだという認識が未だに一般論として語られている印象があります。

しかし、インターネットの普及によって情報の非対称性が緩和され、昨今のリモート営業などの普及によって「接待」に代表されるような「ザ・セールスマン」的な活動は減少しています。
そして、きちんと営業プロセスを可視化し、営業担当者の成績を均一に底上げする「営業プロセスの標準化」が着目されるようになってきています。

今回は、「営業プロセスの標準化」に着目し、その目的や方法について説明していきます。

営業プロセスとは

営業プロセスとは、見込顧客の発掘から成約までの一連の流れをいいます。
一般的には、電話やメールによるアポイント獲得から商談活動、クロージングから成約といった流れで進められます。

営業プロセスを標準化する目的

営業プロセスを標準化することはなぜ重要なのでしょうか？

それは、成果の出やすい営業プロセスを構築し、組織全体に浸透させることで、個人のポテンシャルに左右されない「組織全体の営業力」の底上げを実現することが可能になるからです。目的は大きく二つです。

①営業力の最大化
営業プロセスの標準化をする際には、継続的に成果を上げているトップセールスをベストプラクティスとして参考にしていきます。トップセールスの営業プロセスを個人の力量やポテンシャルに留めるのではなく、そのプロセスを営業組織全体に浸透させることで、営業力の最大化を図ります。

②営業組織の強化と人材育成の効率化
営業プロセスを標準化していくことで、一部のトップセールスや優秀な営業担当者に依存しがちであった組織からの脱却を図れます。また、各種マニュアルや営業ツールが標準的に整備されることで、新しいメンバーの人材育成の効率化も図れます。

営業プロセスを標準化する方法

①現状の営業プロセスの見える化・分析
アポイント獲得、商談、クロージングなど、現在実施している営業内容をプロセス分けし、可視化していきましょう。情報はCRM(顧客管理システム)を導入していれば、CRMからほとんど抽出が可能です。
営業プロセスを可視化したら、次に営業プロセスの分析をします。
成約につながった案件とそうでない案件での営業プロセスに傾向がないかどうかを分析していきます。特にこの分析の際には、トップセールスの営業プロセスをベストプラクティスとして参考にしていきます。

②カスタマージャーニーの設定
カスタマージャーニーとは、商品やサービスの購入までのプロセスを、顧客の行動パターンや思考、感情を踏まえて設計していくことです。
つまり、商品やサービスを知ってから、どのようなプロセスを経て成約に至るのかを「顧客」の視点から考えていくことです。
なぜ契約に至ったのか、意思決定する際に最も決め手となったのはなんだったのかをヒアリングしていきましょう。

③営業プロセスの構築と留意点
カスタマージャーニーの定義ができたら営業プロセスの構築をおこないます。
どのような条件を満たすと次のステップに進んだと判断できるかという基準をステップごとに設定していきます。

・アポイント獲得時
手法は電話なのか、メールなのか？アポイントとする条件は？何をヒアリングすべきか？
・商談時
事前準備（別ブログ営業前に準備すべき3つのポイント参照）はどこまでおこなうか？
何をヒアリングするべきか？BANT（別ブログビジネスフレームワーク10選中編参照）条件は満たしているか？

上記はあくまでも一例です。組織や商材によってそのプロセスは異なります。
営業プロセスを定義する際は、具体的な基準が必要です。しかし、あまり細分化しすぎると現場での運用が難しくなるため、バランスが重要となります。

また、営業プロセス検討の際に、分業についても検討します。営業プロセスは多岐に渡り、プロセスによって専門性も異なります。したがって、アポイント獲得から成約までの一連の流れを同じ営業担当者が一気通貫でおこなうのか、それとも一部のプロセスを分業するのかも検討します。

分業するプロセスとして最も多いのが、アポイント獲得のプロセスです。標準化しやすく、外部にアウトソーシングすることも視野に検討します。アウトソーシングについては、営業アウトソーシング採用のポイントをご覧になってください。
④営業プロセスの効果測定
一度定義した営業プロセスが必ずしも、最適解とは限りません。
実際に、営業担当者が営業プロセスを実践していく中で、重要な指標を定点観測し、改善が見えない場合は対策を講じましょう。
構築した営業プロセスのどこに問題があるのか、どこを改善したら売上向上に繋がるのかPDCAを回していきましょう。

まとめ

今回は「営業プロセスの標準化」について説明しました。プロセスが標準化されれば、マニュアルや営業ツールの設計も容易になります。営業力の最大化をおこなうためには不可欠なことだといえます。この機会に検討してみてはいかがでしょうか。